さようなら、そしてありがとう 松坂大輔! LIONS THANKS FESTA 2021レポート


12月4日。冬の到来を感じさせない、暖かい日差しが心地よいこの日、メットライフドームで”LIONS THANKS FESTA 2021″が行われました。


▲続々とファンたちが集まって来ます
 

▲大型スクリーン「Lビジョン」には、サンクスフェスタ2021の文字
 
一昨年は球場改修工事のため西武園ゆうえんちで、昨年は新型コロナウイルスの影響によりグランドプリンスホテル新高輪とメットライフドーム内「グリーンフォレスト デリ&カフェ」(及びオンライン)で行われたサンクスフェスタ。

今回、実に3年ぶりの本拠地球場メットライフドーム開催(オンラインでも同時中継されました)となったサンクスフェスタですが、今年はいつもとは違う特別なイベントになりました。松坂大輔投手の現役引退セレモニーが行われたのです。
 

▲松坂大輔投手の登場
 

所沢の誇りだった“平成の怪物”

松坂大輔。「平成の怪物」と呼ばれ、並みいる強打者を次々と力でねじ伏せてきた大投手。「松坂世代」と呼ばれる、一つの時代を牽引するほど大きな影響力を持った人物。そんな松坂投手がライオンズに、所沢にいてくれた時間は、なんと素晴らしいひと時だったことでしょう。

オリックス・イチロー選手との初対決で3三振を奪い「自信から確信に変わった」のも、初めての投げ合いで黒星を喫したロッテ黒木知宏投手に「リベンジ」を果たしたのも舞台は所沢でした。
野球ファンならずともその名を知らぬ者のいなかった彼の存在は、所沢の大きな誇りでした。

そんな松坂大輔投手が、この所沢の地でプロとしてのキャリアをスタートし、そして所沢で現役生活を終える。「感慨深い」という一言では言い表せないほどの思いが胸にこみ上げてきます。

ライオンズを引っ張った2大スター

引退セレモニー前に行われたのが、松井稼頭央二軍監督(来季から一軍ヘッドコーチ)とのトークショー。
 

▲画像提供:株式会社西武ライオンズ
 
東尾監督と伊原監督の元、投打の中心として、またライオンズの顔として、何度もリーグ優勝に貢献した二人の並び。これがまたしみじみ感慨深い。

残念ながら二人が一緒にプレーしている間にライオンズが日本一に輝くことはありませんでした。しかし、「ライオンズのユニフォームを纏った二人がチームを日本シリーズ優勝に導く瞬間が見たい!」と願っているファンは多いはず。その日が実現してくれたなら、こんなに嬉しいことはありません。

現役引退セレモニー

全てのイベントを終え、いよいよ現役プロ野球選手・松坂大輔投手が現役として最後のユニフォーム姿をグラウンドに現しました。

甲子園優勝で優勝したときの横浜高校の監督である渡辺元智氏。
それぞれ第1回と第2回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表監督を勤め、指揮官と選手としてともに世界一の栄冠を分かち合った王貞治氏、原辰徳読売巨人軍監督。
「昭和の怪物」江川卓氏。
かつてライオンズでバッテリーを組んだ中嶋聡オリックスバファローズ監督。

そうそうたる顔ぶれから寄せられたビデオメッセージが場内に流れるたび、改めて松坂投手の偉大さを実感しました。
 

▲画像提供:株式会社西武ライオンズ
 
球場に駆け付けてくれた俳優の妻夫木聡さんは「自分も松坂世代」と言い、「僕にとってヒーローであり、夢であり、最大のライバルでした」と松坂投手への熱い思いを語ってくれました。感極まった妻夫木さんが涙ぐむ姿には感動を覚えました。
 

▲画像提供:株式会社西武ライオンズ
 
同じく球場に現れた入団時の監督である東尾修さんは「大輔! 今度帰ってくる時はライオンズのユニフォームしか着ちゃだめだぞ!」と、スタンドを沸かせ、松坂投手をたじろがせていました。
 

▲画像提供:株式会社西武ライオンズ
 

松坂大輔、最後のメッセージ

「野球と一緒で物覚えが悪いので紙を見ながら話してもいいですか」
場内の笑いを誘いつつ、マイクの前に立った松坂投手は、あらかじめ用意していたメッセージを読み始めました。
 

▲最後のメッセージを読み上げる、松坂大輔投手
 
「応援していただいている方に喜んでもらうことが僕の現役時代の原動力でした」
「少しでもファンが喜んでくれたり勇気やパワーを送ることができていたのなら、こんな姿になっても、まだまだ投げ続けたいと思いながらやってきて本当によかった」
と、ファンへの思いと感謝を

「僕を産んでくれ、育ててくれた両親に」
「小さい時から常に僕と比較され、苦しい時期を過ごしたこともあった弟に」
「僕のわがままを許してくれた、妻、子供たちに」
と、家族への感謝を

「トレーニング、体のメンテナンスには十分お金をかけてあげてください。それがいつか自分にいい結果として返ってくるはずです」
「もしそれが結果に結びつかなかったとしても、一生懸命考え、実践したことは無駄にはなりません」
と、後輩へのアドバイスを

「小さい頃から投げること打つことが大好きで、引退する直前までもっと投げたい、もっとみんなと勝ちたいと思っていました」
「最後は普通に投げられなくなるまで野球を続けることができて本当に幸せでした」

「23年間やってきた中で、たくさんの嬉しい経験、悔しい経験をしてきました」
「いつでも悔しい経験のほうが強く残っていますが、その悔しい経験をバネに僕は挑戦してきました」
「それは自分で自信をもって誇れる部分だと思っています」
と、野球に対する思いの丈と矜持を

そして
「今の結果に満足している選手は誰一人としていないと思います。その時その時の結果に満足することなく、うれしい経験、悔しい経験をたくさん積み重ねて信念を持って上を目指していってほしいと思います」
「その経験、思いをこれからの世代に紡いでいくことができれば、またライオンズの黄金時代がやって来るのではないかと思っています」
と、埼玉西武ライオンズへのエールを、淡々と、しかし熱く語ってくれました。

「最後に改めて23年間、長いあいだ支えていただき、前に進むために背中を押していただき、本当にありがとうございました」

涙をこらえつつ最後のメッセージを伝え終えた松坂投手に、スタンドからいつまでも大きな拍手が鳴り響いていました。

誰もが驚いた、最後に衝撃のサプライズ

スピーチのあと、場内を一周する松坂投手。
 

▲ファンに手を振り、場内を一周
 
ファンへの最後の挨拶を終え、これで現役選手としての松坂大輔も見納めか、と誰もが思ったその時。衝撃のサプライズが。

バックスクリーンの大型モニター“Lビジョン”に「平成の名勝負」を繰り広げてきたイチロー氏のビデオメッセージが流れ始めたのです。
 

▲イチロー氏が大型モニターに!
 
これだけでも十分驚きなのに、引き続いてまさかの本人登場!
文字通り正真正銘のサプライズに、松坂投手も涙をこらえることができませんでした。
 

▲イチロー氏のサプライズ登場に涙
 

LIONS THANKS FESTA 2021は、語り継がれるべき名イベント!

もちろん、サンクスフェスタの見どころは松坂投手の引退セレモニーだけではありません。

今年のTHANKS FESTAは、試合と同じように全席指定のチケットを購入、メットライフドームスタンドの自席からでのトークショーなどのイベントを観覧しました。

これまでの、メットライフドームを中心に数カ所のエリアに分かれてイベントが同時進行するスタイルと比べ、人の流れが抑えられる点に新型コロナウイルス感染防止への配慮が伺えました。

ゲストは「中川家」の中川礼二さん、あさりど堀口文宏さん、オードリー春日俊彰さんと、「ライオンズファン芸人BIG3」が揃い踏み。ライオンズが繋いだ夢の共演に、詰めかけたファンも大喜びでした。
 

▲画像提供:株式会社西武ライオンズ
 
トークショーでは岡田選手や熊代選手が、それぞれ礼二さんと春日さんをアシスタントにメインMCを勤めたり、トークの最中に某人気マンガのパロディ「埼玉リベンジャーズ」が乱入してきたりと、ライオンズの明るいチームカラーと人気芸人の実力がシンクロして、とても楽しく盛り上がったイベントになりました。
 

▲ドーム全体が楽しい雰囲気に
 

▲「埼玉リベンジャーズ」が乱入!?
 
続く“L-1 BATTLE 2021 勝ち抜け! ライオンズクイズ選手権 supported by サンシャインシティ” では、オードリー春日さんに負けず劣らず、選手たちが試合の時以上に体を張る姿(失礼!)に、スタンドからの笑い声が絶えることはありませんでした。
 

▲画像提供:株式会社西武ライオンズ
 

▲笑い溢れる瞬間がたくさん
 
明るく始まり、存分に笑わせ、しんみり締めて、最後の最後にアッと驚かせる。今回のサンクスフェスタは今後もファンのあいだで語り継がれていくであろう素晴らしいイベントになりました。

大投手の引退に触れ、ライオンズの選手たちの胸にも期するところがあったはずです。そんな松坂投手からの思いを受け継ぎ、今季の悔しさを噛みしめたライオンズナインが、来年はしっかり「リベンジ」してくれることに大いに期待しましょう。


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