「野球が下手くそだったけど、諦めることはなかった」 『所沢市小学校応援プロジェクト』で武内夏暉投手が小学校訪問
埼玉西武ライオンズの選手たちが所沢市内の小学校32校と特別支援学校3校、計35校の応援大使を務める「所沢市小学校応援プロジェクト」。2023年4月から始まった本企画は、選手たちとの交流を通じて、所沢の子供たちにライオンズをより身近に感じてもらい、地域を盛り上げることを目的としています。
去る10月22日(火)、所沢市小学校応援プロジェクトの活動の一環として、ライオンズのゴールデンルーキー・武内夏暉投手が、自身が応援大使を務める所沢市立美原小学校を訪問しました。
大きな拍手で迎えられた武内投手ですが、地域の子供たちと交流するのは入団後初めてとのこと。この日体育館に集まった5、6年生約200人にやや緊張の面持ちでプロ野球選手になるまでの体験談など夢を叶えるための大切なことについて語ってくれました。
「小学校の頃は野球が下手くそでした。野球センスがあんまりなくて、小学校チームでもエースではなく2番手、3番手。でも、そんな中でもプロ野球を見て『こういう選手になりたいな』と日々練習を積み重ねてきましたし、諦めることは全くなかったです。 絶対プロ野球選手になるというのを目標に練習していました」
「振り返ってみた時につらいことの方が多かったのですが、負けず嫌いな部分があったので、そこはあんまり人に見せないようにしてきました。
中学校の時に肘の手術をして、1年間ぐらい 投げられない時期がありました。その時は正直野球を諦めかけたんですけど、入院中に先生や野球の仲間が駆けつけてくれて、その人たちのためにも『野球をがんばろう』と思えました。プロ野球に入ってつらい時でも、そういうことを思い出してがんばっています」
ドラフト1位でプロ入りし、一年目から10勝を挙げ新人王の最有力候補と言われる武内投手。さぞや順風満帆な人生かと思いきや、野球が上手じゃなかったり大きな手術をしたりと子供の頃から苦労や挫折を経験していたとは意外でした。
「夢は、プロ野球選手にとってファンの人たちを喜ばせるのが仕事なので、勝って優勝して、そういう姿をいっぱい見せられるように。それが夢ですね」
「美原小のみなさんへ。まずは夢に向かって諦めないこと。 夢について諦めないことが大前提として、これから先一人では乗り切れない困難もあると思います。その時に、自分も経験したんですけど、周りにいてくれる家族であったり仲間であったり、そういった人の支えが必要になります。そういう時に、感謝の気持ちを持つことが大切です。夢に向かって諦めないで、周りの人に感謝しながら一日一日をがんばってください。美原小のみなさんを応援しています!」
困難に直面しても、人の絆に支えられ感謝の心を忘れずに乗り越えてきた武内投手。自身の経験から生まれたアドバイスは児童の心にもきっと響いたことと思います。
児童3名プラス「武内選手の大ファン」という校長先生からの質問コーナーに続き、武内投手と児童代表6名がストラックアウトで対決しました。コントロールのいい子、剛腕を振るう子、様々な個性的なピッチャーの登場に観戦していた児童のみんなも大興奮。一投ごとに割れんばかりの熱い歓声が上がりました。
児童チームが投げ終わると、なんと武内投手が美原小の先生たちを自チームにスカウト。ストライクを投げてもボールを投げても児童のみんなは再び大盛り上がり。
最後は武内投手がビシッっと高得点を決め、対決は29対35で武内投手チームに軍配が上がりました。
勝因は先生たちの大活躍のおかげ…というより、先生たちを助っ人に招いたのはむしろ勝負をおもしろくするための計らいだったようです。実はのちほど武内投手が「自分が全部投げたらすごい点数になっちゃうので」とこっそり明かしてくれました(笑)。
最後はハイタッチでお別れ。児童はみんなは嬉しそうに武内投手とハイタッチをしていました。
嬉しすぎて、先生から「優しくタッチするように」と言われていたのに、力強くパチーンとタッチする子もちらほら。憧れのプロ野球選手とあれだけ盛り上がった後ですからテンションも上がってしまいますよね。
今回の訪問で「入ってきた瞬間の声援がすごくて、改めて応援してもらってるなって感じました」と児童の熱いエールに感動した様子の武内投手。「来年も活躍して、またこういうイベントができたらいいなと思います」と語っていました。
今回取材していて、美原小の児童のみなさんが武内投手の話にとても真剣に耳を傾けていたこと、そして仲間や先生の活躍に精一杯エールを送っていたことが大変印象的でした。真面目でいるべき時と思い切り熱くなっていい時としっかりメリハリがついていて、今の小学校高学年の子供たちは想像していたよりずっと立派だなと感じました。
そんな美原小のみなさんですから、武内投手の「夢を諦めないこと。感謝を忘れないこと」というメッセージもきっと心の奥底にしっかりと届いたものと信じています。武内投手にとっても参加した約200人の児童一人一人にとっても、忘れられない素晴らしい一日になったことと思います。