ミヤコタナゴが絶滅?!


こんにちは、ボランティアライターの“ぶん”です。

ミヤコタナゴっていう淡水魚、知っていますか?
私は「ところざわ歴史物語」で知りました。

昭和49年(1974)6月25日「国の天然記念物」に指定されています。
なぜかと言うと、『環境省』のレッドリストでは「絶滅危惧IA類」になっており「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」とされ、したがって、許可のない捕獲採集や飼育、売買は禁じられています。

さて、ミヤコタナゴについてです。

ミヤコタナゴは、コイ科に属する日本特産の淡水魚で、明治42年(1909年)に現在の東京都文京区小石川植物園内の池で発見され、東京が都(ミヤコ)だったことからこの名前が付けられたそうです。

かっては関東地方の水田を流れる用水路など多く生息していました。しかし、日本の高度成長期、昭和30年代後半から田んぼが減り、用水路がコンクリート化され、住宅地が増えて水質悪化が進んだことなどで、二枚貝が生息できなくなったことでミヤコタナゴが減り、昭和49年(1974)「国の天然記念物」に指定されました。

所沢市も昭和40年代前後から急速な都市化が進み、ミヤコタナゴの姿は見られなくなったそうです。

 

所沢市のミヤコタナゴに対する取り組みをみてみましょう。

【所沢市埋蔵文化財センターでの人工授精と保護対策】

所沢市では水槽の中にミヤコタナゴと二枚貝を入れ、自然増殖を試してみたが、二枚貝は水槽内では長く生きられず、うまくいかず、そのため平成8年から人口増殖によって種の保存を図っているそうです。

 

 

メスが卵を産むために必要な二枚貝です。

 

所沢市埋蔵文化財センター人工授精で増やしたミヤコタナゴ。

 

【人口増殖の方法】

①まず産卵管の伸びたメスの腹部を優しく押し、シャーレ(ガラスの皿)に卵を採りだします。

②次にオスの腹部を優しく押し、精液を卵にかけ、約10分後には受精しますので、受精卵をビーカーに移し、25℃に設定した恒温器に入れます。

③2日後には孵化(ふか)し、更に2週間、恒温器の中で体長8ミリほどに成長したところで、水槽に移し、餌付けを始める。

 

所沢市埋蔵文化財センターの担当の方の話では所沢市立小学校32校へミヤコタナゴを水槽で育てているそうです。ただ、夏の暑さに弱いので7月~9月までは引き上げているとのことです。また、中央公民館1階にも2メートルの水槽の中にミヤコタナゴが展示してあるそうです。取材に行った当日、担当の方は午後から水槽の掃除に行きますと言っていました。

 

このように所沢市ノミヤコタナゴは人口増殖によって、かろうじて種の保存ができていますが、現在のところ自然に戻すまでには至っていません。

 

 

【産卵期】

所沢市では産卵期鮮やかな体色に変わるオスは「ナナイロ」、メスは平たいため「ヒランチョ」など呼ばれていましたそうです。

産卵期は4月~6月ごろになるとオスの体は「婚姻色」と呼ばれる淡い赤色や薄紫色になり、ヒレは黒やオレンジが鮮やかになります。メスは体の色は変わりませんが、卵を産むための「産卵管」と呼ばれる細長い管が伸びてきます。そして卵を産むために必要なマツカサ貝など二枚貝に産み付けられます。

 

昭和30年代から比べると私たちの暮らしは非常に快適なものとなった。しかし、その一方で限りある資源が壊され環境問題となっています。このような時代には老子が説いている「足るを知る者は富む」ことも必要かもしれませんね。

参考文献: 所沢市史 ・ ところざわ歴史物語・ 埋蔵文化財センター資料

 

【埋蔵文化財調査センター】
住所:埼玉県所沢市北野ニ丁目12番地の1
電話:04-2947-0012


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ぶん Bun

2016年10月“所沢なび”ボランティアライターとして生まれたボクの名前は「ぶん」! 仕事は、所沢を中心に身近にある自然やおいしいもの、楽しいものを見つけみんなに知ってもらうこと。 魅力いっぱいの「所沢なび」これからもよろしくね。

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