西所沢に現代アート。抽象絵画・ドローイング・写真・散文・・・なぜか分からないけど心がキュっとする作品たちに触れて


2022年に続き今年も11月に行われる「西とこ文化祭」。昨年イラストレーターによるアート展を行ったシン図書館では、今年もアーティスト・丸山零による作品展が行われます。

「家具のようだけどこれは何だろう?」「この写真は何を伝えたいのかな……」えも言われぬ心地良さに酔う

現代アーティスト・丸山零さん。抽象的なドローイングをメインに描き、散文や写真としての表現も発表しています。
また、雑誌のアートワークも手がけます。

丸山さんの作品はひとことで言うと「ちょっと不思議」なのです。

――一見して椅子とデスクのように見える絵、だけどあるべき線が全然足りない…。
――素敵な水辺の風景のように見える絵、でもペットボトルのキャップのようなものも描かれている。
――地図とタイトルが付いているが、限りなく絵のように見えるドローイング作品。


▲Cairs 丸山零

ひとつひとつの作品の前で立ち止まって、思わず一考せずにはいられない、そんな作品たちです。
しかし、難しく考えさせるもの、というより感覚的なものも多く、見る者の視点をある意味「強制的に」変えてくれて、それがなぜか心地良い……。
中毒性のある作品と言えるかも知れません。


▲無題 丸山零

ずっと描いていた幼少期 芸術論に固執した大二病時代

現在30代の丸山さん、幼少期から絵は身近な存在で「ずっと描いていた」そうです。カードをコレクションする感覚で身の回りの動物・植物を自分なりの図鑑に落とし込むことを楽しんでいました。
絵を自身の進路にしようと考えたのは、10代の頃フランス留学中の従兄弟を訪ねてパリに行ったとき。ちょうどそのころ、パリのポンピドゥーセンターで20世紀の美術作品展が行われていました。
20世紀はアートの中心がフランスからアメリカに移行していった時期。その前後の有名な作家の作品が一同に集められた展示でした。ジャクソン・ポロックやラウシェンバーグといった20世紀の西洋美術における重要な作品に触れることができたのです。また、オルセー美術館にも足を運び、19世紀の作品も目にします。

このパリ旅行で、たくさんの歴史的な作品を見たことがきっかけで、丸山さんの人生が変わります。
実は丸山さん、幼稚園時代から不登校だったため、当時高卒資格を持っていませんでした。この旅を経て大検に本腰を入れ、美大受験を志したのです。

美大受験生生活を送り、丸山さんが選んだのは京都の芸術大学の油絵科でした。
丸山さんに大学時代のことを尋ねると「キラキラしていた。学校が開いてから夜までいて、アトリエで絵を描く時間がいっぱいあってめちゃくちゃ楽しかった。世俗的な悩みがなくただただ作るということに集中できた頃」と話してくれました。
当時の大学院の学長・浅田彰氏にも構内でたまたま出会った際作品を見てもらい、評価してもらえたことがあり、アーティストとしての自信がついた頃でもありました。
しかし、ストイックに絵画というものを突き詰めていた丸山さん、若さゆえ芸術論に感化され過ぎていたきらいがありました。「頭でっかち」になり今風の言い方をすれば「大二病」をこじらせた状態に……。
「森を見て美しい、そいういう気持ちを忘れていた」
丸山さんは体調を崩したこともあり、大学中退を余儀なくされました。

「作品を見て、こう感じてほしいとか、ない。」見る人に委ねる

体調を整えるため療養に専念したのち、丸山さんは改めて作品を作るようになりました。
知り合いのデザイナーのテキスタイルデザインを手伝ったり、美容室の映像作品制作を手がけたり、少しずつ社会との接点も持ち始めました。
意外にも、クライアントとのコミュニケーションや制作を通じて、丸山さんは作品と自分との距離感を掴んでいったそうです。

作家としての自己が確立できたと感じるのはここ1年半。
「変に憧れの芸術家を目指そうとか思わなくなった。夢をあきらめる訳ではないけど、自分にはこれしかできない、と開き直ることができるようになった」
とにかく、いまは大学時代並みに作品作りに勤しんでいるとのことです。


▲蜜月 丸山零

最後に、筆者自身アートに対する見識が浅く、どう感じるべきか分からずとっつきにくさを感じることもある、という話をしたところ丸山さんは「作品から、無理にテーマ性を感じ取ろうとしなくていいんです」と話してくれました。
「むしろ鑑賞者の方から自分の気付かなかったことを伝えてもらうことの方が発見になってうれしい」のだそうです。

今回の個展ではここ1~2年間に制作した作品を展示する予定とのこと。
ぜひ会場に足を運び、丸山さんの作品に触れ、思索の旅を楽しんでください!


▲手紙 丸山零

-丸山零 個展-
11月18日(土)・19日(日) 
※11/25~12/23(毎週土曜日)延長展示します

会場:シン図書館 埼玉県所沢市西所沢1-17-13吉祥荘202
会期:2023年11月18日(土)・19日(日) 11:00-19:00 
※19日(日)は作家在廊予定。
※11/25-12/23(毎週土曜日)に延長展示を行う予定です


▲シン図書館

▶丸山零 公式サイト
https://www.reimaruyama.com/

▶西とこ文化祭 公式サイト
https://www.nishitokobunkasai.com/

▶西とこ文化祭 公式Instagram
https://www.instagram.com/nishitoko.bunkasai/


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