廃食油リサイクルオンラインイベントリポート ~廃食油を資源として活用することについて学びました~


 4/23に行われた「廃食油リサイクルオンラインイベント」に参加しました。
 しっかり勉強させていただきました。
 

(画像提供:小出愛菜さん)

 
 今回のオンラインイベントが行われた経緯とイベントの内容についてリポートします。
 

取材:2023年4月 ボランティアライターじん

 


【もくじ】
① 廃食油のテーマに出会うまで
② 所沢市の現状
③ 他団体の活動を見に行こう!
④ 吉川油脂との出会いとアドバイス
⑤ RSメンバーの平川廣那さんのプレゼンテーション
⑥ 吉川千福社長の廃食油リサイクルに関する説明
⑦ RSメンバーは世界へ羽ばたきます。

 

① 廃食油のテーマに出会うまで

 このイベントは、レゴをつかったプログラミングの大会「FIRST LEGO League Challenge」に参加した「crefas(クレファス)」という教室の所沢校で結成された6人によるチーム「RS」が、その課題のひとつである「イノベーションプロジェクト」で廃食油をテーマとして取り上げたことがきっかけで実施されました。
 
 詳しくはイベントの告知記事
 「廃食油リサイクルオンラインイベントのご案内 ~一緒に学びませんか。子どもたちからの提言です~」https://tokorozawanavi.com/event-jin20230424/の中で触れさせていただきました。参加資格年齢は9歳~16歳、小学生から高校生までの子どもたちが、簡単に言うと①レゴをつかってロボットを創造して、②それをプログラミングして動かして、③それに関するプレゼンテーションをして、チーム力を問われて、④社会問題にも取り組まないといけない。というハイレベルな大会です。イノベーションプロジェクトの今大会のテーマは、「再生可能エネルギー」です。
 
 所沢で運行しているバイオバスをきっかけに「廃食油」に目をつけたRSメンバーは、これをテーマとして取り組んで行きました。
 

②所沢市の現状

 まずは知り合いの方を中心にインターネット上でアンケートを実施しました。約100人の回答を得たところ、なんと97%の方が廃食油をリサイクルしていることをご存知なかったそうです。何を隠そう、僕もこの取材依頼を受けるまで全く知りませんでした。廃食油リサイクルは簡単にいうと「家庭で使わなくなった食用油を集めて、再生して、他の用途で活用すること」です。凝固剤を使用したり、新聞紙などに含ませて燃えるごみとして捨てていた油を捨てずに業者に回収してもらい、工場でリサイクルするというまさに「再生可能エネルギー」のテーマにぴったりの事業です。
 
 RSメンバーはその結果を踏まえて回収場所を見学に行きました。取材当時、所沢市内では32ヶ所で回収が行われていました。設置されている場所は、市役所、公民館、消防署などです。みなさん見たことありますか?僕は全く気が付いていませんでした、回収ボックスがあり、そこに入れる形です。
 

(画像提供:平川亜津砂さん)

 
 RSメンバーは思いました。

  • もっと見えるところに置かないといけない。
  • もっと入れやすくなる工夫が必要だ。
  • そもそも、活動の認知度をもっとあげないといけない。

 
 そして、前回記事でも紹介しましたが、まずは所沢市役所1階のロビーに自分たちで作り上げた廃食油回収ボックスを設置することに至りました。これは市販品を組み合わせてつくった手作りによるオリジナルの一品です。2リットルのペットボトルが入れやすいように工夫されています。現在この場所で回収した廃食油は市職員の方が回収場所に運んでくれています。
 

(画像提供:平川亜津砂さん)

 

③他団体の活動を見に行こう!

 もっと廃食油リサイクルについて知りたいと、RSメンバーが次に行ったことは、積極的に活動している団体に見学に行くことでした。東京都大田区にある労働者協同組合ワーカーズコープの「あぐりーんTOKYO」でその活動を見たRSメンバーは、自分たちの住む地域の取り組みとの違いに驚いたそうです。廃食油をバイオディーゼル燃料として再活用していることを知ったRSメンバーは「もっと深くしっかりと学ばなくていけない」と決意を新たにしたそうです。
 

④吉川油脂との出会いとアドバイス

 RSメンバーは、地域の廃食油を回収してリサイクルをしてくれる企業を調べるなかで、入間市のステーションで回収を行っている「株式会社吉川油脂」という会社を知りました。こちらは栃木県佐野市に本社および工場がある会社なのですが、入間市と同じように所沢市でも回収を行ってくれないかと考え、吉川油脂さんに連絡を取りました。
 
 吉川油脂の吉川千福社長は、子どもたちからの真摯な問い合わせに対し、丁寧に説明してくれ、資料もたくさん提供してくださったそうです。その中で、廃食油の回収率を上げるためにはスーパーマーケットなど、「よく行く回収しやすい場所」に回収ボックスを置く必要性について教えてくださり、入間市では自治体からの働きかけによりスーパーマーケットなどの事業者が協力してくれたことを知りました。
 
 吉川社長からのアドバイスは、「まずは所沢市役所に資料を提出して説明してごらん」とのことでした。事業者を巻き込むには自治体からの働きかけが重要だとの自身の長年の経験からの温かい助言でした。そこでRSメンバーは「所沢市環境クリーン部資源循環推進課」に説明に行きました。そこで「こんな活動があるんだ」との反応を得たRSメンバーは、更に地元選出の国会議員さんのところを訪れたり、所沢市環境市民の会さんとの連携を深めたりしていったそうです。
 
 そして今回、自分たちが主催するオンラインイベントを企画し、吉川油脂の吉川社長に詳しい説明を聞くこと、そしてそれを所沢市や所沢市民、関心のある方と共有することを考えました。趣旨を同じくする所沢環境市民の会さんと共催で今回のイベントの開催に至りました。
 

 

⑤RSメンバーの平川廣那さんのプレゼンテーション

 オンラインイベントはRSメンバーの児嶋晴(こじまはる)さんの司会で4/23(木)19:30から開始されました。まずは「イノベーションプロジェクトを担当した平川廣那(ひらかわひろな)さんのプレゼンテーションです。
 

▲平川廣那さん
 
 今回のイベントの開催に至った経緯などを自分の言葉でしっかりと伝えてくれました。
 こちらからご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qleVzuuZvBs
 

⑥吉川千福社長の廃食油リサイクルに関する説明

 僕が聴講した中で心に残った内容を箇条書きで列記します。
 

  • 廃食油リサイクルは他の再生可能エネルギーに比べて注目されていない。
  • このイベントが廃食油リサイクルについて考える第1歩としてとらえている。
  • ゼロカーボンシティ宣言をしている所沢市に必ず貢献できる取組みである。
  • 事業用油は90%リサイクルできているが、家庭用油は90%が捨てられている。
  • 廃食油リサイクルの先進地域である札幌市は、スーパーマーケットでの回収を自治体主導で進めた。
  • 行政などで廃食油を回収していることを知らない、もしくは知っていてもめんどくさいと思っている人がほとんどである。回収場所が生活動線にあることが大事である。
  • 家庭用油は工業用、燃料用原料として再生可能である(家庭用油はその原料が特定できないため用途は限定される)。
  • 入間市では「回収BOX」を設置し、市と協定を締結している。

 
 説明終了後、質疑応答の時間になり、参加者からたくさんの質問が寄せられました。参加者がチャットで質問し、それに対し吉川社長が専門的見地から詳しくわかりやすく一つ一つ回答してくださいました。僕も「RSのみなさんや、所沢環境市民の会のみなさんに期待することは何ですか?」と質問させていただきました。吉川社長から「所沢市に働きかけて自治体主導で回収リサイクルが推進できるようにしてください」と即答いただきました。ありがとうございました。僕自身も含め、参加者のみなさんにしっかり届いたと思います。
 
 時間いっぱい質問に答えていただき、その後参加者をグループに分けての本日の感想について語り合うグループディスカッションが行われ、イベントは終了しました。
 

⑦RSメンバーは世界へ羽ばたきます。

 RSが「FIRST LEGO League Challenge」に参加したことがきっかけでこのオンラインイベントが開催されたことは冒頭お伝えしたとおりですが、実はこの日本大会でRSのみなさんは地区大会を順調に勝ち進み全国大会に出場されました。
 

 

▲全国大会の様子(画像提供:平川亜津砂さん)
 
 そして120チームが出場したこの全国大会で3位入賞を果たし、上位6チームに与えられる世界大会に出場されることになりました。
 

(画像提供:平川亜津砂さん)

 
 5/18からアメリカのアーカンソー州で決戦が行われます。もちろんイノベーションプログラムのなかでは、この廃食油リサイクルの取り組みについて発表されます。目下英語でのスピーチでの特訓中とのことです。
 

▲世界大会出場を藤本市長に報告したときの様子(画像提供:平川亜津砂さん)
 
 所沢の教室で学んだ地域の子ども達が、世界に向かって所沢を中心とした取り組みを発信する。とても素晴らしい出来事だと思います。彼らの応援をすることはもちろんですが、自分たちでできることを取り組んでいくこと、できることをできる範囲で取り組んでいくこと、実践していきたいです。
 子ども達の素晴らしい取り組みに拍手を贈ります。そして世界での健闘を祈っております。
 

(画像提供:平川亜津砂さん)

 
取材協力:平川廣那さん、平川亜津砂さん
小出愛菜さん(所沢環境市民の会 ごみゼロのまちづくりWGリーダー)
 
関連リンク:
crefas
https://crefus.com/2023_crefus_lp/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=202304&gclid=Cj0KCQjwocShBhCOARIsAFVYq0iGxZPGJIk2mz9S5XkBBLjE7orPt7MtOa-_eBhmNIeDyvcg59FQdtgaAro_EALw_wcB
 
NPO法人「青少年科学技術振興会FIRST Japan」
https://firstjapan.jp/program/challenge/
 
あぐりーんTOKYO
https://agreen-tokyo.com/
 
株式会社吉川油脂
https://www.y-yushi.com/
 
所沢環境市民の会 事務局
zap01340@nifty.com


この記事を書いた人

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じん Jin

写真を撮ったり、ランニングしたり、サイクリングしたりしながら、自然の中で過ごす時間を大事にしています。 すぐそばに素敵な自然が残されてる所沢が大好きです。 少しでも所沢の魅力がお伝えできるようにがんばります。

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