フードパントリー開催 “桂ん家”&“さんとめキララ”
ー地域の食生活支援を 今だからこそ力をあわせてー
▲希望者の方のためにご用意したおすそわけ食材。
これまでは各々で多世代参加型子ども食堂を開催していた「桂の食卓~桂ん家」と「さんとめキララ」が、2020年7月18日(土)午前10時30分~ 所沢診療所敷地内駐車場にて2施設合同フードパントリーを開催しました。
コロナ禍による影響で子ども食堂の開催が見送られる中、貧困や疾病等により日常の食事にお困りの方たちのためにフードパントリーを行う団体が全国的に増えてきています。
今回のフードパントリーをリポートするとともに、医療生協さいたまの広報誌『けんこうと平和』との取材に同席させていただきましたので併せてお伝えします。
2020年7月31日
所沢なびライター 坂本 隆二
Q「.フードパントリー」って何ですか?
ー桂ん家のスタッフさんにお聞きしましたー
A.私たちが使っている意味での「フードパントリー」とは、食品や食材を無料で配布する食生活支援の取組みのことをいいます。
企業からのご寄付や、行き場の無くなった学校給食用の食品などを受取って、様々な事情でお困りの方々に適宜お渡ししています。
※「pantry」とは、直訳すると「食糧庫」を指します。
1.“桂ん家”&“さんとめキララ“合同フードパントリー 【リポート】
開催日時の30分前である午前10時頃、会場である所沢診療所内駐車場に取材のためお伺いしました。
▲所沢診療所 外観(宮本町2-23-34)。画像は2020年7月19日撮影のもの
この日は残念ながら雨。
予約で受取りの申し込みをされた人たちは来てくださるでしょうか・・・
今回 予約された方は34名。三密を避けるために前もって予約時間を決めてお待ちするとのこと。
今回、あらかじめお渡ししたチラシが、こちらだそうです。
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▲所沢市のハローワークなどに出向いて1人1人に手渡しされたそうです
開始前のミーティング後、職員さんやボランティアスタッフさんがそれぞれの役割に分かれて、来場される方々を待たれていました。
▲地域連携担当の職員さん、医療スタッフさん、ボランティアスタッフさんによる開始前確認。
赤いエプロンの方がボランティアスタッフさんです
▲初めての方が戸惑わないように、会場へのご誘導を任されていたスタッフさん。
雨降りの中、開催時間中ずっと役割を担ってました
▲おすそわけ食材の袋の中身を撮らせてもらいました。
埼玉県子ども食堂ネットワークやJAさん等がご提供くださったそうです
開催時間が近づいてきて、予約していた方々がひとり、またひとりといらっしゃいました。
▲お声掛けして受付までご案内。
来場された方々に性差・年代差の偏りはそれほどなかったとのことです
▲受付で今日の予約の確認と今回の概要、次回のご案内などをお伝えしていました
チラシに書かれていた【健康相談】のテーブルを訪れる方々もいらっしゃいました。
▲フードパントリーに来て、健康相談までできるのはありがたいですね
▲医療スタッフさんが、症状に不安をお持ちの方の話を親身に聞いていました
▲健康相談以外の相談もお受けしていたようです。
2事業所の職員さんがお話をお聞きしていました
▲ひと巡りされた後、ボランティアスタッフさんと会話を楽しまれる男性。
来月の取組みのチラシを見ながらお話していました
▲お子さん連れの女性もご来場。
お子さんが居ると周りの空気がほっこりなごみます
来場された方々が徐々にまばらになってきたので、時計を見ると・・・、
正午前、終了時間間際となっていました。
▲雨天の中多くの方がいらっしゃいましたが、都合がつかないのか来られていない方も・・・
受付スタッフさんが、来られなかった方々に連絡を取っていたようでした。
会場に向かっている方や道に迷われている方はいないようです。
この時点で残ってしまったおすそわけの包みは、廃棄しなくて済むよう工面されるそうです。
(あとでお聞きしましたが、ボランティアスタッフさんがご自宅までお届けした先もあったそうです。)
素早く撤収作業をして、ようやくお疲れ様のひと息です。
▲平時には子ども食堂が開催される一室(地域コミュニティ―ルーム)で、茶話を交えて振り返りをされたそうです
さて、来月の【桂の食卓~桂ん家】では、テイクアウト形式で“お家で晩ご飯”をスタートするそうです。
※先着100食を予定とのこと。
▲テイクアウト形式ですが、第3金曜日 夕方のお楽しみが再開しました
2.フードパントリー開催 “桂ん家”&“さんとめキララ”
【インタビュー】
合同フードパントリーが行われたこの日の午後、”桂ん家”担当:所沢診療所 地域連携担当 清水さんと“さんとめキララ”担当:埼玉西協同病院 地域連携課 茂木さん・山内さんが、医療生協さいたまの広報誌『けんこうと平和』のインタビューをお受けになると聞き、同席させていただきました。その様子をお伝えします。
インタビュアー:株式会社マーケティングネットワーク
編集チーフ・ディレクター 高橋 美里さん
撮影・文:所沢なび ライター
坂本 隆二
▲左から埼玉西協同病院 地域連携課 山内さん
同じく地域連携課及び県西地域組織担当責任者 茂木さん
最右 所沢診療所 地域連携担当 主任 清水さん
中央 後姿がインタビュアー 高橋さん
ー“桂ん家”さんと“さんとめキララ”さんとの合同でのフードパントリーは初めてですか?
山内さん/茂木さん/清水さん
「はい。合同は初めてです。」
ー合同で開催した目的というのは?
茂木さん
「今までつながりのなかった人たちのためにもフードパントリーができないか?というのがあって。今まではそれぞれが、繋がっている人たちに向けてのパントリーというのはやっていたんです。そこを一歩越えて、っていうのが合同で開催した目的です。」
ー具体的に言うと?
茂木さん
「仕事を失って困っている人ともつながりたい!って。
それでハローワークに来ている求職中の人にも届くよう、許可を得てこの3人で日時を組んで何度もチラシを配ったりしました。あと、保健センターと市役所内にあるこども相談センターにもご案内をしました。」
清水さん
「(チラシを見て問い合わせの)反応率も高かったですね。」
ーでは、今日来られた方たちというのは?
清水さん
「桂ん家への問い合せで今日来られた方で、日頃子ども食堂に来ている方は殆どいません。今お話したハローワークつながりの方々や社会福祉協議会、地域包括支援センターを通しての方達です。」
ー今日は予約が34名、そのうち来場者数が27名ですね。
茂木さん
「今日来られなかった方の所へボランティアスタッフさんがもう届けに行ってくださったりして。助かってます。」
ー今回の食材の調達は?
清水さん
「“埼玉県子ども食堂ネットワーク” から。」
茂木さん
「清水さんと山内さんが毎週のように受け取りに行ってくれて。」
ー通常、子ども食堂をやっている時も“埼玉県子ども食堂ネットワーク”から食材提供を受けておられた?
清水さん
「いえ、違います。
“埼玉県子ども食堂ネットワーク”というのはそもそも、埼玉県内の子ども食堂それぞれが情報共有をして、横で繋がりましょうという目的のもとに集まった組織です。
今回パントリーでいただいている食材というのは、コロナ禍によって生じたものです。学校が休校となり、給食センターで使われるはずの大量の食材が使われないまま残ってしまったので、“埼玉県子ども食堂ネットワーク”が行き場を失ったその食材を引き受けて、引き取りの意思表示をした県内それぞれの子ども食堂に提供しています。
ですので、子ども食堂が開催できていた時期は、食材の提供をそちらからは受けていません。」
―失礼しました。今回、ほかにはどちらから食材の提供がありましたか?
清水さん
「JAさんから野菜の提供がありました。
それと、企業さんから社会貢献の一環でいただいた食品が若干あります。」
ー今日は雨の中さまざまな方が来場されましたね。
清水さん
「今回、ハローワークがきっかけで初めてつながった方がいらっしゃって、これまでご縁があった方々とはまた見えてくるものが違う。
コロナの影響で解雇になり、収入が突然途絶えてしまって…という方がいらっしゃいました。生活が厳しいっていうのは20代~高齢者どの年代であっても起こり得るようです。」
ー『けんこうと平和』※読者の方々にお伝えしたいことは?
※医療生協さいたま生活協同組合広報委員会が発行している月刊広報誌
茂木さん
「組合員の方って“誰かのために”という気持ちの強い人がたくさんいると思います。今、コロナ禍の中で困っている人たちがいて、“自分たちに何ができるか?”という話が出てきて、私たち職員も“何ができるかな?地域のために”というのを一緒になって考えてみたんです。それを子ども食堂やパントリーでできればいいなって。その活動に参加することで、組合員の方も元気をもらえるんじゃないかって。」
ーそれは医療生協だから、組合員だから、というのではなく、どの子ども食堂であっても・・・。
清水さん
「はい。そうです。」
ー地域のためにつながっていけるんじゃないかと・・・?
清水さん
「はい。今日、民生委員の男性がいらっしゃって、その方は地域の子供の居場所づくりを展開してる方なんですけど、その方もフードパントリーをやってみたいと。ただ、(現状として)あそこはどうだから・・・とかの垣根を取り払って、つながっていかなくちゃダメだと思っている。今度ウチでフードパントリーをやるときには見に来てください、と仰っていました。」
茂木さん
「困っている人にとって、”どこが”とか枠組みなんて関係ないと思うんです。
“助ける場”が増えることがいちばんいいんじゃないですかね?」
清水さん
「でも医療生協の場合、地域との連携はできているかな、今後は更に広げていくのが大事かなと思います。」
ー最後に、今後の展開をお聞きしたいのですが?
茂木さん
「私は、市役所に手続きに来られた方に子ども食堂やフードパントリーの話をお知らせできればなと。例えば、ひとり親世帯で医療助成の手続きにに来られた人とか。まだ、できるかわかりませんが、タイミングが合えば。
そんなふうに大変な人につながれればいいなと思います。」
清水さん
「企業との連携も進めています。例えば、埼玉西武ライオンズが県内の子ども食堂に冷凍庫の寄贈を決定していて、既に手を挙げています。また、大手外食チェーンなど、企業の社会貢献の目線が、地域の子ども食堂やフードパントリーにも向いてきているので、この機会を上手く活かしていきたいですね。」
ー今回の活動内容は、『けんこうと平和』9月号にも掲載される予定です。
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◆所沢診療所
所沢市宮本町2-23-34
☎04-2923-3691
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◆埼玉西協同病院
所沢市中富1865
☎04-2942-6099
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