「所沢水紀行」 ~所沢にある源流を巡ってみました~
ボランティアライターじんです。所沢には中小の河川がたくさん流れています。その多くは狭山丘陵に端を発し、合流を繰り返しながら東京湾に注ぎます。そんな水辺を歩きながら紹介できたらと思い記事にしました。まずは所沢にある河川の源流を巡ってみようと思います。
取材日:2025年2月1日 ボランティアライターじん
(1) 上山口地区の水辺
本記事で紹介する場所についてはだいたいの位置を記した地図を記事末に添付します(本文中と写真の下に番号を記載しています)。半日あれば充分周れます。
まずは西武球場前駅から下山口駅方面に進みます。道の右側に遊水地(①)と川の最上流部(②)が見えます。
▲上:①遊水地 下:②長峰川最上流部
こちらは柳瀬川の支流の長峰川の源流部になります。西武球場や旧ユネスコ村周辺に降った雨が湧き出しているものと推測しています。
散策を続けましょう。大鐘公民館の脇の小道を進んでいくと道の左側に柳瀬川の上流部の流れ(③④)を見ることができます。
▲③④柳瀬川上流部
コンクリートで護岸された風景ではなく、自然が残っている上流部です。かつてはここはミヤコタナゴが生息していた清流です。
更に小道を進んでいくと所沢には珍しい田んぼ(⑤)があります。
▲⑤田んぼ
取材日は冬なので水は張ってありませんでしたが、ここは「所沢の米で日本酒を作る会」さんがお米を育てている田んぼになります。ここで作ったお米は「ところまん」として所沢ブランド特産品にも選ばれているおいしい日本酒になっております。所沢市内で水稲づくりを行っている場所は数えるほどしかなくなっており、おいしい日本酒とともに守っていってほしいと願っています。
(2) 雑魚入樹林地
トトロの森1号地のある雑魚入の森にきました。この森から流れ出る柳瀬川の支流を追って森の中を進んでいきましょう。森の入口には小さな池(⑥)があります。
▲⑥池
こちらの池には春にはおたまじゃくしがたくさんみられます。水辺で休憩できるように屋根付きのベンチも用意されています。たくさんの生物の住処として貴重な場所となっています。
この水はどこからくるのか、更に上流に向かってみましょう。
▲⑦湿地
トトロの森1号地に向かう道の下を水は流れております。山の起伏の谷間に湿地(⑦)を形成しています。谷戸と呼ばれる地形になります。水はこの谷の奥から流れてきます。
▲上:⑧湧き水 下:⑨源流部
流れをさかのぼっていくと湧き水(⑧)を発見しました。このように森の中に降った雨はいろいろなところから湧き出して流れを作っていきます。更に上流に向かうと源流(⑨)をみつけました。取材日は冬でしばらく雨が降っていなかったので水は流れていなかったのですが、雨の多い時期には流れ出る様子がみられるはずです。
(3) 北野の谷戸
雑魚入の森の源流から坂を登り尾根道(⑩)にでました。ここは椿峰ニュータウンから狭山湖ふれあい橋を渡って狭山湖に抜ける道なので散策する人も多くいらっしゃいます。道の脇にはトトロの森11号地があります。
▲⑩尾根道とトトロの森11号地(道の左側の看板のある森)
この尾根道ですがちょうど分水嶺の場所になっています。写真向かって右側に降った雨は柳瀬川に注ぎます。左側に降った雨はこの後でてくる六ツ家川(むつけがわ)に注ぎます。狭山丘陵の一部の小さな丘ですが小さな流れがいろいろなところから湧き出しているのが魅力だと思います。最終的には柳瀬川に合流するんですけどね。
丘の向かって左側に下りていくと北野の谷戸(⑪)があります。
▲上:⑪北野の谷戸 下:⑫精進場
北野の谷戸は柳瀬川の支流の六ツ家川の更に支流の上流にあります。開発される計画があった場所ですが、現在は公益財団法人トトロのふるさと基金さんの「北野の谷戸の芽会」が学生やボランティアの皆さんととともに田んぼや畑を復元して管理しています。この北野の谷戸のすぐ脇には精進場(⑫)という湧き水があります。
北野の谷戸の奥に進む道を進んでいくと先程尾根道(⑩)で紹介したトトロの森11号地の斜面の下(⑬)に出ます。
▲上:⑬トトロの森11号地 下:⑭トトロの森32号地
散策路はここで終わっていますが、奥に見えるトトロの森32号地の下あたりが六ツ家川の支流の源流部となっております。
(4) 六ツ家川源流
北野の谷戸から藤森稲荷神社を抜け、舗装道路を下っていくと六ツ家川の本流(⑮)にでます。ここから川をさかのぼっていくとメガソーラー所沢(とことこソーラー北野)(⑯)にたどりつきます。
▲左:⑮六ツ家川本流 右上:⑯メガソーラー所沢 右下:⑰六ツ家川源流部
このメガソーラー所沢から六ツ家川が流れだしております(⑰)。残念ながらここから先はメガソーラーの敷地内になるので確認することはできません。この場所はメガソーラーになる前は一般廃棄物最終処分場でした。その前は雑木林だったそうです。きっとその頃は違った形での源流があったものと思われます。
(5) 狭山湖堤防下
メガソーラー所沢から森の中の細い道を下っていくと狭山湖の堤防の下の集落にたどりつきます。ここにも谷から流れ出る小さな流れをみることができます(⑱)
▲⑱小さな流れ
この流れを辿っていくと小さな水辺(⑲)があったり、元田んぼだった場所があったりします。そして柳瀬川に向かって流れていきます(⑳)。
▲左:小さな水辺(⑲) 右:柳瀬川支流(⑳)
いろいろな小さな河川を巡ってきましたが、ここで柳瀬川に戻ります。柳瀬川の最上流部にあたる場所になります(㉑㉒㉓)。
▲柳瀬川最上流部(左㉑右上㉒右下㉓)
一方は道路下より、もう一方は狭山湖から流れ出しております。大鐘橋のところが一級河川としての起点になります。一般的にはここ狭山湖が柳瀬川の源流とされていますが、実は東京都水道局の管理地内に金堀沢という場所があり、そこからの流れが狭山湖に注いでいます。そこが本当の源流になります(近くまで行ける道があるのですが現在通行止めとなっています)。機会があったら紹介したいと思います。
せっかくなので、堤防を登って東京都民の水がめ狭山湖(㉔)をみて今回の散策のゴールとしたいと思います。
▲㉔狭山湖(この日は曇りだったのですが、天気のよい日には富士山やきれいな夕日がみえます)
記事中で巡っただいたいの場所を以下に示します。
降った雨が流れとなってやがて海に注ぐ、その最初の一滴の場所「源流」。みなさまもお散歩しながら訪ねてみてはいかがでしょうか。