「もっともっと多くの人に知ってもらえれば」ライオンズ髙橋光成投手、捜索救助犬訓練見学会に参加
2022年シーズン、チームトップの12勝を上げ大活躍だった埼玉西武ライオンズ・髙橋光成投手。そんな若きエースは大の愛犬家としても知られています。2021年からは社会貢献活動の一環として、地震や豪雨災害などの現場で行方不明者の捜索を行う捜索救助犬を育成・派遣している「NPO法人日本捜索救助犬協会」へ寄付を行っています。
今年は、公式戦で一試合登板するごとに2万円ずつ積み立て、11月に開催された『LIONS THANKS FESTAS 2022』で、そうして積み立てられた26試合分、計52万円の寄付金の贈呈式が行われました。
その寄付金贈呈式にも参加してくれた救助犬たちの訓練の様子を見学するため、12月10日、髙橋投手は埼玉県久喜市の捜索救助犬訓練を行う広場を訪問しました。
「コロナでなかなか来れなかった」という訓練見学。今回は念願叶って初の訪問です。雨男を自称する髙橋投手ですが、この日は見事な快晴に恵まれました。
訓練を行う広場では、まず多くの現役、あるいは引退した捜索救助犬たちと触れ合います。大きい子も小さい子もみんな人なつこくて、人に遊んでもらうのが大好き。これは、救助犬にとって大事な資質だそうです。
ボール投げで遊ぶ場面では、髙橋投手がワンちゃんのためにボールを投げます。ライオンズのエースにボールを投げてもらえるなんて、ライオンズファンから見たら羨ましい限り!
が、中にはボールに興味を示さない子もいて、髙橋投手が自分で投げたボールを自分で拾いに行く場面も。犬も一頭ずつ個性がありますね。
触れ合いと遊びが一段落すると、いよいよ訓練です。江口さんに教わりながら、髙橋投手もトレーナーとして捜索救助犬の訓練を体験します。髙橋投手がパートナーに選んだのは、たくさん触れ合った犬たちの中で一番元気だった「エルザ」。人の周りをクルクル回って遊んでほしがる、とっても活発な5歳のワンちゃんです。
まずは江口さんによるお手本。
江口さんに指示された通り、人の横にしっかりくっついて行動します。これには髙橋投手も「さっきまで走り回ってボールを追っかけてたのに、訓練に入ったとたんに横にピタッと付いて行動できて凄い」と驚いていました。
次に髙橋投手がチャレンジ。江口さんのお手本通りに指示を出しますが……
エルザは遊んで欲しそうに髙橋投手にじゃれついてしまい、指示に従ってくれません。
しかし、江口さんのアドバイスを受け再チャレンジすると、この通り!
さすが大の愛犬家、センスがありますね。髙橋投手本人も「引退したらこちらのボランティアに入りたいな(笑)」とご満悦でした。
続いては捜索の訓練。髙橋投手が救助される人の役となり、大きな箱の中に隠れてエルザに捜してもらいます。と、ここで髙橋投手は実は閉所恐怖症という衝撃の事実が判明します。
「本当に怖い」「助けて〜」と救いを求める髙橋投手に応じるように、エルザはものの数10秒で髙橋投手を発見。要救助者の存在を吠えることで報せます。
「本当に怖くて、『早く来て欲しい』って(笑) 感謝してます」
すぐにエルザに見つけてもらうことができて、髙橋投手は安堵の表情を浮かべていました。
訓練見学会を終え、髙橋投手がこの日の感想などを語ってくれました。
「人のために頑張ってるワンちゃんたちと触れ合えて本当に凄いと思いました。(今年のような登板数ではなく)イニング数や三振数など変更を検討中ですが、来シーズン以降もこの活動はぜひ続けていきたいと思います。
僕が活躍することによって多くの人に(捜索救助犬の活動を)知ってもらえると思うので、本業の野球を頑張って、もっともっと多くの人に知ってもらって、『こうやって頑張ってるワンちゃんがいるよ』っていうことを伝えていければ。隠れたとき本当怖かったので(笑) こうやって僕みたいに多くの人を救ってもらいたいです」
今回この取材をさせていただき、人のためにがんばってくれている救助犬たちの姿に私も少なからず心を動かされました。この記事を読んでくださったみなさんの心の中に、少しでも捜索救助犬に対する興味が沸いてくれたなら嬉しく思います。
髙橋投手は最後に、来季に向けての意気込みも語ってくれました。
「三振が課題なので、球速アップに取り組みたいです。奪三振には球速がマストなので。優勝が遠のいているので、優勝したいですねぇ。FA移籍した森友哉選手との対戦は楽しみです。スーパーバッターなので」
奇しくも来年2023年シーズンにベルーナドームで行われる開幕戦の対戦相手は、森選手の移籍したオリックス・バファローズ。もしも髙橋投手が今年同様開幕投手となれば、シーズン幕開け早々に夢の対決が実現することになります。ライオンズファンとしては、髙橋投手が豪速球で三振の山を築くシーンが見たいですよね。
人のために頑張る捜索救助犬と、頑張るワンちゃんたちのために決意を新たにする髙橋光成投手。その両方とも応援したくなる、心温まる一日でした。