過去最高の応募数! 2018所沢まつり写真コンクール展
「2018所沢まつり写真コンクール展」が今年も開催。入賞作品18点を含む、応募作品144点すべてが展示されています。天候に恵まれ、22万人の熱気で賑わった、今年の「ところざわまつり」のあの活気と躍動感を再び思い出させてくれます。
取材:2018年10月30日(審査会)、11月10日(授賞式) 成田知栄子
所沢まつり写真展のご案内
【開催期間】2018年11月9日(金)~21日(水)
【開催時間】10:00~18:00(木曜定休)
【会場】野老澤町造商店(愛称:まちぞう)
【入場料】無料
【住所】所沢市元町21の18
【電話】04-2928-1453
1.過去最高の応募作品数を記録!
~新設カテゴリー2Lサイズの応募は少なめ~
今年の作品の応募期間は、2018年10月8日~23日(郵送の場合、10月22日必着)。過去最高の144点の応募作品が寄せられました。
審査会は、10月30日、東町にある日東会館で、スタッフが見守る中、埼玉県美術家協会会員の尾内勲先生と同じく志村祐夫先生の2人の審査員の厳選な審査が行われ、「所沢まつり大賞」「イベント賞」「ショッパー社賞」「J:COM賞」「2Lサイズ チャレンジ賞」を各3点ずつ選出しました。
今年は、「これからは、すそ野を広げた大会にしたい」と、新しいカテゴリーを新設。一眼レフのカメラでなくても、手持ちのスマートフォンやデジタルカメラで手軽に撮影した画像を2Lサイズにプリントして応募する「2Lサイズ チャレンジ賞」というカテゴリーが設けられました。
「今年の『チャレンジ賞』の応募作品は18作品と少なめでしたが、今後も気楽にコンクールに参加できるカテゴリーにしていきたい」と主催の所沢日栄会協同組合の田畑大介理事長は話しています。
▲主催の所沢日栄会協同組合 田畑大介理事長
2.審査のポイント
「2018所沢まつり写真コンクール」の授賞式が、11月10日午前10時から野老澤町造商店(まちぞう)で行われ、審査委員長の尾内勲先生から、コンクールの審査のポイントが公表されました。
「写真コンテストということで押さえて欲しい点は、「ピント」「露出」「構図」の3点です。この3点を踏まえているかどうかで1次予選と2次予選で審査をおこないました」
「ピントは、主題にピントがあっているかどうか。特に人物で顔がアップの時は、目玉にピントを合わせて欲しい」
「露出は、写真の明るさですが、写真が、暗いからダメとか明るすぎるからダメという見方はしていません。その作品の課題にあった明るさに仕上がっているかをチェックしました」
「構図は、シャッターチャンスにつながる問題ですが、できれば、1枚の紙の中に『主役』と『わき役』、つまり『主題』と『副題』をそれぞれのセンスで入れてあるかどうかを見ました。。」
▲2018年所沢まつり写真コンクール授賞式参加者のみなさんと、審査員の尾内先生と志村先生、田畑理事長で記念撮影
▲左から田畑理事長、尾内審査委員長、秋田さん(大賞受賞)、市野川さん(大賞受賞)、内野さん(大賞受賞)、志村審査委員
3.受賞作品と講評
【大賞】序曲「昭和通り」/秋田英行
《講評》この作品の良さはカメラポジションがいい。ハイアングルからの構成力に力強さがあり、特に手前の狐の舞手のポーズに、非常に緊張感を感じました。さらに見ていくと、中景の9頭の獅子の群れ。そして、遠景には小さく山車を取り入れた構成はなかなかのテクニシャンです。風景でいうなれば、近景、中景、遠景が余すことなく的確に入っています。しかも、超ワイドレンズを巧みに使用したこの作品は、より強く作者の意欲を感じました。すばらしい秀作です。これは、申し分なく、栄えある大賞に選びました。
【大賞】祭りの賑わい/市野川 晃
《講評》この作品の醍醐味は、3台の山車と神輿のコラボ。レンズの選択も無駄がなく、切り取り方もなかなか良いです。街並みを背景に3台の山車と踊り手にも躍動感があり細部において気配り、3台の舞手の様子をうかがいながら、シャッターを切っているというところに心を動かされました。まさしくこの写真を見ていますと、お囃子の音が聞こえてきそうな写真です。
【大賞】小さな道化達/内野キヨミ
《講評》祭りのこどもの写真というのは、予測がつかず大変難しいものです。この作品は、その難問を見事に解決している秀作です。子どもたちの9名の重なりがないこと。そしてそのポーズの愛らしいこと。特に手前にいる青い両手のしぐさが非常に気に入りました。いいシャッターチャンスです。お見事でした。
【イベント賞】若衆三人娘/大野貞子
《講評》無駄のない思い切ったフレーミングで三人三様の表情もいい。背景のお神輿がこの写真を盛り上げています。うまく表現しています。
【イベント賞】笑顔でダンス/早川康
《講評》2人の踊り子の躍動感を感じる写真です。スローシャッターのため、女性のすそがぶれていますよね。これなら、普通は横の構図で抑えるところを、タテにしたのも成功の要因です。緊張感のある作品です。
【イベント賞】終演の刻/安永匡隆
《講評》プリントの仕上方が実にきれいで格調高い仕上がりになっています。脇役になっている下の抱き上げられた子どもが、後ろ姿ですが、熱心に見ている姿は叙情的でノスタルジアを感じました。
【地域新聞 ショッパー社賞】はじけるよさこい/丹野広人
《講評》若者3人前列の表情が抜群です。長玉(望遠レンズ)の引き寄せ効果で、迫力ある画面に仕上ています。撮っているカメラポジションも良い位置です。
【地域新聞 ショッパー社賞】大きく育てよ/新明弘道
《講評》この泣きわめく子、そしてヨコのもう一人の子は、「この儀式は何なの?僕には全く分からない」という表情をしている。2人の子どもの表情の対比の面白さを見事なシャッターチャンスでつかんだ1枚です。
【地域新聞 ショッパー社賞】チャンスは今感動/小髙信子
《講評》雲の糸を放った瞬間のチャンス。そして、着物姿の2人の女の子の表情が実にいいです。周りで見ている人の温かい視線も効果的に祭りの雰囲気を出しています。
【J:COM 所沢賞】あ~、喉が乾いた!/徳永英久
《講評》望遠レンズでの背景をぼかしての撮影。しかも難しいタテポーズでのシャッター。相当写真をやっている方と、お見受けしました。この写真は、熱中症対策ポスターに使用したいなという思いで見ておりました。
【J:COM 所沢賞】山車の灯り(あかり)/柴田富夫
《講評》今回応募された全作品の中で白黒写真は、この1点だけでした。カラー写真とは違い、白黒は本質が映るので、ごまかしがきかない難しさがあります。特に右目に光るキャッチライトは、生命観と躍動感を感じました。なかなかの秀作でお見事でした。
【J:COM 所沢賞】山車の勢揃い/長滝誠二
《講評》撮影としては難しい夜の撮影なのですが、各々の山車での踊り手が待っている瞬間をうまく切り取っています。ベテランの作品。よく見ると、4基の山車で踊っている人がみんないます。普通は、どこか見えなかったりするものですが、非常にいい瞬間を切り取っています。
【入選】ヒョットコとおかめの曳っかわせ/加島広
《講評》構図に迫力があります。特に右側のひょっとこのしぐさがなんともかわいいことか。左は、おかめも実によいポーズをとらえています。なかなかひっかわせで2つの山車の踊り手を使って、主役とわき役の比較にとらえるのは難しいです。広角レンズを使用し、ハイアングルで撮ったのも効果的だったと思います。
【入選】怪力ヘラクレス/大舘照子
《講評》この作品は、光と影の扱い方が見事です。太陽光を利用して人物に立体感を出しています。表情、ポーズがベストです。
【入選】チビッ子の飛び入り/栗田昌明
《講評》今回集まった全作品の中でも非常にフォトジェニックな写真です。普通、この構成だと、両側の人物までピントを合わせたいところですが、両側をぼかしてわき役し、中央の小さい女の子にピントを合わせて主役にしています。この構図は、我々の心をくすぐる構成です。ただ残念なのは、女の子の表情が少し硬いので、もう少し動きや表情に味があったら、上位になれたかなと思います。
【2Lサイズ チャレンジ賞】出番待ち/小峰祥嗣
《講評》被写体の勝利。写真の上手さには「被写体の発見」という言葉をよくいいますが、まずは被写体、モデルさんの見つけ方、捉え方がいいです。実にいい女の子をテーマに作品にしました。女の子が持っている小道具のセンスとおかめも効果的です。まちの雰囲気が伝わります。
【2Lサイズ チャレンジ賞】獅子舞と赤子/平塚貴大
《講評》これぞシャッターチャンスの見本にしたい写真です。的確で無駄のない構成力になっています。構図が抜群。
【2Lサイズ チャレンジ賞】笑顔でダンス/白戸弘介
《講評》これはカップルの踊り子さんの表情が良いですね。旗も効果的、右の男性の手と足に躍動感を感じました。素晴らしい瞬間を切っています。
2018年の入選作品は以上ですが、この他、入賞はしなかったものの素敵な応募作品が多数まちぞうに展示されています。足を運んでみては。11月21日まで開催。
昨年の記事はこちら⇒2017所沢まつり写真コンクール受賞作品
取材:2018年10月30日(審査会)、11月10日(授賞式) 成田知栄子