日本画壇の最高峰として知られる髙山辰雄が13年間描き続けた 『文藝春秋』の表紙絵156枚を再編集し、初の集合展示
記念すべきコレクション展<第一弾>
「角川武蔵野ミュージアムコレクション展 髙山辰雄―15cm×15cmの宇宙―」を角川武蔵野ミュージアムで12月2日より開催
角川武蔵野ミュージアム4Fのエディット アンド アートギャラリーにて、2023年12月2日(土)~2024年4月8日(月)、日本画家・髙山辰雄の展覧会「角川武蔵野ミュージアムコレクション展 髙山辰雄―15cm×15cmの宇宙―」が開催されます。
また、関連イベントとしてトークショーとワークショップが順次開催されます。
角川武蔵野ミュージアムが所蔵する約160枚の髙山辰雄作品とともに、彼が絵に込めた思いを解き放つ
▲髙山辰雄《裸婦》 1948 年 公益財団法人 角川文化振興財団蔵
髙山辰雄は、伝統的な日本画の技法を用いて作品を制作し、それが国内外で高く評価されている日本画家です。
日本画壇の最高峰まで登り詰めた髙山は、常に人間とは何かを問い続け、目の前にあるものと真摯に向き合い描いてきました。
角川文化振興財団と髙山のつながりは深く、株式会社KADOKAWA本社エントランスでの作品展示や画文集の出版をするなど、生前からの親交がありました。そのため、貴重な髙山作品が数多く収蔵されています。
今回は、その中から画業の転換期ともなった初期作品《裸婦》(1948年)をはじめ、女性美の集大成ともいえる《青衣の少女》(1984年)など、髙山の代表作品を公開されます。
展示の中心となるのは1987年~1999年の13年間、毎月1枚ずつ描き続けた『文藝春秋』の表紙絵156枚です。15cm×15cmの表紙絵には、春夏秋冬を繰り返す小さな宇宙が広がっています。そこには移ろいゆき、循環していく自然や人間の姿が描かれています。
髙山が見ていた景色を追体感することで、自然や宇宙とつながったこの世界を見つめ直すきっかけとなる展示になっています。
展示内容
Section1 髙山辰雄の言葉
『存在追憶 限りなき時の中に』
▲著者:髙山辰雄 発行:角川書店
髙山は明治45年(1912年)、大分県大分市に生まれました。生家の側にあった松林がそのまま海につながっていたといいます。
そして、部屋から見える朝焼けや夕焼けの由布岳、鶴見岳の美しさを感じながら
少年時代を過ごしました。その後、東京で絵を学び画家となり、戦争を経験しさまざまな葛藤を抱えながらも、洋画家ゴーギャンの伝記に出会い自身の表現を獲得していきます。
このエリアでは、髙山の没年(2007年)に角川書店(当時)から出版された『存在追憶 限りなき時の中に』から髙山の言葉を抜粋しながら、画家の人生を紹介します。
同書の中で髙山は、「絵描きの特別な目ではなくて、みんなと同じ目になりたいと思って、これまでやってきました。」と語っています。
人間とは、生きるとはと自ら問い続け描いてきた画家の真っ直ぐな言葉を感じてください。
Section2 廻る四季 『文藝春秋』の表紙絵
このエリアでは、髙山が1987年から1999年までの13年間をかけて取り組んだ、文芸雑誌『文藝春秋』の表紙絵156枚を全点展示します。
髙山は、日展三山として並び称される先輩の画家・杉山寧から、表紙絵のバトンを受け継ぎました。一枚目となる同誌1987年1月号に描かれた画家の言葉にも、その偉業を引き継ぐことの緊張が書かれています。
杉山がそうであったように、表紙絵の一枚一枚には過ぎゆく季節を慈しむような、洗練された言葉が添えられています。
本展では新しい試みとして、156枚の表紙絵を、年代順で並べるのではなく、春夏秋冬の季節に分け、さらに「元旦」、「音」などの言葉によって分類します。
髙山の描いた景色を再編集することで、髙山のいた時ともつながる、新たな季節の煌めきを感じられる展示です。
▲髙山辰雄《『文藝春秋』表紙絵》1987~1999 年 公益財団法人 角川文化振興財団蔵
▲髙山辰雄《『文藝春秋』表紙絵》1987~1999 年 公益財団法人 角川文化振興財団蔵
▲髙山辰雄《『文藝春秋』表紙絵》1987~1999 年 公益財団法人 角川文化振興財団蔵
▲髙山辰雄《『文藝春秋』表紙絵》1987~1999 年 公益財団法人 角川文化振興財団蔵
Section3 喫茶店から宇宙を考える
生前、髙山はよく喫茶店を訪れたといいます。そこではスケッチをしたり、外を眺めてもの思いにふけっていたと語っています。喫茶店での髙山の空想は宇宙にまで及びました。
画業の後半は、太陽や月、星などの天体を意味する「日月星辰」という言葉を好んで使い、日本画の中に果てしない宇宙を再現することを試みていました。
このエリアでは、髙山の愛した喫茶店を空間として再現し、秘蔵の絵画コレクションを展示します。女性美を追求した傑作ともいえる≪青衣の少女≫をはじめ人間、鳥、花、自然、そして万物につながる宇宙を思い描いた絵画をご覧になれます。
▲髙山辰雄《青衣の少女》 1984 年
公益財団法人 角川文化振興財団蔵
人物紹介
髙山辰雄:1912(明治45)年~2007(平成19)年
大分県大分市生まれ。1936年、東京美術学校日本画科を主席卒業。
在学中から松岡映丘に師事。1946年、1949年に日展特選、独自の芸術的な画風が評価される。
以降、日本芸術院賞、芸術選奨文部大臣賞、日本芸術大賞等を受賞。1982年、文化勲章受章。
日展を中心に活躍し、東山魁夷、杉山寧とともに「日展三山」として知られる。
関連イベントを開催
スペシャル・クロストーク 「追想・髙山辰雄 動く風景をめぐって」
日本画家・土屋禮一氏と泉屋博古館東京 館長・野地耕一郎氏をゲストに、髙山の絵や彼がまだ生きていた頃のお話から日本画の発展についてなど、対談形式でのトークイベントが開催されます。
日 時:2024年1月27日(土) 14:00~15:30
場 所:角川武蔵野ミュージアム 4F レクチャールーム
参加費:無料
定 員:40名(先着順)
ワークショップ 「武蔵野を水墨画で描く」
髙山は晩年、筆と墨壺を組み合わせた携帯用筆記用具「矢立て」を使って身近な風景をスケッチしていました。
水墨画家・足立正平氏を講師に迎え、武蔵野の春を「墨」でスケッチするワークショップが2回開催されます。
日 時:2024年3月30日(土) ①10:30~12:30 ②14:00~16:00
場 所:角川武蔵野ミュージアム 4Fレクチャールーム
参加費:各回 2,000円
定 員:各回 20名(先着順)
※関連イベントの詳細および申し込みは、展覧会公式サイトでご確認ください。
▲完成品イメージ図≪酔芙蓉スケッチ≫ 足立正平画
【展覧会概要】
展示タイトル:角川武蔵野ミュージアムコレクション展 髙山辰雄—15 cm×15 cmの宇宙—
英語タイトル:Kadokawa Culture Museum Collection Exhibition “Tatsuo Takayama: The Universe in the Palm of a Hand”
会場:角川武蔵野ミュージアム 4F エディット アンド アートギャラリー
会期:2023年12月2日(土)~2024年4月8日(月)
展覧会公式サイト:https://kadcul.com/event/167
主催:角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人 角川文化振興財団)
協力:丸栄堂、文藝春秋
チケット価格(税込): KCM スタンダードチケット(本棚劇場含む)
●オンライン購入(https://tix.kadcul.com)、当日窓口購入
一般(大学生以上):1,400 円/中高生:1,200 円/小学生:1,000 円
*休館日、開館時間は変更となる場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
*「1DAY パスポート」チケットなどでも本展覧会をご覧いただけます。詳細は公式サイトでご確認ください。
*展示替えなどにより、日程によっては一部施設に入場できない場合がございます。
*展示内容が変更、または中止になる場合がございます。予めご了承ください。