三富千人くず掃きレポート~武蔵野の伝統を守るために~
三富(さんとめ)地域で行われている循環型農業、これには雑木林における落ち葉掃きが欠かせません。平地林は「ヤマ」、落ち葉は「くず」と呼ばれています。このくず掃きの総参加人数が千人を数えることから「三富千人くず掃き」と称されるイベントのレポートをお届けします。
取材日:2020年1月25日 ボランティアライターじん
ボランティアライターじんです。僕がお世話になっているボランティア団体「ところざわ地域の自然グループ」「グリーン・フォレスト・ネットワーク所沢」は、普段は狭山丘陵で活動していますが、このくず掃きの趣旨に賛同し例年三富地域のこのイベントに参加しています。今回横山農園の横山進氏の許可をいただき、作業をしながら取材させていただくことになりました。
冒頭の写真の真ん中の人、よく見てもらっていいですか。所沢なびでの連載パートナー「むなぞー」こと「宗像茜衣」さんです(連載についてはこちらをご覧ください)。実は今回、「一緒にやろうよ!」って声をかけてモデルとして参加してもらいました(実は貴重な労働力として…むなぞーには内緒ね)。
三富地域は台地で水が少なく、栄養分の少ない土地でした。そこで約300年前から三富新田として循環型農法がとりいれられました。土地は短冊状に地割され、雑木林、畑、屋敷林という形で整理されました。ここで行われたのは雑木林の落ち葉を堆肥にし、堆肥を肥料にし、土を豊かにし、作物をつくりあげるという持続的な農業です。三富地域のあるくぬぎやま地区は日本最大級の平地林を有しております。そしてその農法は現代でも受け継がれ「日本農業遺産」にも認定されております。この農法を伝えていくため、「千人くず掃き」は市民参加のイベントとして実施されており、今回が9回目になります。
開会式の様子です。今日の参加者は110人とのことです。本日が初日で今後も継続して作業が予定されております。
マイクを持っていらっしゃるのは、元日本写真家協会会長の田沼武能氏です。令和初、写真家初の文化勲章授与者で、武蔵野をテーマとした写真を撮り続けていらっしゃいます。右端の方が横山農園の横山進氏で農法を守り続けている方です。守る人と伝える人、この自然と伝統のために努力してくださっている方々です。
では早速くず掃きの作業をむなぞーと参加者のみなさんと紹介していきたいと思います。
まずは、落ちている小枝などを取り除きます。これは落ち葉の中に小枝などが残っていると堆肥になりづらいためです。
小枝などを取り除いた後は、熊手を使って落ち葉を集めます。
みんなで協力して、集めていきます。
ちいさなお子様もがんばっています。
むなぞーももちろんがんばりました。
集めた落ち葉はネットに包んで、トラックに載せていきます。
トラックに載せた落ち葉は、一か所に集められそこで山のように積み上げられます。
これが一連の作業になります。
落ち葉が集まるといろいろと楽しいこともありますよ。
落ち葉のプール
落ち葉が背中にはいっちゃったね。
松ぼっくり発見
こちらは竹かごです。人が運ぶ場合にはこれに落ち葉を詰めます。いっぱいに詰めると大人でも持ち上げるのが大変なくらいに重くなります。
これはすごいですね。強風で落ち葉を飛ばしていきます。
落ち葉の下からこんにちは。
リンドウの芽
シュンラン、真ん中に小さな花芽
落ち葉掃きすることにより、林床に日光があたるようになり、こういった春の花が育つことができます。人と自然が共生する里山らしい光景です。
作業もだいぶ進みました。むなぞーがんばったね。
午前の作業のあとには地元野菜を使ったおいしいけんちん汁をいただきました。
みんなで協力して集めた落ち葉は大きな山になりました。この中で虫や菌類によって分解され、堆肥がつくられ、そしてそれを肥料においしい作物がつくられます。そのためにはたくさんの人の協力が必要なことを学びました。
三富地域は都心に近い場所であり、交通の便もよく、平地でもあることから、常に開発の危険にさらされています。しかし、この自然の力をお借りした農法を守るために努力している人たちがいます。その貴重な農法が所沢とその周辺の地域で行われていること、もっとたくさんの人たちに広めていきたいと思っています。
三富の農業と歴史を知っていただくこと、それがこの貴重な自然と伝統を守る力になることを信じて。
主催:三富地域農業振興協議会
取材協力:ところざわ地域の自然グループ,グリーン・フォレスト・ネットワーク所沢
モデル:宗像茜衣 公式ホームページはこちら