歴史を感じる佇まい。時計を愛する時計屋さん「東京堂時計店」
現在は高層マンションが建ち並ぶ所沢の中心市街地「旧町」と呼ばれるエリアにある、市内で最古の時計店「東京堂時計店」。変わりゆく街並みの中、創業当時と同じ場所で時計への想いと確かな技術を脈々と継承している老舗店です。
初めて扉を開けて店内に入った時の驚きと感動は今でも覚えていますが、店内の様子を知って以降も続くわくわく感、これを楽しみにこのお店を訪れる人も多いと思います。
まるで時計の博物館のような、異空間と言っても過言ではない店内には、壁掛け時計、柱時計、鳩時計に置時計、と大小様々な時計が並び、チクタクと時を刻んだり、ボーンボーン、ポッポーと時を知らせたり、それぞれに心地良い音を発していて、まるで物語のワンシーンに入り込んだような気分になります。
新型コロナウイルスが流行する前には「町探検」と称して、子どもたちが東京堂時計店を訪れることもあり、映画やテレビなどでしか見たことないような時計に大興奮していたそうですよ。時計が時間を認識するためだけのものではない、という感性をこの東京堂時計店で磨いていった子どもたちも多いのではないでしょうか。とても素晴らしい社会貢献活動だと思います。また以前のようにそんな町探検が出来るようになってほしいですね。
ずらりと並ぶ壁掛け時計の上に掲げられているレトロで美しい看板は、創業当時から受け継がれているもので、金糸の刺繍で作られているのだそうです。両サイドのかっこいい広告ポスターや額も、当時のものだというから驚きです。
こちらの龍も金糸の刺繍で作られたもので創業時のお祝いで贈られたのだそう。丹精込めて作られたものだということが130年以上経った今でもひしひしと伝わってくる美しさです。
明治25年(1892年)に東京堂時計店をこの地に創業されてから今の店主さんで4代目。昔は時計といえば高級品で、大切な人への、また、大切な人からの贈りものであることも多く、修理やメンテナンスをしながら永く使い続ける貴重な品でした。
リーズナブルで精度の高い時計が簡単に手に入るようになった現代では、機械式時計の修理やメンテナンスが出来る技術者がどんどん減ってきているそうです。東京堂時計店には、永く愛用し続けるために定期的に分解して手入れをしたい、他のお店で断られたが諦めきれず手放せない時計がある、といった方々からの相談が全国から集まってきます。
「あなたの大切な時計を蘇らせます 東京堂」と書かれた何ともあじのある手作りの木の看板。もし、壊れたまま捨てることも出来ずに大切にしまってある時計があれば、是非一度相談に訪れてみてはいかがでしょうか。
東京堂時計店のそのあまりにも素敵な店構えのおかげで、「こんな専門店で修理をお願いするような高価な時計じゃないし…。」「ただの電池交換なんて頼んでいいのだろうか。」と躊躇する人も少なくないようです。
実際わたしがそうでした。「あのぉ、ただのベルト交換なんて、お願いできるのでしょうか?」とおそるおそる扉を開けて尋ねたところ、「もちろんですよ。時計に関することなら何でもやりますよ。」と、何でそんなこと聞くの?とでもいうような少し驚いたように応対してくれた店主さんのお顔をよく覚えています。
ベルトや電池の交換等の普段使いの時計のことも、何でも気軽に相談してみてくださいね。東京堂時計店では価格の高低ではなく、持ち込まれた時計が誰かの宝物だということを念頭に置いてとても大切に扱ってくれますよ。
店内の一角に「一日だけの雑貨屋さんvol.32」の開催情報が小さく案内されていました。様々な分野で活躍されている作家さんたちが、自信作を携えて年2回ペースで一堂に会する雑貨店で、東京堂時計店店主の奥さまも作家のお1人です。
とことこタワーまつりと同日の2023年5月14日(日)に東京堂時計店前で開催されます。上記の写真は2022年5月8日に開催された「一日だけの雑貨屋さんvol.30」で、このとき初めてこの雑貨店を訪れたのですが、そのクオリティの高さには驚かされました。
実用的なアート作品、といった感のあるものが多く「商品」というより「作品」という印象です。作品の一部や、今後の開催日などの情報はInstagramで案内されていますよ。
一日だけの雑貨屋さんのInstagram⇒ zakka.ya3
とことこタワーまつりを大いに楽しみ、一日だけの雑貨屋さんでアートを身近に感じ、気になっていた東京堂時計店の扉が開け放たれる2023年の5月14日(日)、とっても待ち遠しいですね♪
■店舗詳細
東京堂時計店
住所:埼玉県所沢市元町28-7
電話:04-2922-2871
営業時間:10:00~18:30
定休日:木曜
東京堂時計店 店主のブログ⇒ 古時計修理人 時計を愛する時計屋です