2019ところざわまつり開催!!(台風19号の影響で中止決定)


山車を知って、楽しさ増やそう!!

※お知らせ

令和元年10月13日開催予定のところざわまつりについて、
台風19号の影響により、ご参加・ご来場の皆様の安全確保が困難と判断され、開催中止となりました。


▲今年の「ところざわまつり」のチラシ

令和元年10月13日(日)、歴史と由緒のある所沢市の秋のお祭り「ところざわまつり」が実施されます。開催場所は所沢市中央地区内各通り一帯で、中央地区14町内会や12商店会及び多数の団体が団結してお祭りを盛り上げます。
たくさんの催事が開かれる予定ですが、「ところざわまつり」で中心になる「山車(だし)」についてご紹介します。

2019年9月23日 文:坂本 隆二
協力:野老澤町造商店


【目次】
1. ところざわまつり実施概要
2. ところざわまつり「山車の曳きまわし」の歴史
3. 出陣する山車10基の紹介
4. 山車の見どころ
5. 最後に
6.お知らせ


1.ところざわまつり実施概要

※お知らせ
令和元年10月13日開催予定のところざわまつりについて、
台風19号の影響により、ご参加・ご来場の皆様の安全確保が困難と判断され、開催中止となりました。

開催日時:令和元年10月13日(日)
午前10時30分~午後9時(雨天決行)

催事の内容:【山車・居囃子】
【神輿(みこし)】
【パレード・練り歩き】
【イベント・物販・出店】
※詳細は「ところざわまつり公式ウェブサイト-催事のご案内」を確認ください。(http://www.tokorozawa-cci.or.jp/matsuri/saiji/

開催エリア:金山町交差点⇔銀座通り⇔ファルマン通り⇔昭和通り及びプロぺ通り⇔所沢駅西口ロータリー


▲「ところざわまつり公式ウェブサイト」より引用


2.ところざわまつり「山車の曳きまわし」の歴史

旧所沢町の商人、古谷重松(ふるやじゅうまつ)が独自の祭囃子「重松流祭囃子(じゅうまりゅうまつりばやし)」を近隣に広めていた明治初期ごろ、各町内会の有志達が旧所沢町の鎮守所澤神明社の秋の祭典(9月15日)に各山車を集めたのが、所沢の「山車まつり」のはじまりとされています。
明治末期から大正初期には、旧所沢町8町内から山車が集まるようになったといわれています(但しその頃から、行われない年や山車を出せない町内もあったとのこと)。
現在は神明社の祭礼とは切り離され、毎年10月に「ところざわまつり」として開催されています。

(「所沢市史ダイジェスト版 ところざわ歴史物語」より編集)


3. 出陣する山車10基の紹介

① 元町本町(旧上町)


▲元町本町の山車(盛留に加藤清正。現在は組まれてない)

製作年は明治初年。製作費は600円(当時)。総欅(けやき)造りの釘を使わない組み立て式で特別な細工がある山車は所沢一の大きさ。右柱に下り龍、左柱に上り龍、欄間に5頭の龍など多数の彫物があります。市指定文化財

② 元町東(旧上仲町)


▲元町東の山車

製作年は昭和3年。製作費は3000円(当時)。自慢は毛彫り細工の上り龍と下り龍。曳網を付け替えるだけで前後が変わる「迫り上げ舞台」(回り舞台)が特徴です。

③ 寿町(旧下仲町)


▲寿町の山車(獅子の彫物が特徴)

製作年は昭和23年(旧山車は弘化4年)。製作費は10万円(当時)。文化財級だった1847年作の山車を、老朽化により解体し、当時の飾り物をほとんど残して昭和23年12月に築造しました。

④ 御幸町(下町)


▲御幸町の山車(盛留に関羽・周倉)

製作年は江戸後期。製作費は350円(当時)。存在感のある堂々とした大きな山車で、周囲に施された様々な龍の彫刻。八王子型一本柱人形山車で、現在でも屋根に人形盛留(守止:もりどめ)を飾り付けることができます。市指定文化財

⑤ 宮本町(旧川原宿)


▲宮本町の山車(初代の山車は焼失。現在は2代目)

製作年は昭和初期(旧山車は明治20年ごろ焼失)。製作費不明。青山与助(元町東の山車を造った伊介の弟)が明治以前からあった部品を使って製作したといわれています。川越の職人曰く「車輪は川越にもない古さ」とのこと。鉦(かね)は天保年間作

⑥ 日吉町・東町(日東)


▲日吉町・東町の山車(現在の山車は2代目)

製作年は昭和30年。製作費20万円(当時)。日東の山車は、回り舞台、屋根には人形を乗せた立派な山車であったが老朽化が進み、以前の山車の台座を生かし大改造しました。

⑦ 金山町


▲金山町の山車(金山神社の社殿の欅材・彫物を賜用)

製作年は昭和55年。製作費不明(多数の旧い彫刻や欅材を使用したため)。
金山神社の社殿に使われていた彫刻や木材をフル活用し、それに現代の技術を加味したようです。往時の部材は4本の欅(けやき)材と5体の彫刻。金山神社の社殿に飾られていた竜の彫刻を楽屋の左右両出窓の上と山車の正面の欄間に計3体、神社の柱に提灯を吊るす彫刻付き屋根も巧みに山車の正面左右の柱に配置、活用して他に類型の無い独特の山車です。

⑧ 旭町


▲旭町の山車(部材・彫刻はすべて純国産)

製作年は平成25年。製作費不明(昭和23年作の旧山車は老朽化が進んだため)。
平成25年10月5日、新規山車建造決定。市制65周年祭に御披露目できるよう竣工したとのことです。
部材、彫刻の全てが純国産であり、台座や回り舞台の工夫が特徴です。

⑨ 星の宮


▲星の宮の山車(台座が360度回転できる造が特徴)

製作年は昭和57年。製作費は1500万円。市制30周年の時、住吉の屋台を借りたのがきっかけで山車制作の機運が盛り上がり、4m道路を曳き廻せる「360度回転する」自慢の山車を制作したとのことです。

⑩ 西所沢


▲西所沢の山車(全基の中で一番新しい山車)

製作年は平成12年。製作費は3500万円。昭和23年に制作した旧山車の二代目として市制50周年に合わせて平成12年8月に完成。両側面にある彫物は「須佐之男命の八股大蛇退治」などがモチーフで、龍の総一刀彫りは見事です。

【補足】今年は曳きまわしに参加しない山車

 有楽町


▲有楽町の山車(今年は居囃子のみの参加)

製作年は明治初期。製作費は1千円(当時)
砂川村(立川市)から16代深井伝右衛門が買い取り町内に寄付。左右柱に上り龍と下り龍、破風には竜宮の彫刻があり豪華。2000年1月から大改修。
市指定文化財。

※今年は元町コミュニティ広場での居囃子のみで参加です。

 西新井町・荒幡


▲新井町・荒幡のお囃子と演舞

製作年は推定明治16年。製作費は不明。彫刻師は、所沢周辺の神社建築に多くの優秀な作品を残した彫り物の名人、甲田良作(甲田近江守源高寿)。

※今年は山車のお披露目はなく、グラシスタワー前でお囃子と舞踊のみの披露となります。

参考資料「ところざわまつり公式ウェブサイト」
「ところざわ物語 所沢市史ダイジェスト」
「無形文化財『重松流祭囃子沿革史』
写真提供(一部): 野老澤町造商店


4.山車の見どころ

「ところざわまつり」のいちばんの見どころは、山車の「曳っかわせ」(各町内会囃子連が曳く山車同士が行路や交差点で出くわした時に、独自の祭囃子と舞踊を披露しあうこと)です。例年主に、日が暮れ始める頃から随所で行われます。

▲山車の曳っかわせ(寿町と日東の山車)

この様子を、「郷土史伝承ボランティア」の三上博史さんは『JAZZ』に例えて語ってくれました。

「各町内会の山車やお囃子や踊りはそれぞれ独自に特徴を持っています。
山車同士が行路や交差点で出くわす【曳っかわせ】の際、神楽を伝統通りに演舞するだけではありません。即興で敢えて基本調子や舞いをずらしたり変更して、お互いの技量を競い合います。
でも、勝ち・負けの判定はないんです。
まさに『JAZZ』のアドリブセッションですね。
しばらく【曳っかわせ】を披露し合って、予定時間になると各山車はそれぞれの行く手に分かれます。」

「夜も更け、フィナーレを迎える時間には、元町コミュニティ広場とイオン前に分かれて各山車が結集します。毎年かなりの盛況になりますよ。」


▲山車の曳きまわしフィナーレの写真

また、三上さんはこんなことも語ってくれました。
「各山車の上下四方の彫物にも目を向けていただきたいです。
屋根の破風や勾欄(こうらん)・柱などに、独自の竜や唐獅子など独自の彫物があります。いにしえの名刻家や宮大工の渾身の彫物・建柱が確認できます。
それから地区毎の参加者の袢纏(はんてん)の屋号・デザインも特徴的です。
よーく観察することで新たな発見や驚きに出会えますよ。」


5.最後に

「ところざわまつり」は、参加する各町内会・商店組合・諸団体等が伝統を踏まえたうえで、それぞれの持ち分で協力し合い、観覧する皆様方にお祭りを楽しんでいただけるよう、事前に何度も協議を重ねて当日を迎えます。
山車の祭典ばかりではなく、神輿でもパレードでも出店でもどのプログラムであろうと趣旨は同様です。

【ところざわまつり実行委員会】は公式HPで、
「まつりを通して、多くの市民に地域を愛する気持ちや、街づくりへの関心を高め、楽しんで頂こう!」
「いろいろな催物で市民がふれあい楽しめる場を設け、ご来場の皆様に、ゆっくりと観覧いただき、所沢の伝統ある山車や重松流祭囃子など、ふるさとの良さをあらためて実感いただきたい。」

と「ところざわまつり」の目的を掲げています。

参加する方々は勿論、観覧する多くの方々にとってこの記事が、「ところざわまつり」を楽しむきっかけになれたらそれがなによりです。

取材・文:所沢なびライター 坂本 隆二
監修:郷土史伝承ボランティア 三上 博史 氏
参 考:ところざわまつり公式ウェブサイト

お問合せ:ところざわまつり本部
電話:04-2992-1550
※ところざわまつり公式ウェブサイト(http://www.tokorozawa-cci.or.jp/matsuri/contact/)のフォーマットからの問い合わせも可能です。


6.お知らせ

この記事では主に「山車」についてお伝えしましたが、「ところざわまつり」について山車と切り離すことができない「重松流祭囃子(じゅうまりゅうまつりばやし)」についての紹介と展示が、9月21日(土)~10月22日(火) 野老澤町造商店で行われています。


▲重松流ってな~に?パンフレット

親切なスタッフさんたちが出迎えてくれますので、↓をご参照ください。

ところざわまつり直前企画
重松流ってな~に?
9月21日(土)~10月22日(火)
会場:所沢市元町21-18
野老澤町造商店(まちぞう)
お問合せ:04-2928-1453


この記事を書いた人

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坂本 隆二 Ryuji Sakamoto

31歳の時に所沢に引越し。仕事の都合で移住した、元ベッドタウン族です。 離職をきっかけに「所沢」という街を知りたくなり、地域活動デビュー。まだまだ地元の方には及びませんが、ぼちぼち活動していこうと思います。よろしくお願いします。

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