所沢雛人形造りの文化が姿を消え去ろうとしている?


みなさんこんにちは「所沢なび」ボランティアライターの“ぶん”です。

 

所沢雛人形造りの文化が姿を消え去ろうとしている?

埼玉県は人形作りの盛んなところで、岩槻・鴻巣など全国的に知られていまが、所沢もこれらに次いで雛人形の産地として知られています。
所沢雛人形の起源は、今から178年前の天保10年(1839)のようです。

 

今回は『初代埼玉県伝統工芸士』所沢雛人形造りの小寺様を取材させていただきました。

 

-「埼玉県伝統工芸士」とは。

埼玉県指定伝統的手工芸品の製造に従事している技術者のうち、高度の技術・技法を保持する者を「伝統工芸士」として認定しています。

 

伝統工芸士小寺様は雛人形造りに、約275にもおよぶパーツを組み合わせ、体のベースとなる芯の削り出し、整形など、製作にかかる全ての工程を、その確かな技術を一人でなさる職人さんです。
所沢にはかって36人いた職人さんは、今では小寺様一人しかいないそうです。

小寺様が丹精こめて造られた雛人形は世界に一つしかない作品であり、芸術的価値の高い工芸品が、残念なことに所沢に小寺様一人となった今、口を開かない雛人形達の声も妙に何かを言っているような気がします。

 

全国からお手紙やメールなどで問い合わせがあり、お客様の思い出の着物(主に帯)を使用してオリジナルの雛人形を製作しています。
お客様が長年愛用されていた「帯」を、小寺様の手によって、ひとつひとつ丁寧に雛人形へと導いていく想いが、世界に一つしかない『雛』となっていく姿は、職人魂というか、精神を鍛錬していないと出来ないと思う。そして、お客様のところへ雛人形が届く。お客様が長年愛用された「帯」が人と人を結び、お孫さんへの架け橋となっていく雛人形。
なんと素晴らしい仕事なんだろうかと、取材を通して感じた。

 

雛人形の芯になる藁銅(わらどう)。

円筒形に束ねた藁銅の上端部をドウキリ包丁で台形に切り落とし、切り口が見えないように和紙を張る。完成まで数々の工程を経て、一体の雛人形が完成します。

 

-所沢雛人形造りの歴史について。

所沢図書館で「所沢市史」を借りることができなかったのでコピーさせてもらった。

 

下記のように書かれてありました。

 

【所沢の雛人形の歴史】
所沢の雛人形の起源については明確に示す資料がないので断定することはできないが、天保10年(1839)と思われる。

 

【第一に】
倉片人形店の敷地内にまつられている「雛稲荷」と呼ばれる石の祠には天保10年(1839)の文字があり、創業者である吉兵衛作が建てたと伝えられている。

 

【第二に】
人形師「東玉斎」の存在である。元町の東屋仏具店には四代前、肥沼長兵衛が川越藩主から賜った名号「東玉斎」文字が記された額が現在するが、その額には嘉永2年(1849)創業と書かれている(現在廃業し、見ることは出来ません)

 

【第三に】
地元の杉本林志によって明治14.5年に書き終えたとされる「狭山の栞」の入間郡山口領山口郷勝楽寺村の項に「物産雛、破魔弓、羽子板、鍛冶炭、柿」とある。

 

【第四に】
明治35年「埼玉県営業便覧」の雛関係職として所沢町では、山崎万吉(際物商)、二上忠蔵(雛玩具製造問屋)の二人があげられている。

 

個々の雛人形の製作が、産地として定着したのはいつごろであろうか。「鴻巣雛人形ノ沿革」には入間郡所澤町、豊岡町とあり、明治初期の段階での産地形成を示している。
その後、「所沢人形」の歴史において重要な役割を果たした「雛忠商店」の躍進は、今日でも多くの雛人形関係者によって語られているところである。
「所沢人形」の名を全国的なものにしたのが「雛忠商店」であった。その中心人物は二上忠蔵で、多くの弟子を育てて独立させた。

 

現存する大正から昭和にかけての「御得意様名簿」によれば、取引先は全部で133店にのぼり、東京、神奈川方面が6割以上を占めている。北は北海道から南は九州までの範囲に広がっていた。
二上家が所沢に来たのは、忠蔵の父、安左衛門という人が幕末に和歌山から来て定住した。
初代安左衛門は、豊岡(入間市)や川越で人形製作技術を習い、創業したようである。その子、忠蔵も豊岡(入間市)で修業した。
したがって、雛忠創業以前にも所沢周辺では、雛人形製作が行われていたようです。二上忠蔵は雛人形の製造販売のほかに晩年(明治三十六年)には「雛沢座」という歌舞伎劇場を創設しましたが、芝居小屋の経営には素人であったために、本業の経営をも苦しくしてしまった。

と「所沢市史」に書かれてあった。

 


取材に行ったときにも、女性の方が帯を持参され、雛人形の製作を依頼されていました。最近はお部屋に飾る方が多くいらっしゃるそうです。
お客様がお持ちになった帯を「雛人形」へ造り替えた作品が「インスタグラム」で見ることができます➡https://www.instagram.com/koderaningyo/

 

ショップ情報


秋月・小寺人形
営業時間 : 8:00 ~ 20:00
定休日:10月1日~5月5日は無休(それ以外の期間は不定休)
住所:埼玉県所沢市北秋津731
(所沢駅東口より徒歩3分)
TEL:04-2992-1444

お店ホームページ

 


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ぶん Bun

2016年10月“所沢なび”ボランティアライターとして生まれたボクの名前は「ぶん」! 仕事は、所沢を中心に身近にある自然やおいしいもの、楽しいものを見つけみんなに知ってもらうこと。 魅力いっぱいの「所沢なび」これからもよろしくね。

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