電脳秘宝館・マイコン展の「裏側」をマニアックな視点で紹介します!(後編)
現在ところざわサクラタウン内、角川武蔵野ミュージアムにて「電脳秘宝館・マイコン展」が開催されています(2026年4月6日まで)。
今回は、こちらの展示をおじさん記者が少しマニアックな視点で紹介していきます。
※この記事は前編、後編に分かれています。前編はこちら。
特集:スティーブ・ジョブズとアップルコンピューターの世界
現在はiPhoneを中心とした会社という印象が強いアップルですが、創業当初はコンピュータ会社でした。社名も「アップルコンピュータ」で、その製品は創業者スティーブ・ジョブズの美学が色濃く反映されています。
Apple I(1976年)は、Appleが一番最初に製作・販売したコンピュータです。こちらは復刻版なのですが、基板の配線パターンがとても整っていて綺麗です。1つ前の写真の後ろに見えるのがApple II(1977年)ですから、わずかな1年で大きく進歩したのが分かります。
コンピュータの「裏側」
様々なApple製品が展示されている中で、筆者が面白かったのは、コンピュータの裏側を見ることができる点です。
Apple IIの裏側ですが、外部記憶装置(フロッピーディスク)との接続に、カラフルなリボンケーブルが使われています。大昔のコンピュータはこういう剥き出しのケーブルでよくつながれていました。今のUSBケーブルご先祖様ですね。一方、左下にちょこっと見えているのが後継機種のApple III(1980年)で使われているケーブル。こちらはグレーの単色ケーブルにコストダウンされています。
こちらはMacの1つ前の世代のコンピュータ、Lisa(1983年)です。上部にあるオプションのハードディスクの容量は、わずか5MB(写真1枚程度の記憶容量)。Lisaは200万円以上もする高価なコンピュータでありながら、接続にはリボンケーブルが用いられていました。
こちらは初期のMacintosh(1984年)。中身はメモリー容量が128Kなのですが、ケースには512Kの表示がある珍品?です。
気になる裏側ですが、非常にすっきりしていますし、上部に「持ち手」がついているのが分かります。コネクタの説明もアイコンになっていておしゃれですね。裏側なのにカラーのロゴをつけているのがポイントですね。
ちなみにこの頃のアップルのロゴは、林檎マークがカラフルです。現在は「引き算」のシンプルなグレーですが、当時はカラフルなのが贅沢で格好良かったのです。
こちらはWebが発明された機種として有名なNeXTcube(1990年)。この機種がなければ「ホームページ」もiPhoneも今と全く違うものになっていたであろう、歴史上とても重要な機種です。裏側は左右対称にコネクタが並んでいる感じで美しいです。こだわりを感じます。
こちらはiMac(1998年)。現代と製品名は同じでも、昔の iMacはブラウン管を搭載して半透明な筐体が特徴的でした。後ろ側も非常にスッキリ洗練されています。
最後に紹介するのが、伝説の雑誌Whole Earth Catalog。
展示されているのはスティーブ・ジョブズの有名なスピーチの一節「Stay hungry, stay foolish」が掲載されている最終号(1974年)の裏表紙。どこまでも続く道の写真で締めくくられているところが印象的です。
という訳で、非常に濃い内容の展示であることがお分かりいただけたかと思います。
お隣では昭和100年展も開催されています。併せてレトロな気分を味わう事ができます。まだまだ開催期間も残っていますので、ぜひ訪れてみてください。
開催概要
展覧会タイトル:電脳秘宝館
英語タイトル:Electric Wunderkammer
https://kadcul.com/event/231
会場:角川武蔵野ミュージアム4階 荒俣ワンダー秘宝館
会期:2025年7月19日(土)~2026年4月6日(月)
休館日:毎週火曜日、12月31日(水)、2026年1月1日(木)、1月19日(月)~1月23日(金)
※ただし12月30日(火)は臨時開館
開館時間:10:00~18:00(最終入館は17:30まで)
主催:角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人 角川文化振興財団)
監修:荒俣宏
協力:マイコン博物館(一般財団法人 科学技術継承財団)
解説:遠藤諭(元『月刊アスキー』編集長、ZEN大学客員教授、同大学コンテンツ産業史アーカイブ研究センター研究員)




