所沢の仕掛人。第7弾 北野大さん


所沢の仕掛人。

所沢の情報を発信する「所沢なび」では、「所沢の仕掛人。」をシリーズでお届けします。
このシリーズでは、「所沢を元気にする活動をしている人」にクローズアップしてご紹介していきます。

所沢の仕掛人。第7弾 北野大(きたの まさる)さん

今回は、タレント、コメンテーターとしても知られる、工学博士 秋草学園短期大学 学長の北野 大(きたの まさる)さんにお話を伺いました。

VOL.7 Dr. Masaru Kitano (University President of AKIKUSA GAKUEN)

取材:2018年10月4日 成田知栄子


▲秋草学園短期大学 北野大 学長  学長室にて

1.北野大さんプロフィール

北野大さんといえば、タレントのビートたけし(映画監督・北野武)のお兄さん。そして、最高視聴率40.8%という脅威の数字を叩き出した伝説のクイズ番組「大橋巨泉のクイズダービー」に出演し、また情報番組では、柔和な口調でわかりやすい説明をしてくれるコメンテーターとして知られています。

北野大さんの本業は、学者、研究者であり、教育者。(財)化学物質評価研究機構・企画管理部長、淑徳大学教授、明治大学理工学部教授を経て、現在は、所沢市にある「秋草学園短期大学」の学長に就任しています。

【秋草学園短期大学とは?】

幼児教育学科第一部・第二部、地域保育学科、文化表現学科の3学科が設置されています。幼児教育学科と地域保育学科は、幼稚園教諭、保育士資格のほか、子どもに関わる資格取得をめざせます。また、文化表現学科は、図書館司書、医療事務、Webデザインなどの資格取得を目的とした教育と短期大学にそくした教養教育が行われています。詳細は、秋草学園短期大学のホームページ

【北野さんの略歴をご紹介】

1942年 東京都足立区生まれ
1965年 明治大学理工学部卒業
1972年 東京都立大学大学院 工学研究科 工業化学専攻 博士課程修了
分析化学で博士号を取得(学位論文:光分解-ガスクロマトグラフィの研究)
専門は、環境化学

(財)化学物質評価研究機構・企画管理部長から淑徳大学国際コミュニケーション学部教授、明治大学理工学部応用化学科教授を経て、2017年4月から秋草学園短期大学 学長に就任

経済産業省・化学物質審議会委員、環境省・中央環境審議会委員、残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約専門委員などを歴任。

日本化学会委員、環境科学会理事、日本分析化学会会員

日本分析化学会・技術功績賞受賞(2004年)
環境科学会・学会賞受賞(2006年)

【主な著書】

*いまだに、たけしの兄です
*ドクター北野の地球なんでも好奇心(日本放送出版協会)
*循環型社会への提言
*地球環境にやさしくな れる本(三訂版)
*北野家の訓え(PHP研究所)
*心に残る名詩・名歌・名句
*教育のプロが語る「できる子ども」は環境で決まる(ダイヤモンド社)
*北野大vsビートたけしの新・環境文化論 もったいないね このバチ当たりめ!(あうん)
*21世紀のライフスタイル<1>ゴミ・リサイクル・ダイオキシン
*環境ホルモンから家族を守る50の方法
*人間・環境・安全―くらしの安全科学

※参考:ウィキペディア(Wikipedia)・株式会社 三桂

 

2.インタビュー

(1)〝秋草学園短期大学に新しい風〟学長に北野大 さん

成田:北野先生は、所沢にゆかりがあるのですか?

北野:生まれも育ちも東京都足立区なので、秋草学園短期大学の学長に就任して通うようになるまでは、所沢はそれほど知っているわけではなかったんです。でも、来てみて、とても良い所だと思いましたね。私は今も足立区の自宅から毎日電車で通っていますが、池袋から乗り換えて秋草学園短期大学まで30分で来れますので、都心からとても近いですよね。

それに、市街地に隣接する形で広大な航空公園もあって、緑が豊かですし、それでいて、所沢駅前は栄えていて、百貨店はあるし、飲食店もたくさんあるし、とても住みやすい所だと思いますよ。地方からも学生さんたちが来ていますが、所沢は過ごしやすい環境だと思いますね。

成田:先生は、化学がご専門ですが、秋草学園短期大学の教育にどのようなご縁があったのでしょうか?

北野:そうなんですよね。私は保育の専門ではなく、化学の専門家ですけど、秋草学園の理事長とは昔からの知り合いでしてね。それで依頼を引き受けたんです。秋草学園 理事長も、これからは保育の専門家だけでなく、何か新しい風を入れることが必要だと思ったんじゃないでしょうか

私の専門性を生かしてということでは、学生たちには、生活の科学の観点から「環境問題」などについて、機会があるたびに講義をさせていただいています。

(2)「子育て支援ルーム」がリニューアルオープン

成田:秋草学園短期大学の新たな取り組みをご紹介くださいませんか?

北野:はい。先月「子育て支援ルーム」がリニューアルオープンしました。以前からあった部屋を倍くらいに広くして、学生のアイディアを取り入れながらリフォームしたんです。その愛称が「ぽっぽ」というんです。かわいい名前でしょ?

学生を保育の専門家として社会に送り出していくわけですから、私は、地域に貢献できる学生を育てたいと思っているんですね。それで、「子育て支援ルーム」を充実させて、近所の子育て中のお母さんに「ぽっぽ」を利用していただける"学生の実習の場〟が身近にあるという環境を作りました。よく大学の教育学部が附属で幼稚園や小学校を持っていたりしますが、そんな位置づけの「子育て支援ルーム」です。

この近くに「所沢市子どもと福祉の未来館」がありますが、そこは多くの親子が訪れ、にぎわっています。日によっては600名の親子が利用しているそうです。それだけニーズがあるということですよね。それなら、本校も一緒に地域の支援ができればと。未来館の方は、水曜日が休館になっていますので、「ぽっぽ」は、その休館の水曜日の午前10時~午後3時に開放しています。支援員の方がきて、お母さんの子育ての悩み相談を受け、また、教育の場でもありますので、本校の学生たちがお母さん方の相談をうかがったりしています。

成田:リアルな形で勉強ができるんですね。

北野:うちの学生は卒業したら、幼稚園教諭2種免許、保育士という国家資格をいただいて、すぐに保育の現場に入るわけなんですよね。もちろん、その前に保育園、幼稚園、施設に行き、普段勉強したことを実習させていただいて、園の先生方にご指導いただきますが、「ぽっぽ」は、学生の経験を増やすということ以上に、この所沢に立地しているということで、地域のお母さん方とコミュニケーションを取り、地域のみなさんにも少しでもお役に立てる喜びの感覚を学生たちに体験もしてもらいたいと思っているわけなんです。
学生や先生のアイディアがつまっている部屋ができあがっていますので、成田さんもご覧ください。ご案内します。

  

▲ひのきの「たまご」のプール 手の感覚、ヒノキの香りなど、子どもの五感を刺激する工夫のあるおもちゃが備えられています。案内してくれたのは、北野学長(左)と豊泉尚美 幼児教育学科長(右)

子育て支援ルーム「ぽっぽ」の紹介はこちら

秋草学園短期大学が地域密着「子育て支援ルーム」オープン

 

(3)地域貢献できる喜びの体感を

成田:所沢のイベントや取り組みなどに、秋草学園短期大学の学生さんは積極的に参加されていますよね。

北野:「地域活動」という授業がありまして、ボランティアとして地域のお手伝いをすると同時に、学生もその活動から学ばせていただこうというものです。例えば、今度、12月には市街地で「サンタを探せ!」というイベントがありますけれど、所沢市街地で「とことこまちづくり実行委員会」が行っているイベントのお手伝いをしたり、航空公園で行われる「所沢市民フェスティバル」、子ども大学(埼玉県教育委員会)のボランティアなどが「地域活動」という授業になっています。子どもと接する、親と接する、社会出ても初対面の人ともきちんと会話ができる訓練をするということも目的です。実際に地域のお子さんたちと接するいい機会ですね。

 

成田:昨年も北野先生もサンタに扮して参加されていましたね。

北野:はい。やはり地域のイベントに出ていくということは、地域の人たちと良い関係を作ることができますね。この間も、私立の保育園の運動会がメットライフドームであったんですが、うちの学生も運営のボランティアに行き、主催者側からも喜ばれました。


▲2017年「サンタを探せ!」イベントに参加し、開会式に挨拶にたった北野学長

成田:所沢市が推進している事業「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」にも学生のみなさん一生懸命取り組んでいらっしゃいますね。

みんなのメダルプロジェクトを所沢市と共に盛り上げるべく、学校法人秋草学園(短期大学、高等学校、福祉教育専門学校)の「秋草メダルレンジャー」が結成されました。
本事業は学校法人秋草学園と所沢市で締結した「官学連携に関する基本協定」に基づくものです。

 

北野:これは、所沢市環境課でやっている事業ですが、学園全体でお手伝いしようということで始めました。私も環境が専門ですから、学生には、その取り組みを機会に環境の講義をしたり、なぜその活動に意味があるのかなどを話しています。

「都市鉱山」の話は、資源の枯渇の話からします。日本で一番品位の高い鉱山で、鹿児島に「菱刈鉱山」という世界で一番品位の高い「金鉱山」があるんですが、「都市鉱山」は、そういった「菱刈鉱山」より10倍近く品位が高いんですよね。大学ですから、むやみに活動に取り組むのではなくて、「なぜ」というところを理解してもらうことが大切だと思っているんです。ボランティア活動も同様です。単に行って参加するというのではなく、そこから自分でどんなことを学ぶかということを考えてもらいます。

 

▲携帯電話など小型家電を回収する活動を所沢市内のイベントなどの際にPR。大学内でも回収ボックスを設置

(4)「学生ファースト!」地域密着で栄える大学に

成田:北野先生は、誰もが知る著名な方であるのに、とても地域との交流も盛んにされていらっしゃいますね。

北野:うちの学生たちは、毎日、大学に通ってきているわけですから、地域の人にはお世話になっています。また、実習の際には、地域の保育園、幼稚園にお世話になりますし、卒業すれば、地域保育と関わり、地域のお母さんやお父さんとの関わっていくわけです。ですから私は、学生が日ごろ、そして、今後もお世話になる地域の人たちとなるべく時間のある限り交流を持ち、いい関係をつくっていきたいと思っているんです。「学生ファースト」の気持ちですよ。また、この大学も「地域密着」で栄えていくためには、学園全体が地域に積極的に関わっていくことが大切だと思います。

来年は、秋草学園は70周年。秋草短期大学は40周年を迎えます。学生たちには「地元愛」の醸成を行い、感謝の気持ちを持てるような学生教育を行い、今後も地元に根付いた教育を行っていきたいと考えています。

 

◆取材後記◆

秋草学園短期大学の学内を北野学長に案内していただいた際、廊下で出会う学生さんたちが、明るい声であいさつを交わす光景が印象的で、元気をいただきました。
所沢市は、2017年に秋草学園と「官学連携に関する基本協定書」を締結し、相互連携を通じた、協働によるまちづくりを推進していますが、秋草学園短期大学では北野学長のお考えの元、9月末にオープンした「子育て支援ルーム ぽっぽ」などの取り組みが、地域の保育力向上につながっていくことと思います。
また、秋草学園短期大学の学生さんが地域の人と多くの交流をしながら成長され、素晴らしい保育者を地元所沢に、また所沢の地で学んだ学生さんが全国に保育教育の専門家として羽ばたいて活躍していくことに期待します。

取材:2018年10月4日 成田知栄子

 

秋草学園短期大学

〒359-1112 埼玉県所沢市泉町1789番地
TEL 04-2925-1111(代表) FAX 04-2925-1119
受験生専用フリーダイヤル 0120-251-337 

※詳細は、秋草学園短期大学のホームページ


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