「トトロの森」とニュータウンで新緑を浴びる!お茶摘みまちあるき【前編】


椿峰ニュータウン緑道からトトロの森散策、そして「お茶摘み体験」も楽しんじゃおう!

新緑まぶしい5月のある日、所沢市内にあるトトロの森を散策し、里山を歩き、この時期しかできないお茶摘み体験をする、というウォーキングイベントが開催されました。

主催は椿峰ニュータウンにあるコミュニティスペースを運営する「つばきのわ」、「所沢市景観市民活動クラブ」が共催、そして当日の案内役を務めたのは所沢なびボランティアライターでもある平本仁一さんです。

「まちあるきしてお茶摘みもしちゃおうっていう初夏の一日をとこトン楽しんじゃう(チラシより引用)」企画、とはどんな内容だったのでしょうか?

参加した所沢市民歴6年のライター前原がお伝えします!

2021年5月 前原麻世


 

集合場所は下山口駅、「つばきのわのお店」に立ち寄る

今回のウォーキングイベント、集合場所は下山口駅です。

西所沢駅から西武球場前駅を結ぶ西武狭山線(区間内に存在するのはなんと3駅のみ!)の中間の小さな駅です。
ここから、徒歩5分のところに今回のイベントを主催する「つばきのわ」さんの拠点「つばきのわのお店」があります。


▲集合場所の下山口駅から歩きだす一行

駅前の車通りの多い道を渡り、住宅街を高台に向かって歩いていくと……

さっそくお茶畑が、そしてお茶農家さんが作業していらっしゃいます!
里山の風景ですね。


▲軽トラの向こうのシートがかかっているあたりでお茶農家さんが作業しています。

こちらが「つばきのわのお店」です。
築60年の古民家を改修し、昨年オープンしたコミュニティスペースです。


▲つばきのわのお店(写真提供:豊田佳隆さん)

実はこのウォーキングイベント、この「つばきのわのお店」オープン時に開催された、この地域をよくするための意見交換会で発案されたものなんです。
言い出しっぺは今回このイベントの案内役を務める平本仁一さん。
まさに「有言実行」ですね!


▲本日の案内役を務める平本仁一さん


▲スタッフの豊田佳隆さん(左)、中村正博さん(右)。「所沢市景観市⺠活動クラブ」として参加


▲トコろんのお姉さん、でおなじみのむなぞー(宗像茜衣)さんも参加

出発前に、今回イベントを主催する「つばきのわ」の拠点である「つばきのわのお店」を見学することができました。


▲出発前につばきのわを見学

こちらでは、地域住民の方に棚のレンタルをしています。
古本や、ハンドメイド雑貨、不用品などを販売することができます。
▶「つばきのわのお店」について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://tokorozawanavi.com/news-jin20201020/

椿峰を歩きつつ地元の課題に耳を傾ける

それでは出発です!

「つばきのわのお店」を出るなりいきなりの急坂!
しかし、ちょっと歩くと椿峰中央公園に突き当たります。

と、ここで早くもウォーキングイベント最初の説明が!


▲最初の説明スポット。椿峰中央公園沿いの緑道にて

全国のニュータウンの共通の課題として、高齢化やそれに伴いコミュニティの維持が難しくなっているという課題があります。
ここ椿峰ニュータウンでもそれは同じ。
また椿峰ニュータウン独自の課題として、商店がなく買い物がしにくいこと、坂が多くて歩くのが大変……といったことが挙げられます。
そのような課題がある中で、地域のママさんが自主企画したイベント「つばきの森のマーケット」が2018年、2019年と行われました。
そのイベントの会場となったのが椿峰中央公園


▲「つばきの森のマーケット」2019年開催時のようす

そして、椿峰ニュータウンをどうにかしたい、と2017年から数回に亘りシンポジウムが開かれているのも、椿峰中央公園の南にある椿峰コミュニティ会館別館。

この、公園や椿峰コミュニティ会館別館で、住民の方のエネルギーが集まったのです!

ニュータウンの住民の高齢化という課題は所沢のみならず全国にも見られる課題。
だからこそ、所沢市としても椿峰ニュータウンの住民主導の取り組みを注目しています。

さて、一行はさらに緑道を進みます。


▲緑道で見かけたこちら、このピンク色の二葉みたいなもの、もみじの花って知ってました?
 

コミュニティガーデンを通じて地域を良くしたい

「コミュニティガーデン」をご存知ですか?
コミュニティガーデン事業とは、公園・緑地を地域の「庭」として住民が主体となって維持管理を行うことでガーデニング技術や植物に関する知識を学びあいつつ、コミュニティ作りにつなげるというもの。
ここ椿峰にもコミュニティガーデンがあり、立ち寄りました。

コミュニティガーデンで世話人を務める椿峰ニュータウン住民の一人、刈谷さんが登場し、こちらの取り組みについて説明してくれました。


▲コミュニティガーデンにて説明する刈谷さん(写真右)

刈谷さん:「ここはもともと何もない荒地でした。3年前に有志でここを耕して、現在は花壇と木陰のある広場になりました。ゆくゆくはここに移動式のテントを置くなどして、地域のお年寄りが気軽にここに出てこられるようにしたいですね」

現在高齢化率が40%を超えるエリアもあるという椿峰ニュータウン。
また、5つの自治会と19の管理組合が存在し、コミュニティの統率を取るのが難しいとのことです。
住民主導で自治体の力を借りながら、「庭づくり」や「土いじり」という世代や立場を越えて興味の持てる植物・自然を通じてコミュニケーションをとる、というのはとても意義があるのではないかと思いました。


▲コミュニティガーデン「椿峰みんなのお庭」

▶コミュニティガーデン「椿峰みんなのお庭」についてはこちらをご覧下さい
https://www.facebook.com/tsubakimine.garden
 

椿峰ニュータウンならではの「緑道」を満喫

椿峰ニュータウンの課題についてお伝えしましたが、椿峰ニュータウンの一番の良さと言えば、緑が豊富であること。

これは、ニュータウン建設の際に協定が結ばれており、「宅地については敷地面積の20%以上を緑化するものとする」とされているからなんです。


▲ニュータウンの歩道は緑に囲まれまさしく「緑道」。住宅との境目には豊富な植栽が


▲緑に囲まれた集合住宅


▲ニュータウンの中の橋を渡ります

と、ここで、木に囲まれた緑道を歩いていると……
刈谷さんが「鎌倉街道がある」と教えてくれました。

▲なんとここが鎌倉街道とのこと

新田義貞が倒幕の際にここを通ったそうです。
平本さんが指差す先にくぼみがあって道が続いているのが分かるでしょうか?
思いがけず歴史的ポイントにも出会えました!

 

橋を渡れば……ひんやりとした森の中 どんぐりも芽を出す

「椿峰ニュータウン西」の交差点の上を通る歩道橋を渡ります。
しかしこの歩道橋、渡り切った先は……


▲この橋を渡ると……


▲暗くなってきましたね

森の中なんです。
初めてきた方は「このまま行くとどこに着くのかな?」と不安になるかもしれません。

しばらく森の道を歩くと明るくて見通しの良い場所に出ます。
ここから「雑魚入(ざこいり)」と呼ばれる地域につながります。


▲「この先が雑魚入です」と平本氏


▲里山保全地域として所沢市の看板があります

一行は森の中を進みます。
と、ここで、ちょっとした杭の目印がありますが一人ではぜったいに途惑ってしまいそうな「けものみち」のような道に入っていきます。
この先にはいったい何があるのでしょうか???


▲え、ほんとにこんなところ入っていくの~???一人ではぜったい無理ですね


▲けものみちのようです

着いた先は、上山口中学校の裏のようです。
校庭からの運動部の掛け声がなんとなく耳に入るなか、平本さんによるどんぐりに関する説明を聞きました。


▲上山口中学校の裏で、どんぐりを愛でる

ここは手入れされている雑木林で上から陽の光が入るため、どんぐりたちが芽を出すことができるそうです。
この「芽」は「実生」と呼ばれるのだそう。
よく見ると、芽の根元にどんぐりの種が! 硬い皮が剥けて、アーモンドのようになっているものもありました。


▲実生

トトロが住んでいそうな森に到着

どんぐりの可愛さに心を奪われ、パシャパシャ写真を撮っていると置いていかれそうに!
走って一行を追いかけたところ……

お、看板が! トトロの森1号地が近づいて来ましたね!


▲トトロの森1号地の看板が

あずま屋や水場があり、休憩しつつ森を観察できるスポットにもなっています。


▲森の入り口にはあずま屋と小川がある

季節柄、おたまじゃくしもたっくさん!


▲おたまじゃくし

沼地がありました。
ここには、自然と水が溜まるのだそうです。


▲沼地

ここでも、案内役の平本さんによる「トトロの森」の成り立ちについての説明がありました。
90年代、狭山丘陵の開発計画に疑問を感じた市民が立ち上がり、森を開発の手から守りたいという運動がおこりました。ちょうどその頃、1988年に公開されたのが映画「となりのトトロ」、狭山丘陵はその舞台のモデルの一つと言われています。
そういったこともあり、ナショナル・トラスト運動により取得し管理している森が「トトロの森」と呼ばれるようになりました。
▶「トトロの森」についてはこちら 公益財団法人「トトロのふるさと基金」https://www.totoro.or.jp/


▲遊歩道

トトロの森1号地は1991年に取得されました。
当時はバブルの真っ最中、今の相場からは考えられないくらいの地価でした。
当時を知るスタッフさんのお話によると、映画の人気も相まって「トトロの森を守ってください!」という寄付の申込の電話が鳴りっぱなしだったそうです。お子様がお小遣いをためた貯金を寄付してくださったりして、たくさんの方のおこころが集まりました。


▲トトロの森1号地の看板


▲トトロの森の箇所箇所にある看板。トトロの森はテーマパーク的なものではなく、このような看板があるのみです

この森に墓地をつくる計画があったそうですが、森全体からみるとのほんの一部である1183㎡のトトロの森1号地を取得したことがきっかけとなり、隣接する森を埼玉県、所沢市が取得し、この周辺の森一帯が雑魚入樹林地として保全されることになりました。
▶コチラの記事ではむなぞーさんがトトロの森を散策したもようをレポートしています!
https://tokorozawanavi.com/news-jin20200730/


▲写真向かって階段の右側、平本さんの指さす方向がトトロの森1号地

県の管理するトラスト保全地や市有地など、官民問わずたくさんの方々の協力があってこの森は保全されているんですね!


▲「公益財団法人さいたま緑のトラスト協会」の看板。「トトロの森1号地」に隣接して、県の管理する保全地がある

トトロの森1号地を抜けると、トトロの森45号地があります。
取得日は2017年11月21日と比較的最近です。
成育中の木の目印として杭が打たれています。


▲トトロの森45号地

湖の底に沈んだ村から遷座された神社を拝む

こちらは堀口天満天神社です。


▲堀口天満天神社

近隣住民の憩いの場狭山湖が人造湖であり、建設の際、湖の底に沈んだ村があることを皆さんご存知でしょうか?
堀口村は狭山湖完成により西半分が湖底に沈み、残った土地に人家や社寺が移転しました。
村のほぼ中央にあった堀口天満天神社も現在の地に遷座しました。
平本さんによるとここも「トトロっぽい」スポットとして人気だそうです。

森の中を歩いていると手入れされた茶畑がありました。


▲茶畑
 


前編では下山口駅から出発し「つばきのわのお店」に寄り椿峰ニュータウンの緑道を経てトトロの森にたどり着くまでをお伝えしました!

後編は、北野ソーラーパネルに寄り、狭山湖へ、そして里山の風景を眺め、三ヶ島のお茶農家「和田園」さんでお茶摘み体験をした様子をお伝えします!

▶後編に続く! Coming soon!

 


この記事を書いた人

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前原 麻世 Asayo Maehara

タウン誌編集5年ののち、ライターになり7年。長野県出身→沖縄で大学時代→東京で就職→所沢で子育て中、10年目。夫は埼玉都民2世。カフェや、子連れで行ける音楽イベントが好きです。

頂いた応援メッセージ

①様 筆者です。私も今回イベントへの参加で初めて行きました!
2021-06-02 09:45:10
同じ所沢でも 緑豊かで 素敵なエリア! 駅前とはまた違う魅力ですね。
2021-06-01 08:05:28

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