優しさが散りばめられた素敵な絵と物語。所沢在住の漫画家、上村五十鈴先生にお話を伺ってきました。
こだわりのコーヒーと美味しいスイーツが人気の、とある町にある雑貨店。のんびり穏やかな店長としっかり者の男子高校生が迎えてくれる、ちょっと心が疲れた時に訪れたくなるお店を舞台にした作品「雑貨店とある」の作者、所沢在住の漫画家 上村五十鈴先生にお話を伺いました。
「雑貨店とある」は、様々な思いや悩みを持ったお客様たちを心にも体にも優しいスイーツで癒してくれるお店。読者の方々の身近にあるそれぞれのお気に入りのお店を連想してもらえたら、との思いで書き上げられたそうです。
上村先生ご自身も、店主さんこだわりの商品がセレクトされているようなお店や居心地の良いカフェが大好きで、そんなお店に巡り合えたときはいつも心が躍り、テンションが一気に上がるのだとか。
作品中に出てくる美味しそうなスイーツたちは実際に作ってみて「これは誰かに教えたい!」と思ったレシピを載せているとのことで、目をキラキラさせてお話くださるのを聴いていると「雑貨店とある」が実在しているような気になっていきました。
今回インタビュー場所としてご協力いただいたカフェ ポレポレ堂では作品内に出てくるおからケーキがショーケースに並ぶことも。上村先生曰く「こちらのおからケーキのほうが私が作るのより断然おいしいの! 材料にもこだわって作ってくれていて、本当においしい!」と絶賛されていました。ちなみにおからケーキのレシピは第一巻の「いいとこだらけのパウンドケーキ」で紹介されています。
やりたいことがたくさんあって「足踏みしているのはもったいない」という上村先生。「おにぎり食堂をやりたい」と、昨年にはカフェポレポレ堂のママさんとそれぞれがやりたかったおにぎり食堂とあかちょうちんを開催するなど、とてもアクティヴな印象を受けましたが以前からずっとそうだったわけではないそうで…。
元々お菓子は大好きだったものの、”食”に興味を持ち始めたのはご自身が体調を崩したのがきっかけ。体に良いもの、そうでないものを考えるようになったのだそうです。
インタビュー中にふと話が逸れ、私のコレステロール値が高いという告白(?)に、それはそれは親身になってとても有効なアドバイスをしてくださいました。あまりの博学多識さに思わず「え、それは〇〇ですか?」「これは?」「あれは?」と前のめりに質問をしてしまい、「あ!違う!こんなことを聞く時間じゃない!」と我に返ったほどでした。
今の上村先生からは想像も出来ませんが、”出来ない、やれない、怖い”という思いに囚われて、何も見えない土の中にいるような気持ちでいた時期もあったそうです。「すごくがんばるんじゃなくて、1㎜でも前に進めたらいい。と思って自分を励ましていたら、ご縁と幸せを頂いて、やりたいことだらけの人になりました。」穏やかな笑顔の中に、多くの思いを経験された強さを感じました。
物心ついたころには既に絵を描いていたという上村先生。デビュー作の「星の案内人」はのどかな田園都市に作られた施設プラネタリウムが舞台の、こちらも上村先生らしい心癒される優しい物語です。
染物をしたり、竹を油抜きしたり、甘酒のために一升炊きの炊飯器を購入したり…。くすっと笑える話題や、いいな、すてきだな、おいしいな、という上村先生のおすすめ情報はInstagramで紹介されています。是非チェックしてみてくださいね。⇒ @uemuraisuzu