7/1深夜にBSフジで放送予定!サブスクでは生まれない音楽体験【ハイドパークミュージックフェス2023レポ】
狭山入間所沢周辺エリアに住む音楽ファン待望! 「ハイドパークミュージックフェスティバル2023」が去る4月29日・30日に開催されました。
https://hydeparkmusic.jp/
筆者は、個人的にチラシを配らせていただいたり、地元・西所沢のカフェ「西乃処珈琲」さんでハイドパークミュージックフェスティバル主催の麻田浩さんにインタビューさせていただく機会をいただいたり、周りの人と話題にしたり、と開催前から楽しませていただきました。
この記事では出演アーティストの一人・イーノマヤコさんへの取材とハイドパークミュージックフェスティバル再開までの道のりを中心に紹介します。
2023年4月取材 前原麻世
「幼少期からハウスに住んでいた」地元にゆかりのあるシンガーソングライターがHMFに登場
会場のある稲荷山公園にもほど近い入間の“ハウス”で育ったシンガーソングライターのマヤコさん。2日目のトップバッターでした。
▲イーノマヤコさんのステージ ハイドパークミュージックフェスティバル2023
▲イーノマヤコwith DAWGS 写真左から須貝直人 (Dr)・ 藤原マヒト (Key)・ 森祐貴(B)・イーノマヤコ (Vo,G)・ 小山亜紀(Cho)・竹内信次(Mand)・ヨコタキヨヒロ (G,Cho)
学生時代にバンド活動を行っていたマヤコさんは、ブランクを経て10年前に音楽活動をリスタートしました。その中で、麻田さんや周囲の音楽仲間とのつながりは、マヤコさんの活動の支えになりました。
だからこそ、以前からマヤコさんを見守っていたミュージシャン仲間のお一人が「グッと来ちゃった」と話すほど、意味深く・温かいステージだったようです。
▲マヤコさんと共にハイドパークミュージックフェスティバルの再開を願っていた地元の仲間たち。左からベーシスト・作曲家の小林治郎さん、マヤコさん、狭山市入曽でパティスリー「マ・メゾン・エンドウ」と西所沢でカフェ「西乃処珈琲」を営む伊藤雅彦さんと七瀬萌さん
周囲の仲間との関わり、そして、マヤコさんの楽曲制作へのつながりとは……。
創作活動をして生きる人々が営む、創意工夫の日々……マヤコさんが語る”ハウス暮らし”のリアル
幼少期から「ハウスに住んでいた」というマヤコさん。まさに稲荷山公園のあるこの場所・周辺にもかつて米軍ハウスが立ち並んでおり「狭山アメリカ村」と呼ばれ、70年代にはアーティストが移住するムーブメントが巻き起こったというのは皆さんご存知の通りです。
▲稲荷山公園。米軍ハウスがあった頃の名残を感じさせる階段跡
その言葉のイメージから「ハウスに住んでいた」と聞くと「素敵な暮らし」を想像するのではないでしょうか? 私も含め大半の方がそうなのではないかと思います。
マヤコさん家族も、芝居をやっていたというお父様のもとハウスに住んでいました。マヤコさんによると、居住空間として「快適な暮らし」が保たれていたかというとそうとも言い切れなかったようです。断熱が弱く寒さ・暑さが辛い、玄関がないからDIYを駆使し玄関のようなものを作る家もあった等、大変さもあったということを話してくれました。
しかしそこでは、創作活動をやりながら生きていく人々が工夫し「みんなで助け合って」いました。大人も子どもも。想像するのは「長屋的な暮らし」の温かさでしょうか。
その中でマヤコさんのご家族・飯野家はフォークミュージシャンの西岡恭蔵さん家族とも交流がありました。奥様の作詞家・KUROさんとマヤコさんのお母様は子どもの保育園が同じだったことから付き合いが始まり、とても仲が良かったそうです。
1997年、KUROさんが亡くなり、99年には西岡恭蔵さんが亡くなります。2005年にはマヤコさんのお父様も50歳という若さで亡くなったそうです。お母様にとっては、とても大切な人たちを立て続けに亡くした数年間でした。
その後、一軒家カフェ「イルパライソ」を立ち上げました。
現在では、カフェとしてだけでなく様々なイベントを行う場所としても営まれ、地元の人々の憩いの場になっています。
▲イルパライソ
HMF再開に向けた入間「蔵」での前身イベントがマヤコさんのアルバム「レモネード」へとつながっていく
ここで、ハイドパークミュージックフェスティバル再開までの道のりについて少しだけお伝えします。イーノマヤコさんの近年の音楽活動とも関わりがあります。
2005年、2006年に開催後しばらく開催されることのなかったハイドパークミュージックフェスティバルですが、ここ数年は地元の音楽愛好家の間で再開の気運が高まっていました。その一環として、入間市の歴史的建造物「蔵」を利用し音楽イベントが複数回開催されました。NYから来日した本格ジャグバンドのライブやピーター・バラカンさんを呼んでの出前DJ&トーク、そして麻田さん自身が舞台に立つライブも開催されました。マヤコさんは、その麻田さんのライブで前座を務めました。
▲2019年から2020年には、ハイドパークミュージックフェスティバル再開に向けた音楽イベントが行われていた
自身もイベント準備や出演者の一人として参加したマヤコさんは、地元の大人たちが自然と集まりイベントを盛り上げるさまを垣間見るなかで、ハウスに住んでいた頃、大人たちが協力し、工夫して暮らしていたことを思い出したそうです。
オリジナル楽曲がたまっていたマヤコさん。地元の仲間と関わり、ものを作り上げていくパワーを感じる中で「次のアルバムは地元で作ろう」と考えます。
ちょうどそのころ、時代はコロナ禍に突入……。移動が制限され都内でのレコーディングなどできない状況でしたが、マヤコさんにとって「ご近所」でレコーディングがかなうことになります。笹倉慎介さん(HMF2023初日の一番手アーティスト)が当時営んでいた入間ジョンソンタウン内のスタジオ「guzuri」でクラウドファウンディングを通じたアーティストのためのスタジオ無料開放が行われていました。移動の自粛が叫ばれ、県外・遠方からアーティストが来られない中「歩いて行ける」マヤコさんは同スタジオを利用し、アルバム「レモネード」を制作しました。
▲「レモネード」のジャケット。イラストはマヤコさんが幼少期ハウスに住んでいたころご近所だった画家・中島太意さんに依頼した。デザインは、狭山市で米軍ハウスを現代に蘇らせた「Sayama Hose re+」オーナー宮野義保さん
アルバムの表題作はマヤコさんのハウス暮らしの思い出をさわやかなギターサウンドにのせて歌う「レモネード」。その楽曲のミュージックビデオにはハウスで営業していたアメリカンパイのお店「PIT」さんにマヤコさんや麻田さんの周りの仲間が集まり、マヤコさんの娘さんが作ったレモネードを囲み、談笑する姿が映っています。
▲「レモネード」イーノマヤコ ミュージックビデオより
▲「レモネード」イーノマヤコ ミュージックビデオより
ミュージックビデオの後半は、マヤコさんや麻田さん率いる散歩仲間が稲荷山公園にやってきます。ラストシーンで皆がポーズをきめている場所は、ハイドパークミュージックフェスティバルのステージが設置されている”まさにその場所”なのです。
▲「レモネード」イーノマヤコ ミュージックビデオより
ハイドパークミュージックフェスティバル再開に至る道のりにマヤコさんのアルバム「レモネード」制作は重なっている。
マヤコさんにとって「レモネード」は「録音からジャケット制作、ミュージックビデオまで地元で制作した産地直送ミュージック」です。
遠い記憶のハウス
日に焼けた子供が
芝生の庭を駆け回る
レモネード レモネード 夏の朝に
懐かしのあのハウスへ
つれてっておくれ
イーノマヤコ /「レモネード」より
懐かしさや、失ったもののはかなさを、カントリーミュージックにのせて伝えてくれる「レモネード」、改めて聞くとマヤコさんのハウス暮らしを通じた家族や周囲の人への思いがあふれていて、じーんと来ました。
イーノマヤコさんが、この場所から活動を広げたい、そう思ってくれることは、狭山・入間エリアの文化的背景を大事にしたいと思う人間にとり、ひとつの「願い」である。筆者は僭越ながらそんな風に思いました。
▲「レモネード」イーノマヤコ ミュージックビデオより
▼「レモネード」イーノマヤコ ミュージックビデオ
https://youtu.be/B8Td6lNTg4Q
これからの活動が注目のマヤコさん、7月21日にも所沢市内のライブハウス「MOJO」でハイドパークミュージックフェスティバル2023でステージに立った仲間とライブ出演を予定しています!
次世代のシンガーソングライター・関口スグヤさん
麻田さんがとあるイベントで見初め、出演をオファーしたという次世代のアーティスト関口スグヤさんにもお話を聞けました。
事前に、彼がテレビ東京の番組「家、ついて行ってイイですか? 」に登場したものを拝見しており、まっすぐな若者だなと思ってましたが本当にそのままの若者で好感が持てました。
音楽を始めたきっかけは、幼少期にお母さんが聴いていたビートルズを聴き、自分でも音楽を作りたいと思ったこと。
今は、常に音楽を作ることを考え、「音や曲の世界観がぼんやりとあって、それを彫刻みたいに削っていく」ように楽曲制作をしています。
▲関口スグヤさん
いろんな曲をやってくれましたが東京出身でありながら上京者の歌を歌う、という面白い面もあり、これからが楽しみです!
ハイドパークミュージックフェスティバル2023では「お客さんが温かかった」と話してくれました。
▶関口スグヤさんTwitter
https://twitter.com/suguyaphone
フェスを開催する意味
ハイドパークミュージックフェスティバル2023を通じて、個人的に腑に落ちたのが「麻田さんがなぜこれをやりたかったのか」ということです。
2日目の晩、うじきつよしさんが、ギター片手に熱唱していらしてそれを聞いて私は「お!すごいな!」と感じました。
歌っていたのは小坂忠さんトリビュートの「しらけちまうぜ」です。それをうじきつよしさんが歌っていて、ほとんど前知識ない状態でそれを聞いて「かっこいいな!」と思ったんです。
▲ハイドパークミュージックフェスティバル2023
数日後、私は洗濯物を干しながらそれを思い返し、スマホのアップルミュージックで本家小坂忠さん版を聞いてみました。すると、「ロックっぽいけど、これはソウル要素のある楽曲だな」と改めて思ったのです。
と、ここまできて、当時海外の音楽を持ち込んで自分たちなりに解釈し、消化し、作り出していた若者たちのことや、小坂忠さんがその後ゴスペルに行ったっていうのは必然だったのか、と思い至ります。
……という一連の体感を私は得ることができました。
このような体感を得られるのも、麻田さんが考えていた「フェスを開催する意味」のひとつなのかも知れません。
サブスクでいくらでも楽曲は聴けるけど、ライブだからこそ、それ以上のことが聴き手には起こる。
また、ここで、いろいろな音楽を聴きたい! そんな思いに駆られました。
ハイドパークミュージックフェスティバル2023、開催ありがとうございました!
\『ハイドパーク・ミュージック・フェス2023』放送されます/
あの感動を再び!
BSフジ 7月1日(土)25時~
https://www.bsfuji.tv/hmf2023/pub/index.html
オフィシャルグッズ通販開始しました!
https://www.galabox.jp/phone/product-group/99
日時:2023年4月29日(土・祝) ・30(日)
場所:埼玉県狭山市 埼玉県営 狭山稲荷山公園 特設会場
埼玉県狭山市稲荷山1-23-1【出演者】
4/29(Sat)
EGO-WRAPPIN’/在日ファンク/笹倉慎介/サニーデイ・サービス/田島貴男(オリジナル・ラブ)/トクマルシューゴ/パスカルズ/ムーンライダーズ/
加藤和彦トリビュートバンド:きたやまおさむ/松山猛/坂崎幸之助/白井貴子/Petty Booka/CHIHANA/佐野史郎/高野寛(G)/澤部渡(G)(fromスカート)/佐藤優介(Key)(fromカメラ=万年筆ほか)/河合徹三(B)/上原ユカリ裕 (Dr)/平松稜大(fromたけとんぼ)4/30(Sun)
イーノマヤコ/いーはとーゔ/踊ってばかりの国 /佐野史郎バンド(佐野史郎、森信行、湯川トーベン)/SION with Kazuhiko Fujii/関口スグヤ(ex.KEEPON)/民謡クルセイダーズ/
ハイドパーク・キャバレー・バンド:梅津和時(Sax)/仙波清彦(Dr)/久米大作(Key)/白井良明(G)/早川岳晴(B)/高橋香織(Vl)/渡辺隆雄(Tp)/ 多田葉子(Sax)/ 濱田遼太朗(Per)/ Mutsumi(MC,Dance)/ Snatch(Dance)/金子マリ(Vo) / 上田ズクナシ衣美(Vo)/ 冨田麗香(Vo) /タイロン橋本(Vo)
-ありがとう、忠- 小坂忠トリビュートバンド:Dr.kyOn(Key)/佐藤タイジ(G)/湯川トーベン(B)/小関純匡(Dr)/MONKY(Sax)/YASSY(Tb)/柳田ヒロ/ Vocal:うじきつよし/佐藤タイジ/佐藤奈々子/佐野史郎/鈴木慶一/ダイアモンド☆ユカイ/CHAKA