緑の森博物館・糀谷から大日山へ、春の花


狭山丘陵自然史研究会の代表で、毎日新聞旅行(まいたび)のネイチャーガイドがオススメする、緑の森の博物館で見られる花を紹介します。

春の妖精、カタクリとニリンソウ

4月上旬、緑の森博物館の所沢市域を訪ねました。お目当ては落葉樹の雑木林の中に咲くカタクリとニリンソウ。この2種は今から約1万年前の氷河期最後の名残りの植物。落葉広葉樹林にあって木々の葉が茂る前、陽のよくあたる間に葉を開き、一年分の光合成を行います。春の一時に花が咲き、夏には葉も枯れてしまうので、春の妖精と呼ばれます。

ニリンソウ。花弁がなく、白い花びらのように見えるのは萼片(がくへん)。

 


カタクリ。花に陽があたると花びらが開いて反り返る。

 

赤紫色に彩るトウゴクミツバツツジ

北斜面の雑木林に咲くトウゴクミツバツツジ。赤紫色の麗しい花に出会い、癒される人も少なくありません。花の彩る春の里山は、都市の賑わいの中に住まう時と対比して、静かなときを与えてくれます。
関東に生育するミツバツツジの仲間は、低山に生育するミツバツツジと山地に生育するトウゴクミツバツツジの2種類があります。狭山丘陵でも1980年代まではミツバツツジが多く見られたのですが、盗掘の被害にあい、雑木林では見られなくなってしまいました。
緑の森博物館内の大日山では、市民団体の埼玉県森林サポータークラブによるミツバツツジ類の植樹活動により、赤紫色の花で彩られる大日山を見ることができます。


トウゴクミツバツツジ。赤紫色の花。雄しべは10本。

 


トウゴクミツバツツジ。関東の山地に多いミツバツツジ類。

 

ウワミズザクラは香りあふれる野生の桜

ソメイヨシノと異なり葉の展葉後に開花する桜です。花がたくさんついていて、まるで白いブラシのよう。狭山丘陵でも雑木林に数多く生育していますが、高木に育った木しか花が付かないので、上を見ないと見過ごしてしまうかもしれません。
ウワミズザクラの花の芽は北陸では「あんにんご漬」の名前で知られています。「あんにんご」の名前の由来は、ウワミズザクラの花の香りから付けられたとのこと。この花には杏子(あんず)の種子(漢方薬では杏仁)を分解したときに似た香り(ベンズアルデヒド)があることから、杏子の子(種子)から、杏仁子になったとされています。


ウワミズザクラ。花びらがたくさん付いて白いブラシのよう。

 

狭山丘陵を代表するヤマザクラ

ヤマザクラは新芽といっしょに花が咲く桜。新芽の色も展葉とほぼ同時に花が開きます。万葉集から歌われてきた古来の桜は本種。奈良の吉野桜といえば、このヤマザクラです。


ヤマザクラ。新芽と同時に開花する。

 

糀谷バス停までの交通案内

西武池袋線小手指駅南口発、西武バス宮寺西行き乗車。糀谷バス停下車、徒歩約8分で糀谷八幡神社へ。神社の南側から遊歩道があり、梅畑を抜けると大日堂がある大日山へ。大日山から遊歩道に沿って降りていくと入間市宮寺にある緑の森博物館案内所へ。帰り、小手指駅に向かうには宮寺バス停が便利。



記事の執筆者プロフィール

永石 文明 Fumiaki Nagaishi
nagaishi
所沢市に引っ越してからすぐに『所沢市の自然』(所沢市発行)の企画に参加させてもらったのが最初の所沢との関わりです。市内をくまなく回って撮影したり原稿を書いたりするうちに所沢の自然の魅力にはまりました。自然が好きで、狭山丘陵自然史研究会では雑木林や湿地、川の生物の調査研究のほか、大学(東京農工大学・立教大学)では自然環境の保全や自然保護文化論を担当しています。趣味の自然への旅が高じて毎日新聞旅行ではネイチャーガイドをしています。

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