八幡湿地ワークショップ2019開催レポート


八幡湿地ワークショップ2019
~この場所を後世に残すために。その想いをこめて今年も開催~

こんにちは。ボランティアライターじんです。昨年に引き続き、10月20日に行われた「八幡湿地ワークショップ2019」の記事を書かせていただきます。今回は同じくボランティアライターの「やよ」さんと一緒に記事作成していきます。なお、やよさんは所沢なびボランティアライターデビュー作になります。

 

じん:やよさん。まずは所沢なび読者の皆様に意気込みをどうぞ。

やよ:所沢なび読者の皆様、はじめまして!じんさんからご紹介に預かりました新米ボランティアライターのやよです。
「所沢にもこんな素敵な場所があったんだ!」糀谷八幡湿地(※以下、八幡湿地)にはじめて来た方からよく聞く言葉です。 野生の蛍が生息し、学校教育にも利用されるこの湿地はかつての武蔵野の里山の景観を色濃く残す貴重な場所となっています。今回はさいたま緑の森博物館の中の八幡湿地周辺で行われたワークショップの様子をボランティアライターのじんさんと一緒に楽しくレポートしていきたいと思います。宜しくお願いいたします。

じん:やよさんはこの八幡湿地ワークショップの実行委員でもあります。この八幡湿地ワークショップの趣旨や目的について教えていただいても宜しいですか。

やよ:
①糀谷八幡湿地を地元の方々に知ってもらうこと
②活動している環境保全団体のつながりを深めること
③自然環境と文化を継承すること
八幡湿地ワークショップ2019はこの3つの目的で開催されました。

平成28年には所沢市の「とことこ景観賞」も受賞したこの美しい場所では、昭和30年頃まで機械や農薬を使わない伝統的な稲作が行われていました。しかし、昭和50年代には耕作が行われなくなったことでヨシや木が生い茂り湿地は乾燥し、人の目が無くなった事で不法投棄が横行する、そんな歴史がありました。その状況を憂いだ有志の方が『糀谷八幡湿地保存会』を結成し、ホタルが飛び交い子ども達が自然のなかでのびのびと遊ぶそんな昭和30年当時の景観を取り戻そうと稲作を再開したことで八幡湿地は現在の姿を保っています。周囲の雑木林を整備する『埼玉森林サポータークラブ』、いきものの調査や観察会を行う『ところざわ地域の自然グループ』『グリーン・フォレスト・ネットワーク所沢』などでも多くの方が活動し、今では自然が豊かなだけでなく、人が集い人と人を繋げる場所となっています。
子ども達の遊び場であり、大人達の憩いの場であり、県内では目にすることの少なくなったいきものが数多く生息するこの八幡湿地を次の世代の子ども達に残していくためには八幡湿地を残していきたいと思う人々の力が必要です。八幡湿地で楽しい時間を過ごしながらその事を知ってもらいたい、そしてこの場所を次の世代に繋げるための活動を一緒に行っていきたいという願いを込めて八幡湿地ワークショップ2019は開催されました。

じん:素晴らしい趣旨と熱い意気込みで開催されているのですね。ありがとうございます。ではイベントの様子をやよさんと交代しながらレポートしていきます。まずはじんよりお伝えします。

 

開会式では、さいたま緑の森博物館の統括責任者の長谷川勝氏より開会の挨拶、実行委員の永石文明氏、水村周介八幡湿地保存会代表、八幡神社宮司の中義之氏より、八幡湿地の歴史と現在の活動について説明がありました。


さいたま緑の森博物館統括責任者:長谷川勝氏

 


八幡湿地ワークショップ実行委員:永石文明氏

 


八幡湿地保存会代表:水村周介氏

 


八幡神社宮司:中義之氏

 

開会式に続いて、八幡湿地周辺で活動するボランティア団体のプレゼンテーションと各団体参加のスタンプラリーが行われました。この部分は、「諸事情」によりやよさんにバトンタッチします。やよさんお願いします。

 

じんさんからバトンを受け取りましたやよです。「諸事情」の正体とはいったい何でしょうか?後ほど判明いたしますので乞うご期待。
今回のワークショプでは八幡湿地を次の世代に繋げるために今どんな活動が行われているのかを広く知ってもらい、楽しそうと感じた活動にはぜひ力を貸してもらいたい!という事でどんな活動があるのかを楽しみながら知る事が出来るように、簡単なプレゼンテーションを行った後に各ボランティア団体をめぐるスタンプラリーが企画されました。

 

●プレゼンテーションの様子


埼玉森林サポータークラブ理事:伊東喜尋氏

 


ところざわ地域の自然グループ代表:大堀聰氏

 


狭山丘陵自然史研究会共同代表:永石文明氏

 


さいたま緑の森博物館によるボランティア団体の紹介ボード

 

●スタンプラリーの様子

八幡湿地の散策路に点在する体験スポットをめぐりながら、各団体のブースで自然体験を行うとスタンプがもらえます。


【スポット1】グリーン・フォレスト・ネットワーク所沢:地元どんぐりのつかみ取り
普段は市民の手で雑木林を守ってゆくために保全の知識や技術を学んだり散策会の実施など自然と親しむ活動を行なっています。
さて、じんさんのおっしゃっていた「諸事情」覚えておいででしょうか?なんと、ここではじんさんがメンバーの一員としてブースを担当されていたのです。ひとりでブースを切り盛りされていたためスタンプラリー中の取材は一時中断というのが「諸事情」の正体でした。
直接触ることでどんぐりにも色々な形があると実感し、どんぐりを切り口に八幡湿地には様々な種類の木があるという解説をじんさんから聞いたらスタンプ。

 


【スポット2】埼玉森林サポータークラブ:間伐丸太の輪切り体験
県内各地で活動を行っている団体で、八幡湿地では湿地周辺の雑木林の間伐を行っています。活動で使う道具のひとつ、ノコギリで間伐した太を輪切りにする体験をするとスタンプ。自分で好みの木を選んで理事の伊東氏の指導のもとで輪切りに。大人も子どもも楽しそうに熱中する姿がみられました。ここで作った輪切りはスタンプラリーを全て回った人への記念品の材料になりました。

 


【スポット3】ところざわ地域の自然グループ:昔あそび・お手玉
所沢の「緑」を将来にわたって残してゆくために調査によって現状や問題点を把握して雑木林の手入れをしたり、観察会を開いて自然と親しむ活動をしています。代表の大堀氏が大学の職員として鳥の研究を行っていた事もあり観察会では植物だけでなく鳥についての観察も充実しています。
ここでは埼玉森林サポータークラブの伊東氏より提供して頂いたあずきやエゴの実のお手玉を体験しました。3回連続で続けられるとスタンプ。ブースには活動の紹介のパネルがあり興味のある人には調査の結果も解説してくれました。

 

【スポット4】狭山丘陵自然史研究会:湿地の葉っぱでこすり出し
こちらは私やよの担当ブース。こちらも「諸事情」で写真がありません。ここでは人気のクラフト体験「こすり出し(フロッタージュ)」を行いました。葉っぱを紙の下に敷いて上からクレヨンでこすることで輪郭や葉脈が浮き出ます。八幡湿地の中から自分の好きな形の葉っぱを選んでこすり出しをするとスタンプ。

 


【スポット5】糀谷八幡湿地保存会:昔あそび・缶ぽっくり
最後はこの湿地での活動のはじまり、糀谷八幡湿地保存会のブースです。ここでは昔懐かしい手づくりの缶ポックリを体験するとスタンプ。現在のメンバーの多くはかつてこの湿地の近くで子ども時代を過ごしました。かつて自分達が遊んだ場所と遊びが今の子ども達に引き継がれている様子は八幡湿地保存会の活動を象徴しているようで感慨深いものがありました。

 


【ゴール】
全てのブースでスタンプを集めると記念品がもらえます。埼玉森林サポータークラブのブースにて自分で輪切りにした木に緑の森博物館スタッフが穴を開けてネックレスに加工できるようにしてくれます。実行委員が穴に紐を通したら思い思いに名前や絵を描いて完成。子ども達に大好評でした。

 

やよさん。ありがとうございました。
再びじんです。ここで会場の様子をお伝えします。食物やヒーリングなどのショップもたくさん出店されていました。自然の恵みを活かした商品も多くみられました。野点やマッサージもありました。来場者の方にも、出店者の方にも笑顔があふれて、心も体もお腹も癒されている感じでした。

 

ステージではコンサートも開催されました。まずは「楽団ふたり」さん。クラリネットのうちだえーすけさんとチェロの関根かおりさんのユニットです。うちださんもおっしゃっていましたが、この二つの楽器のユニットって珍しいですよね。でも聴いてみるとこれがまた素晴らしい。後ろに見える里山の風景に溶け込んでいくような素敵な音色が響き渡りました。

 

最後は次ステージの徳田真由美さんも加わって3人での演奏でした。

 

続いては、オルガニストの徳田真由美さん。昨年に引き続きでのご登場です。「秋のボサノヴァ2019」のステージを披露してくださいました。今回はヴォーカル付きの曲をたくさん演奏してくださいました。ハモンドオルガンの音色と歌声が会場を包み込みました。みんなで一緒に歌いましょうって曲も用意してくださり、とても楽しいステージでした。

 

イベントの最後は、八幡湿地に関わるクイズ大会でした。八幡湿地やそこに関わるボランティア団体の〇×クイズです。わかりやすい問題もあれば、マニアックで勘だけが頼り?みたいな問題もあり、みなさん大苦戦。で、なんと勝ち残って優勝したのは、こちらのお方です!

幼稚園に通う彼が優勝!おめでとうございます!大人になってもこの場所を大事にしてね。
以上を持ってイベントはフィナーレを迎えました。

 

じん:やよさん。実行委員として準備から当日の運営までいろいろと大変だったと思います。実行委員としての感想や次回開催に向けての意気込みなどございましたらお願いできますか。

やよ:多くの方のご協力のおかげで開催する事ができたと感じています。
主催でありイベント全体の総括とクイズ大会の司会をしてくれたさいたま緑の森博物館、敷地の一部と電源を提供してくれた糀谷八幡神社、昔あそびと駐車場整備をしてくれた糀谷八幡湿地保存会、スタンプラリーの各ブースとクイズ大会で午前中の会場を盛り上げてくれたグリーン・フォレスト・ネットワーク所沢、埼玉森林サポータークラブ、ところざわ地域の自然グループ、狭山丘陵自然史研究会、素敵な演奏で場を盛り上げてくれたオルガニストの徳田真由美さん、クラリネットのうちだえーすけさんとチェロ関根かおりさんの「楽団ふたり」さん、食べ物からヒーリングまで得意な事で出店、出展をして楽しい時間を作ってくれたみなさん、手伝いに来てくれた地元のみなさん、なにより楽しみに来てくれたみなさん。書き始めるときりがありませんのでこの辺で。
この心やすらぐ風景は人が自然とふれあえるだけでなく、人と人を繋げる場所でもあると思います。八幡湿地に興味が湧いた方はぜひこれからも遊びに来てください。どの季節もとても素敵な景色が迎えてくれます。そしてもしこの場所を残すことに貢献したいと思ったら、ボランティア団体への参加でも出展でも運営の手伝いでも知り合いに八幡湿地の思い出を話すだけでも構いません。是非来年は楽しい時間を提供する側に回ってみて下さい。八幡湿地ワークショップ実行委員一同、心より歓迎いたします!

じん:実行委員さんならではの熱いメッセージありがとうございます。僕も少しながらではございますが、このイベントのお手伝いで提供側に回れたことを嬉しく思います。やよさんの仰る通り、この場所で活動するボランティア団体に参加することによりたくさんの素敵な方々に出会うことができました。来年も是非、よりパワーアップした八幡湿地ワークショップ2020として、新しいメンバーも加えて開催していただければと思います。このイベントをきっかけにこの場所をたくさんの方に知っていただき、この場所が永遠に人と自然が協調する素晴らしい里山として続いていくことを願っております。


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