早稲田大学所沢キャンパス祭2020~「出来ることを最大限に」初のオンライン開催~
所沢なびでは、早稲田大学所沢キャンパス祭を例年取材させていただいております。でも今年のキャンパス祭は関係者以外キャンパス内に立ち入ることができません。しかし、学生さんたちがこのコロナ禍のなかでキャンパス祭の歴史を絶やさないために知恵を振り絞ったことを市民のみなさまにお伝えし、次回以降につながるお手伝いをさせていただければと思い、この記事を書いています。同じくボランティアライターの前原麻世さんとの共同記事になります。写真たっぷりでお届けする例年の記事とは異なりますが、是非最後までご覧いただければと思います。
取材及び構成:2020年10月25日,11月1日 ボランティアライターじん
① 第17回早稲田大学所沢キャンパス祭がオンライン開催されました
2020年10月25日、例年この時期に開催される早稲田大学所沢キャンパス祭(以下:「とこ祭」と略します)ですが、今回はインターネットを利用した「オンライン開催」です。許可を得た関係者以外は学内立ち入り禁止です。天気は快晴、絶好のとこ祭日和のなか、午前10時配信が開始されました(当日配信画面の掲載はできませんのでご了承ください)。
画像:早稲田大学所沢キャンパス祭ホームページ(2020年11月時点)
こちらのとこ祭ホームページにメインステージの様子、各種企画配信、クイズ企画の3つの画面が表示され、閲覧者は好きな画面を自由に選べる形でした。とこ祭に実際に足を運ぶとキャンパス内の移動時間が発生するので、一瞬で画面が切り替わるのはオンライン開催ならではと思いました。
配信をみて感じたことをボランティアライター前原麻世さんと綴っていきます。
●オープニング(記:じん)
オープニング動画にとこ祭実行委員さんの想いがつまっていると感じましたので、メモをとれた範囲でお伝えします。
動きださないといけない。
今できることをやってみる。
いつものとこ祭はできないかもしれないけれど、
できることをやってみる。
今できることを私たちらしく。
今開演
冒頭から今学生さんの置かれている厳しい状況、その中で精一杯開催に向けて努力してきた苦労と想いが伝わってきてグッときました。
●早稲田大学よさこいチーム東京花火さんステージ(記:じん)
華やかな衣装をまとって登場しました東京花火さん。今年も奇抜なメイクをしている方もいらっしゃいます。パワーあふれるよさこい、画面越しに見ている僕のところにも笑顔で踊るみなさんの「踊れるよろこび」が届きました。
●WASEDA BALLERSさんステージ(記:じん)
フリースタイルバスケットボールのWASEDA BALLERSさん。バスケットボールを使ってのダンスステージを披露してくださいました。バスケットボールの未経験者もたくさんいらっしゃるとのこと。様々な衣装でボールをつかって踊る姿は圧巻でした。
●学部説明会(記:じん)
学生さんや教授による学部説明会が行われました。これから早稲田大学を受験しようとする方にわかりやすく特徴などを説明していらっしゃいました。先輩の生の言葉はきっと受験生のみなさまの参考、目標になったのではないかと思います。
●キャンパスツアー(記:じん)
所沢キャンパス、広大な敷地内に各種施設が充実しております。そのひとつひとつを学生さんが丁寧に説明していました。この施設にはこんな意味があるのかと興味深く聞かせていただきました。「ぜひ来年、キャンパスに足をお運びいただけると嬉しいです」とのメッセージ、実現することを願っています。
●早稲田大学チアリーダーズFALCONSさんステージ(記:じん)
チアリーディングのFALCONSさん、今年も圧巻のステージを見せてくれました。高く飛び、華やかにポーズをとり、最高の笑顔を振りまきながら元気いっぱい演じてくれました。画面越しにも、その魅力と迫力が伝わってきました。
●下駄っぱーずさんステージ(記:じん)
下駄を履きながらダンスパフォーマンスを行う下駄っぱーずさん。毎年思うのですが、本当に下駄履いているの?ってくらい激しいダンスを踊ってくれます。踊っているときの下駄の音も迫力があります。派手な衣装と奇抜なメイクのみなさんが華やかなステージを見せてくれました。
●バンカライズムー万色主義ーさんステージ(記:前原麻世)
自ら購入した学ランをペンキで塗ったオリジナルデザインのものを着て踊るという独自のこだわりを持つ男女混合のダンスサークルさんです。見る者の「なぜ学ラン?なぜペンキ?」といったギモンをものともせず、ダンスはストリート系、そして雑技を織り交ぜた枠に囚われないパフォーマンスを繰り広げてくれました。キャッチコピーは「すべての人の野心に火をつける」、視聴者の私もそんなあり方でいたいな、と思わせてくれました!
●SARAHbellyさんステージ(記:前原麻世)
ベリーダンスをポップスの曲に合わせて踊るという異色のパフォーマンスを見せてくれたのがSARAHbellyさん。メンバーにはダンス経験者もいるそうですが、入部時には全員がベリーダンス未経験、プロのインストラクターさんを招いて習っているそうです。腰・お腹をくねらせたり震わせたりする動きが特徴でなかなか難しそうですが皆さん涼しげに踊っていました! 高田馬場の練習スタジオの近くで出会ったヒッチハイクシンガーさんの楽曲を使って踊るなど、選曲へのこだわりも注目の団体さんでした。
●もりラジ(記:じん)
ゆるーい感じのトークがよかったです。一年生のときにやっておくことの設問への答えが面白くて、現実的で、いつの時代でも大学生活って基本は変わらないんだなぁと、はるか昔の自分の大学生活を思い出しながら聞いていました。
●Ending Festival(記:じん)
9ヶ月ぶりに会って、いきなりの大役を担った司会のお二人、お疲れ様でした。日も暮れ夜の帳の落ちたステージ上に、再びベリーダンスと学ランダンスが披露されました。幻想的な照明と雰囲気のなか、エンディングを盛り上げてくださいました。最後に実行委員長の佐々木歩さんから閉会の挨拶が行われ、とこ祭はフィナーレとなりました。
佐々木歩さん:とこ祭Instagram(10/25)より
次項では、このとこ祭実行委員長の佐々木歩さんに後日行ったインタビュー内容をお届けします。
② 早稲田大学所沢キャンパス祭実行委員長 佐々木歩さんインタビュー
とこ祭からちょうど一週間後、11/1に所沢市内の喫茶店にて佐々木さんにインタビューさせていただきました。佐々木さんとお会いするのは一年ぶりです。実は、昨年の第16回とこ祭の案内をしてくれたのが当時2年生で渉外局の担当だった佐々木さんなんです。その時の記事はこちら(【前編】早稲田大学所沢キャンパス祭2019~本部企画と会場の様子をご紹介します~)(【後編】早稲田大学所沢キャンパス祭2019~華やかなステージ企画を中心に紹介します~)
今年は3年生で実行委員長という大役を担った佐々木さん。開催にあたっての苦労や後輩に託す想いなど、素敵な話をたくさん伺うことができました。
ーー佐々木さんお久しぶりです。お忙しいところありがとうございます。率直なところ今のお気持ちはいかがですか?
佐々木さん:正直なところホッとしています。終わったあと寂しさに襲われていたのですが、仲間からのLINEで救われたりしています。
ーーそうですよね。今年はオンライン開催ということでたくさんご苦労もあったことと思います。どんな経緯があってオンライン開催に決まったのですか。
佐々木さん:3月頃から授業が中止になったりしましたが、ゴールデンウィーク明け位には元に戻るかなといった軽い感じで捉えていました。その後状況がだんだん深刻化してきて開催中止も含めて検討せざるを得ないというところまで来ました。ただ「どんな形であれ開催することに意味がある」というのは幹部の一致した意見でした。6月までは対面開催(昨年度までと同様に学生や観客を招いての開催)とオンライン開催の両方の可能性を考慮して検討を進めていました。そして早稲田祭2020がオンライン開催に決まったこともあり、とこ祭も7月上旬にはオンライン開催とすることに決定しました。対面開催は過去の経験があるのでわかりますが、オンライン開催はイメージが全くなかったので手探りでした。今回初めての企画が多い中、一から作り上げていきました。
ーー決定してから当日まで3か月くらいしかなかった訳ですね。
佐々木さん:インターネット配信に詳しい放送研究会に協力してもらったりしながら、ステージ・企画・クイズ企画の3つの配信枠をつくることなど、具体的に形にしていきました。当日は配信内容を確認しながらドキドキしていました。途中で配信が停止したらどうしようかというのが一番の不安でした。結果一度も停止することなく最後まで配信できて本当に良かったです。新型コロナウイルス感染者を出さなかったことについても安堵しました。
ーースタッフだけでもかなりの人数になりますからね。感染対策で気を付けたことはどんなことですか
佐々木さん:大学側にも協力していただき「世間が認めてくれる感染対策」という視点で、ここまで対策してそれでも感染者がでたら仕方がないというラインまで取り組みました。出演者、スタッフ等で総勢400人位になるのですが、学内立ち入り者に関してはすべてリストで管理し連絡先もすべて控えてあります。ステージ出演者に関してもステージ以外はすべてマスク着用を徹底し、食事場所は指定場所だけにするなどの対策をとりました。ステージから控室までの動線が長いのですが、団体ごとにそれが交わらないように配慮しました。また学内に限らずスタッフが集まっての食事会なども自粛しています。大学側は僕らを信頼しているからこそ開催させてくれました。その信頼を裏切ることはできないという気持ちが強かったです。
ーー画面ごしではわからないたいへんな苦労があったのですね。今年入学した1年生の委員にとっては初めてのとこ祭になりますが、いきなりオンライン開催となり戸惑いもあったのではないですか。
佐々木さん:1年生にとっては「受け入れざるをえない」というのが正直なところだったと思います。上級生は昨年までのイメージがありますが、1年生にとってはそれすらない訳ですから。10月に2回定例会があったのですが、1年生にとってはその時はじめて他のメンバーと顔を合わすことになりました。直接会う機会が取れなかったんです。ここは反省点なのですが、オンラインでもいいので、もっと会う機会を持たせてあげればよかったなと思っています。でも1年生はほとんど委員をやめませんでした。来年、今年の分も楽しんでもらえればと思っています。
ーー1年生に限らず委員のみなさんをまとめていくうえで気をつかったことなどあればお願いします。
佐々木さん:対面でやりたいという共通の想いが持ちつつもオンラインでやるという状況だったので、幹部主導で進めた場面も多くありました。委員のみんなもとこ祭に対しての想いはたくさんあったと思うのですが、それを全部取り入れることはできないので、不満をもっていた委員もいたと思います。でも最後はみんなついて来てくれました。本当にいいメンバーに恵まれたと思います。とこ祭は幹部だけではできないんです。委員ひとりひとりの支えがあってこその成功だったと思います。
ーー委員長として1年間やってみての感想をお願いします。
佐々木さん:1年生の時はとこ祭を楽しむ側だったと思います。その後2年たって楽しませる側になったと思います。自分が楽しい/楽しくないの2択しかなかったのが、参加してくれた人が楽しんでくれたか/くれなかったかという視点でとらえるようになりました。相手がどう思うかを考えられるようになったのは委員長をやってこそのことだったなと思います。
準備の段階は辛いことが多かったです。でもこのポジションにいなかったら辛いことを感じることもできなかったので大きな経験だったと思います。10月に入って本番が近づいてきてプレッシャーに負けそうになったこともあります。でも終わったあとの充実感は何ものにも代えがたいものでした。後輩が「佐々木さんが委員長でよかった。オンライン開催ができたのも委員長のおかげ」と話してくれているのを知ったときには本当にやってよかったと思えました。見てくれている人はちゃんと評価してくれることがうれしかったです。
ーー後輩のその言葉は何よりも嬉しいですね。実行委員長は今年で終了ですが、後輩たちへはどんなことを伝えたいですか。
佐々木さん:僕自身も先輩が伝えてくれたものを後輩に伝えたいと思ってやってきました。自分たちの代でとこ祭を中断したくないという想いもありました。今年はオンラインでしたが、前例がないから思い切ってできた部分もあります。もし来年もオンラインとなった場合、後輩たちは今年のとこ祭のイメージが足かせになる可能性もあります。後輩たちには僕が学んだように自分が楽しいということとともに、相手に楽しいと思ってもらえるようにの視点をもってほしいと思います。自分を信じて取り組めば最後はよかったと思える、必ずハッピーエンドを迎えられます。そしてその経験を更にその下の代に伝えていってほしいと思います。
ーー自身の経験に基づいた重みのある言葉ですね。ありがとうございます。最後に所沢市民はじめ所沢なびの読者の方にメッセージいただいてもよろしいですか。
佐々木さん:とこ祭は地域の方がメインターゲットです。毎年地域の行事に参加させていただいたりして地域との結びつきを深めて開催当日を迎えるのですが、それができませんでした。今年はその分つながりが薄くなってしまいましたが、また結びつきを強めていただければと思っております。来年は対面開催ができると信じています。その際には是非とこ祭に足を運んでください。
ーーありがとうございました。以上でインタビューを終了します。
佐々木さん去年と全然雰囲気変わったね。1年間の経験と自信があふれだしていました。言葉に実感がこもっている。本当に素晴らしい経験をしたのだと思いました。そして何度も口にされていたのは、一緒にとこ祭を作り上げた仲間・先輩・後輩・大学・参加者へ感謝でした。
最後に僕からのお願いと感謝です。佐々木さん、所沢で学んだこの経験を活かして立派な社会人になってね。そして卒業した後もたまには所沢で学んだ4年間を思い出してくれたらうれしいです。実行委員長としての1年間は君をひと回りもふた回りも大きくさせたのは間違いない。僕が保証します。きっと後輩たちは伝統を受けついで来年また素晴らしいとこ祭を開催してくれると思います。熱い気持ちを伺えて本当にうれしくて楽しい取材でした。本日は本当にありがとうございました。