所沢の秋田家住宅が有形文化財に登録!
「所沢なび」ボランティアライターのぶんです。
今日は平成28年2月25日に文化財登録原簿に登録された、秋田家の歴史の話です。
今月11日特別公開されました。
秋田家は、所沢市寿町の銀座通りに南面して店舗を構える商家の建物で、綿糸商当時の屋敷構えがそのまま残され、商店の面影をよく伝えていることから、「国土の歴史的景観に寄与しているものに該当するとして文化財登録原簿に登録されました。
【秋田家の歴史】
秋田家は屋号を「井筒屋」といい、綿糸商として所沢の織物産業の発展を支えた歴史があります。
明治35年発行された『埼玉県営業便覧』には、「綿糸商 秋田伊三郎」、道向かい側に「織物仲買商秋田政太郎」とあり、原料の糸だけでなく織物も扱っていたことがわかります。
【秋田家住宅見どころ】
店は出桁造り(だしげたづくり)ですべての部材を軒先まで銅板を張り、防火を講じる、特徴的な外観をもっています。
2階は数寄屋風の明るい座敷で、絵入砂摺ガラスを用いるなど瀟洒(しょうしゃ)な造りとなっています。
窓ガラスには六角形と桜の花びらをモチーフとした「絵入砂摺ガラス」が、差し込む陽光を和らげています。
担当の方の説明では「和服の伊勢殻型紙を用い黒砂糖を混ぜた糊を塗り、機械で砂摺りして模様を付ける技法で、明治に考案された長崎のガラス商、川添其三郎氏だそうです。
担当の方が和服の柄をモチーフにした話をされていた時、タイミングよく和服を着た方がお見えになり、和服が歴史とロマンあふれる建物にタイムスリップしたかのような錯覚に陥るほど素敵でした。
女性の方にたずねたところ、これから着付け教室に行かれるとのことだった。
店の奥にある「土蔵」は、店舗兼主屋の北西側に一体化して建てられて、黒漆喰塗の重厚な扉です。
屋根が切妻造桟瓦葺、影盛鬼瓦。
先端の軒巴瓦には秋田家の商標である「井桁の中にイ」が刻まれています。
「離れ」は、土蔵の北側に建つ桟瓦葺の平屋建で、8畳の主室と次の間に縁を廻らせています。
主室は座敷飾りを備え、床柱などに良材を用い、堅実な仕上げの書院としています。
矩(かね)の手に廻る縁は、ガラス戸をたて、組子のガラス欄間を飾るなど、気品のある造作になっています。
店の横を通って奥へ続く敷地内の路地に面してこの門は建っている。形式は「一間腕木門」、屋根は切妻造桟瓦葺。この塀は斜めに下がり、軒が波打って見えるが、昔は東川に向かって土地が下がっており、これに沿って造られているためである。
このように、秋田家住宅は、綿糸商当時の屋敷構えがそのまま残され、明治から大正時代の所沢における商店の面影をよく伝えているところです。通ったとき外観だけも見れば「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に該当するとしている事がわかります。
参考資料:所沢たてもの帖、所沢市教育委員会文化財、所沢市HP