障がい者も健常者も共に楽しめる音楽の祭典
障がい者も健常者も共に楽しめる音楽の祭典
「第4回所沢ファントムミュージックフェア」開催
今年も自立生活センター所沢ファントム主催の障がいを持った演者たちの祭典「第4回所沢ファントムミュージックフェア」が開催されます。
【会場】所沢まちづくりセンター 中央公民館ホール
(所沢市元町27番5号)
駐車場(有料・市営元町地下駐車場有)
【入場】500円(前売) 600円(当日) ☎04-2992-1310
【主催】自立生活センター 所沢ファントム
【後援】所沢市、所沢市社会福祉協議会
自立生活センター 所沢ファントム とは
所沢市に在住で障がいを持つ人の「自立」と「社会参加」に向けたサポート活動を行っている、平成15年に発足した団体です。
自立生活センター「所沢ファントム」代表の植田涼さんに今年の開催についてうかがいました。
今年の祭典の意気込みを語る「所沢ファントム」代表の植田涼さん
地域イベントとして定着させたい
成田:「所沢ファントムミュージックフェア」は、今年で4回目。いよいよですね。
植田さん:はい。2015年の夏から毎年開催しています。障がい者が主催して、障がい者アーティストを支えるイベントを「地域イベント」として定着できたら思っています。昨年まではミューズで開催していましたが、今年はスケジュールの都合で、所沢市元町の所沢まちづくりセンター 中央公民館ホールでの開催になりました。目標は満席の250名の方に来ていただけたら嬉しいですね。皆さんと楽しい時間を共有したいです。
所沢の障がいを持つアーティストが集結
成田:知名度など回を重ねるごとの手ごたえはいかがですか?
植田さん:課題はあります。「所沢ファントムの活動」や「障がい者のこと」を多くの人に知ってもらいたくて始めたのですが、第1回は視覚障がいを持つピアニスト高橋雅枝さんをお迎えして、第2回はアフリカンドラムを中心に演奏活動をするダウン症のアーティスト新倉壮夫さんと作曲家でピアニストの谷川賢作さんをお迎えして開催しました。その2回とも200名を超える来場者があり大盛況でした。昨年の第3回は、地元所沢で活動する人を中心にした音楽祭に変更したら、来場者も減ってしまいました。肩書がプロミュージシャンではありませんが、僕としては、クオリティはプロに劣らないくらいだと思っているんです。だから、今年も昨年のコンセプトを変更せずに、所沢で活動している障がい者アーティストを中心とした音楽の祭典にします。中には、本気でプロを目指し、CDを販売するなど着々と頑張っている仲間も出演します。(※末尾に演者のプロフィール公開)
写真は昨年(第3回)のステージの様子
昨年の悲しい事件を乗り越えて
障がい者のイメージを変える祭典に!
成田:今年の特徴を教えてください
植田さん:今年は、障がい者に対する偏見を払拭できる祭典にしたいです。障がい者は、どちらかというと、暗いイメージを持たれてしまうことが多いですけれど、そのイメージを払拭するような笑顔あふれる祭典にしたいです。忘れることもできない、昨年、神奈川県で起きた「相模原障がい者施設殺傷事件」はちょうど今月で1年。同じ障害をもつ者としては、あの事件は思い出すたびに涙が止まりません。イベント当日、開会式で挨拶に立たせていただきますので、1年前の事件に対する思いについても話す予定です。神奈川県の仲間からも要望されていますが、今回の祭典は、事件を思い出して涙や追悼ではなく、同じ障害をもったお客さんや健常者のお客さんにも、僕たちの演奏やパフォーマンス観て、楽しい気分になってもらえるような、明るいイベントを目指したいです。
笑顔いっぱいの祭典に
横浜からお笑い芸人も登場!
成田:何か特別な演出は考えていますか?
植田さん:今年は、横浜の障がい者施設「シャロームの家」さんの人たちと交流の機会があり、そのご縁で、芸人さんとして横浜で活躍する仲間たち「ラッパーとピン芸人(仮称)」をゲストとして出演を依頼しました。横浜で、障がい者のイメージを明るくする活動を行っている人たちで、一発芸で人を笑顔にしてくれるんです。横浜ではパーティの余興の芸人として人気らしいですよ。「シャロームの家」さんの協力も得て、笑顔いっぱいのイベントにしますので、是非、お越しください。
前売りのお求めは、☎04-2992-1310(所沢ファントム)まで。
第4回所沢ファントムミュージックフェア
☆出演者プロフィール☆
石橋 昴(いしばし すばる)
1984年 東京都足立区生まれその後はずっと所沢在住。
2008年に颸埜(しの)扉(ひ)に登録。2009年からギターで作詞・作曲を始める。
安居 浩二(やすい こうじ) 40才。中学2年頃から独学でギターを覚え
作詞•作曲を始めるも仕事やプライベートで挫折を味わい極度のストレスから24才で睡眠障害を患う。今は統合失調症となり治療中である。
周りの支えのおかげで大好きな音楽も再び始められる様になり今に至る。
今日も感謝の心を込めて歌います。
マリーファナ(まりーふぁな) :HIP HOP人間と宴会番長のラップユニット
Say’N(セイン)。本名岩田慧(いわた さとし)。マリーファナ所属。1984年生まれ。東京都大田区出身。高校一年の時 Zeebraのneva enuffを聴いてHIP HOPにのめり込む。お客さんには、お金払って来てもらったので楽しんで欲しいです。まだまだ納得いくライブはできませんが、月一であゆみというレンタルルームでライブしてるので興味持たれた方は颸埜(しの)扉(ひ)でスケジュール確認して来て下さい。CDも絶賛発売中です。
Booby(ブービー)。本名布施永太(ふせ えいた)。マリーファナ所属。1974年生まれ。東京都豊島区出身。二年前、Say’n(リーダー岩田慧)に誘われて参加。まだまだ歌は上手くはありませんが、リーダーの詩に感化されて作詞もがんばっています。もっともっと心の叫びを叩きつける作詞をするよう日々精進しています。よろしくお願いします。
玉津島 滝子(たまつしま たきこ)
生まれつきの視覚障がいを有し、埼玉県立盲学校を卒業し病院に勤務。
その後、結婚。現在は、所沢市視覚障害者福祉協会会長として活躍している。
長年、楽器や歌をたしなみ、現在、コーラスサークル「はなのみち」に所属している。
「歌詞の心が聴いている方によく伝わるように歌いたい。」がモットーである。
白岩 雅也(しらいわ まさや)
昭和51年宮崎県生まれ。昭和63年に所沢に引っ越し、今に至る。
17歳の時に、詩を書き始め、その詩に、曲を付けたいという思いから、19歳の時にギターを始め、22歳の時に、曲を書き始める。
現在は、3年前に結婚して妻がいて、小学6年生の娘がいる。
茂津目 敦夫(もづめ あつお)僕自身も5歳の時に父親を交通事故で亡くしましたが、交通事故で親を亡くした大学生たちを色々な形で支援をしている心塾で働いていた。しかし38歳の時に自分も事故をお越し41歳で退職。今は目と足が悪いが、オカリナを演奏して皆さんに喜ばれるように頑張っています。
横浜シャロームの家(よこはましゃろーむのいえ)
神奈川県は横浜市にある福祉施設。
昼間は黙々と作業にいそしみ最低賃金(時給930円)達成を目標に頑張っている。
が、夜になると途端に姿を変え、芸能集団と化す。
ピン芸人、ラッパー、演歌歌手など多数擁し、呼ばれればどこへでもおもむきそ
の場を盛り上げあっという間に去っていく。今宵はいずこへ。迷わず行こう。行けばわかるさシャロームの家。
And so on…
ファントムミュージックフェアは、赤い羽根共同募金の助成を頂き運営されています。
💛取材後記💛
所沢市泉町の「こどもと福祉の未来館」のロビーでインタビューさせていただきました。今回のミュージックフェアでは、植田さんは主催者に徹し、全体で合唱する時の伴奏だけの音楽披露となりますが、普段は、ピアノやキーボードなど鍵盤楽器の担当でバンドを組んで、同志と音楽活動をしているそうです。今年は、インタビューにもあった「シャロームの家」との交流を通じて、楽曲を制作。当日、もしかすると、その新曲のお披露目もあるかもしれません。
植田涼さんは、音楽好きのお父様の影響で、4歳のころからヤマハ音楽教室に入り、ピアノやエレクトーンなどの鍵盤楽器や打楽器など音楽教育を受けていたそうです。車いす生活なったのは、小学6年生の時の事故。学校給食の当番でバケツを運んでいたところ、廊下で滑って転倒し頭を強打。病院に運ばれ、3か月意識不明の重体でしたが、幸運にも命は助かり、現在に至ります。車いす生活になってからも、趣味の音楽を続け、現在は所沢内外でも交流活動を積極的に行っています。
「音楽が好き」この感情は、障がいがある人もない人も同じです。障がいを持っていても、音楽家として活動しているアーティストは、世界にたくさんいます。所沢からも、音楽で社会を明るく、勇気づけてくれる障がいを持ったプロのミュージシャンが誕生するチャンスもあるのではないでしょうか。好きなことや特技を生かして、地域の人の心を喜ばせる。その機会をつくり、地元の人の技能や才能を伸ばすのは、私達ひとりひとりが作る地域コミュニティかもしれません。
植田さんは、前向きなお人柄で、インタビュー中も冗談を交えながら話してくださり、わずか30分ほどの時間でしたが楽しく取材をさせていただきました。ありがとうございました。
2017年7月
フリーライター 成田知栄子