少年たちが手作りをした、手元にあった未来 現代の秘宝「マイコン」にせまる「電脳秘宝館・マイコン展」を開催
「電脳秘宝館・マイコン展」が開催されています
「ところざわサクラタウン」内、「角川武蔵野ミュージアム」の4F荒俣ワンダー秘宝館にて、2025年7月19日(土)~2026年4月6日(月)の期間、「電脳秘宝館・マイコン展」が開催中です。
展覧会ビジュアル
■少年科学×未来幻想×手作りする知性
1970年代末、「マイコン」は日本の家庭に突如現れ、当時の少年たちの机の上に〈宇宙〉を広げました。
昭和の中頃に日本人が使い始めたコンピューターは、1台が1億円以上する巨大で複雑怪奇でデリケートな機械でしたが、1970年代に変化が起こります。箱や回路などの部品を自分たちで組み立てプログラムを組み上げる「マイコン」が家庭に入り込み、当時のマニアックな少年たちの発明や工夫を生みだしたのです。
BASIC言語で世界を作り、カセットテープで時間を保存し、キーボードを叩く音が未来へのパスワードでした。マイコンとは単なる電子機器ではなく、「自作」と「探求」と「遊び」の結晶――いわば“異界と交信する装置”であったのです。
本展では、「パソコン」の前に確かに存在した「マイコン」の時代を、荒俣宏監修のもと、マイコン博物館の協力を得て、遠藤諭氏の解説とともに紹介。昭和時代の少年たちが夢見た「未来」にタイムスリップします。
第1章「萌芽 – ⾃作する時代のはじまり」(1975~78年)
第2章「爆発 – ホビーパソコン⽂化の誕⽣」(1979~83年)
第3章「洗練 – 8ビットの表現⼒が拓いた世界」(1983~86年)
第4章「境界 – 16ビット化と昭和の終焉」(1986~89年)
会場風景
また、7/19(土)より、本棚劇場のプロジェクションマッピングも新しい作品に切り替わりました。
現在、4Fのエディットアンドアートギャラリーにて開催中の「昭和100年展」に関連した内容になっています。
荒俣ワンダー秘宝館の「電脳秘宝館・マイコン展」も併せて、4F全体で昭和を振り返ることのできる展示となっています!
■マイコン博物館館長、吉崎武氏コメント
「電脳秘宝館・マイコン展」 開催に際して
全世界的に普及した「パソコン」が、初めて登場した1975年から1980年頃までは、「マイコン」と呼ばれて、マイコン趣味を持つ少年達は「マイコン少年」と呼ばれていました。そんな懐かしい呼び名である「マイコン」を冠した特別展が角川武蔵野ミュージアムにて開催される事になり、マイコン黎明期の躍動を展示している我がマイコン博物館も全面的に協力させていただく事になりました。
50年前に1個のICにコンピューター機能を持たせて、コンピューター機能の小型化と低価格化を実現したのが「マイクロコンピュータ」、略して「マイコン」です。50年前の「マイコン」は、最初、部品で売られたので、電子工作マニア達は、自分達でコンピューターを組み立てました。自分で作る自分用のコンピューターの意味で「My・Computer」=マイコンとも呼ばれました。当時の20歳のマイコンマニア達から生まれたのがApple社や、マイクロソフト社でした。
自分で作る「マイコン」から現代のパソコンまでの進化の歴史を「マイコン展」でお楽しみ願います。
マイコン博物館について
「マイコン博物館」(東京都青梅市、館長:吉崎武)は、8bitマイコンだけに限らず、昭和初期からの個人用計算機『マイ・コンピューター』を収蔵。そろばん、計算尺から手回し式計算機、電動計算機、初期の卓上型電子計算機やミニコン、ワークステーションまで、幅広い個人用計算機、個人用情報処理機器を収蔵する博物館です。
公式WEBサイト:https://scitech.or.jp/
■遠藤諭氏コメント
マイコンの初期からパソコンと呼ばれて世の中に浸透し始めた頃のコンピューターは、どの一台を見ても世の中を変える気概を感じさせるカッコよさがあります。なにしろ、個人が自宅で手作りしたプログラムが、見知らぬ誰かを楽しませたり役立てたりできるのです。
今回の展示は、人間のあらゆる活動を根本的に変えることになる、その始まりの頃のコンピューターを紹介しています。私も写真でしか知らなかったマイコン以前の個人向けコンピューターのMinivac 6010、憧れたけれど手の出なかった舶来のマイコンキットIMSAI 8080や端末ASR-33が展示されます。そんなマイコン初期の時代は、日本がエレクトロニクスを“お家芸”としていく頃でもあります。
1980年代までのコンピューターの中身は日本の部品だらけでした。そもそも、このマイコンやパソコンの誕生のきっかけとなり、今のスマートフォンにも必須のマイクロプロセッサという部品は、日本の電卓メーカーの発注で作られ、日本人が設計に関わっています。だから、みんなが使ったNEC、日立、シャープ、富士通、東芝などから発売された国産マイコン、パソコンも、もちろん多数展示されます。
特設コーナーでは、アップルの製品を紹介。Apple I(復刻版)やマイコン革命をリードしたApple II、ビジネス的には失敗したApple ⅢやLisaなど。マイコン博物館の全面協力のもと「電脳秘宝館」というにふさわしい、驚きと発見のある、ハードウェアだけで約70台の展示となっています。
あの時代の熱気に触れることで、胸の奥で眠っていた「何か」が、きっと目を覚ましてくれる気がします。
遠藤諭氏プロフィール
元『月刊アスキー』編集長、ZEN大学客員教授、同大学コンテンツ産業史アーカイブ研究センター研究員
「電脳秘宝館・マイコン展」詳細▶
https://tokorozawa-sakuratown.com/event/cybertreasure.html