所沢初!廃ビル利用の市民イベント「ドットメイクところざわ」がもたらしたもの
所沢駅西口の再開発で今後取り壊される予定の「大地ビル」を丸ごと会場に、DIY(Do It Yourself)のものづくりから、DIO(Do It Ourselves)のまちづくりまで、‟つくるを楽しむ” をコンセプトに開かれた市民イベント「ドットメイクところざわ 2017」。4月16日から土日限定8日間の開催を経て、5月13日終了しました。
終了後、午後5時半から「クロージングイベント」と称した「お疲れさん会」を開催。実行委員会のボランティアメンバーをはじめ、ビルオーナーや出展者、参加者、その家族など合わせて30人弱が集まり、それぞれの活動を労い、振り返りを行いました。その中で語られた内容をリポートします。
その前に・・・
ひげじいのトークショー まちづくりの温故知新
イベント終了後の「クロージングイベント」に集まる人たちは、よほど所沢を愛しているはず…。ということで、所沢の物知りじいさん「ひげじい」の愛称でおなじみの三上博史氏(所沢中心市街地活性化拠点「野老澤商店」)を招き、「所沢の町の変遷」を語っていただきました。
三上氏は、昭和12年生まれ、御年満80歳。所沢生まれの所沢育ち。所沢の歴史について語れる第一人者といわれ、所沢の歴史をふまえながら、新たな所沢の魅力を発信する活動をボランティアで行っています。最近の注目すべき活動の1つに、「新三八市」の開催。所沢の町の賑わいのはじまりは江戸時代の「三八の市」。その所沢の繁栄の歴史を現代に伝承すべく「新三八市」で祭りとして復活させる活動を行い、今年で3回目を迎えましたが、年々参加者も出展内容も増え大きくなっています。
◎三上氏のトークショー資料より
三上氏は、所沢の地が交通の要所だった江戸時代に「三八の市」が誕生し、商業が栄え、「織物のまち」→「飛行機のまち」→「基地のまち」→「高層マンションのまち」となった変遷と出来事を紹介。会場からは「へぇ~」と関心を寄せる声も漏れ、まちづくりの“温故知新”の時間になりました。
◆「人の輪づくり」ができた
「所沢駅周辺の再開発のため、今は使用しないままになっているビルを活用して、何か面白いことができないか?」という発想から始まったイベント。
企画段階から指揮をとってきた実行委員長の藤倉潤一郎氏は「ゼロの段階から『これをやってみたい』『あれもやってみたい』というボランティアが集まり、いろいろアイディアが集結しました。出展者の募集からチラシ作りやポスター作りに至るまで、それぞれの技能を発揮していただけたと思います。ボランティア、出展者、来場者それぞれに新たなつながりができ、次回に結び付くいい流れがつくれたと思います。また開催場所を見つけて、第2弾として同様なイベントを開催していきたいですね」と話していました。
実行委員長 藤倉潤一郎 氏
副実行委員長 程原宏明 氏
また、今回、「大地ビル」をイベント会場として提供したビルオーナーで、所沢サンプラザ館長の深井義之氏は「今回のイベントを通じて築いた関係を、次は所沢ノードでも生かし、まちの活性化につなげてほしい」と話しました。
大地ビルオーナー 深井義之 氏
出展者それぞれも、イベントに参加した思いを語り、「普段、普通に活動していたら知り合うこともなかった人と出会えた」、「出展者同士でもいい絆ができたので、今後、また一緒にコラボできるような企画をしたい」など、それぞれの今後の活動に生かせる経験になったという意見が大半でした。
◎クロージングイベントの様子
◆宣伝不足もプラス効果?!
さて、「ドットメイクところざわ2017」のイベントの成果はどうだったのでしょうか?
同実行委員会の集計によると、来場者数は、1260人。当初計画段階では、その4倍の5000人の集客を期待していたこともあり、反響の面の成果としては、残念な数字。イベント告知の宣伝方法の在り方や宣伝不足という準備不足についても指摘されました。
しかし!一方で、その宣伝不足という準備不十分さが功を奏し(?)、ある効果も見られました。それは、この事態をみかねた出展者の友達や来場者、またその友達など、友達つながりで、イベント期間中にもボランティアが続々と誕生しました。駅前でチラシを配って呼び込みをしたり、サンドイッチマンのように看板を抱えて路上で宣伝するなど、「イベントをたくさんの人に見てもらいたい」と来場者も広報活動をしてくれたのでした。実行委員会だけでなく、出展者、来場者が一丸となって作り上げた、まさに、いろいろな意味での「つくるを楽しむ」イベントになりました。
「バルーンプールで遊べるよ。」「お絵かきできるよ」
宣伝のおかげでたくさんの親子が遊びにきてくれました。
◎ポスターもすべてボランティアの作品(一部を紹介)