「トトロの森はみんなのもの!第2弾」~トトロの森に車椅子で行ってみました【八国山編】~
2025年4月にトトロの森1号地とその周辺を車椅子で散策した記事を書かせていただきました。どんな反応をいただけるのかドキドキしていたのですが、おかげさまで続編を望むとのご意見を頂戴しました。
今回再び所沢市議会議員の斎藤由紀(さいとうゆき)議員にご協力いただき、「第2弾」としてトトロの森2号地や八国山周辺を散策してきました。

取材日:2026年1月17日 ボランティアライターじん
(1)続編にあたって
今回散策するのは八国山周辺にしました。八国山は松が丘住宅地のすぐそばにあり、狭山丘陵の東端にあたります。標高もそれほど高くなく気軽に自然を感じられる、お散歩などにはとても適した場所です。しかし丘陵ならではの急坂や階段があり、車椅子での移動には困難を伴います。そんなバリアを協力して乗り越えながら、所沢市議会で活躍する斎藤由紀(さいとうゆき)議員(以下親しみを込めて「斎藤さん」と表記させていただきます)にこの八国山の自然を満喫していただこうと思います。
「バリアフリーハイキングルート」を紹介することで、広くたくさんの方にこんな散策方法もあるよと知ってもらえたらうれしいです。参考にできるように記事の最後に簡単な地図を添付します。途中出てくる番号はだいたいの位置を対比できるようにしております。
今回も、現在所沢市を題材に地域活動などを勉強している大学生の平本陽菜(ひらもとはるな)さん(以下「陽菜さん」と表記)に協力を依頼して、3人で再タッグを組んで臨みました。

▲斎藤由紀さん、後ろで車椅子を押す平本陽菜さん。未舗装路や坂道などはこんな感じで散策しています。
なお取材は自動車や通行人などの邪魔にならないように細心の注意を払って実施しました。3人で落ち葉を踏みしめながら、小春日和のなか狭山丘陵を満喫してきました。
(2)バスに乗って松が丘住宅地へ
今回の散策のスタートは所沢駅です。ここから「西武園駅行き」のバスに乗車しました。西武バスはバリアフリー化が進んでいて車椅子でも安心して乗車できます。初めて車椅子の乗車風景を拝見させていただきました。

▲所沢駅西口2番乗り場から乗車
バスの運転手さんが手際よく入口にスロープを出し、乗車させ、車椅子をしっかり固定してくださいました。乗車中も動いたりすることなく快適に車窓の風景などを楽しむことができました。
途中の「水天宮下」のバス停で下車して散策スタートです。下車時も運転手さんがスムーズに作業してくださいました。
バスに安心して乗車できることは、散策ルートの自由度が格段にあがることを意味します。今まであまり深く考えたことはありませんでしたが、車椅子の方にとって移動手段は重要な要素だと認識することができました。
(3)鳩峯の丘からトトロの森2号地へ
水天宮下バス停①は松が丘住宅地の中にあります。バス通りを横断し、のどかな風景と住宅地の境目のような道を進んでいくと佛眼寺に到着しました。
正面は階段があるので、脇から直接本堂方面にアプローチしました。手前には六体のお地蔵様がいらっしゃいます。こちらはスタジオジブリの映画「となりのトトロ」でお母さんのところにトウモロコシを届けようとして迷子になったメイちゃんが、さつきちゃんに発見された場所のモデルのひとつといわれています。実は、今日の取材の裏テーマは「となりのトトロの風景を探して」なんです。段差があって斎藤さんは六地蔵の近くまでは行けませんでしたが、離れたところからご満悦いただけました。
本堂に参拝したあと、隣にある「福禄寿神」に参拝しました。こちらは2020年から始まった所沢市内7ヶ所の寺院を巡る「所沢七福神めぐり」の第三番になっており、財運招福、子孫繁栄、延命長寿のご利益があるといわれております。斎藤さんは参拝後に「トコろんマーク入りの御朱印」をいただきました。

▲②佛眼寺 上:六地蔵 中:福禄寿神 下:トコろんの御朱印
佛眼寺を後にして、坂を登っていきます。今日のコースはざっくりと2つの丘をめぐる感じになります。一つめが鳩峯方面の丘になります。丘の頂上めざして舗装道路を登っていくと右手に入間郡戦歿者之墓、左手に鳩峯八幡神社の鳥居が見えてきますので手前を左折します。水天宮の手前までは舗装道路が続いていますが、その手前からは未舗装道路へと入っていきます。水天宮の脇を抜けて少し斜めに戻るような感じで進むと鳩峯八幡神社の境内に入れます。
森の中に静かにたたずむ鎮守の神の本殿に無事参拝することができました。境内には新田義貞が戦勝祈願時に兜をかけたという「兜掛の松」があり、中世に思いを馳せました。

▲右上:入間郡戦歿者之墓 左:③鳩峯八幡神社本殿 右下:兜掛の松
水天宮脇の道に戻ります。記事中2枚目の写真がこの辺りになります。鳩峯公園の森が広がっています。陽菜さんがフォローに入り車椅子を押しながら未舗装路を進んでいくと「トトロの森2号地」に到着しました。ここはトトロのふるさと基金さんが二番目に取得した森になります。前回の1号地に続き、2号地もその目に触れることができました。車椅子で一人ではなかなかたどり着けない丘の上のその場所にたどり着き、斎藤さんの顔にも笑顔があふれました。もちろん陽菜さんも僕も達成感で笑顔です。トトロの森を実際にみて、感じることができる。歩ける人にとっては当たり前のことでも車椅子では一人では難しい。でも力を合わせれば可能になる。この記事がその手助けになればうれしいです。

▲④トトロの森2号地
トトロの森2号地を後にして鳩峯公園の散策路を更に進んでいきます。所沢市南部浄水場のタンクがみえてきたところで広い未舗装路にでます。坂道を少し進んだところにバリアフリーの鳩峯公園公衆トイレがあります。
浄水場の辺りが鳩峯方面の丘の一番高いところになります。ここから森の中の道を一旦離れ、松が丘住宅地の中を進んでいきます。
(4)松が丘住宅地を抜けて八国山へ
松が丘住宅地は1981年に狭山丘陵の東側、久米(大谷)田んぼが広がっていた地域に建設された住宅地になります。丘陵との調和を目指しており、緑が多く高層住宅はありません。「さいたま景観賞」も受賞しており、「環境共生住宅団地」の認定を受けています。街内に商店はなく落ち着いた雰囲気の街並みが続きます。鳩峯の丘から坂を一旦下って、次の丘である八国山の丘に向かいます。丘と丘とその谷間に住宅が広がっており、住宅越しに先ほど散策した佛眼寺と鳩峯の丘が望めました。

▲左:⑤松が丘住宅地の八国山側から鳩峯方面を望む 右:⑥鉄塔
右手に八国山の尾根を見ながら住宅地を歩いていきました。途中何か所も八国山に登る道はあったのですがすべて階段でした。所沢市側から二か所だけ八国山に階段なしで入れる場所があるので、まずそのうちの一か所を目指して徐々に標高を上げていきます。もうすぐその場所というところで、鉄塔が見えてきました。裏テーマの「となりのトトロの風景を探して」その2です。となりのトトロでネコバスがさつきちゃんを乗せて疾走する場面がありますが、途中送電線の上を走っています。その送電線の鉄塔の形に似ているといわれる鉄塔を眺めて、ネコバスが走ったかもという送電線を三人で見上げました。それなりに根拠だってあるんですよ。だってお母さんが入院していた病院がある「七国山」はこれから行く「八国山」がモデルになったといわれているんですから。
(5)八国山散策
八国山緑地に入ります。ここからはずっと未舗装路が続きます。階段なしで八国山に入れる場所から散策路に入っていきます。多くの方が散歩を楽しんでいるので、挨拶しながらお互いに道を譲り合って散策をつづけました。

▲⑦左上:階段なしで八国山の散策路に入れます。右下・左:八国山の散策路
しばらく進むと将軍塚に到着しました。ここで八国山について説明します。八国山って名前は、ここから八ヶ国の最高峰が見渡せたことがその由来になっています。そして、ここは新田義貞が鎌倉幕府軍と戦った時に陣を張った場所といわれています。今日二か所目の新田義貞スポットです。せっかくなんで将軍塚の碑を斎藤さんにも近くで見ていただきました。

▲⑧将軍塚
将軍塚を後にして、戻る形で西に向かって八国山の尾根道を進んでいきます。途中「おおぞら広場」にてとなりのトトロにでてくる七国山病院を彷彿とさせる風景を眺めました(モデルになったといわれる病院は本当は隣の病院なのですが、途中急坂で危険なので隣の病院で想像力を働かせました)。本日の裏テーマ「となりのトトロの風景を探して」はこれにて終了です。なおとなりのトトロのモデルになったといわれている場所についてはすべて公式に認められたものではございませんが、映画に想いを馳せながらの散策はより楽しさを増すものだと考えます。斎藤さんも喜んでいただけたようです。

▲左上:⑨おおぞら広場 その他:八国山の尾根道にて
散策を続けましょう。この尾根道は埼玉県と東京都の都県境になってます。進行方向右手(埼玉県側)は松が丘の住宅地が間近にみえる場所もあります。進行方向左手(東京都側)は自然公園が広がっています。行政のスタンスの違いがみえる場所なのですが、近隣住民の憩いの場をこの先守ろうとしていることは共通しています。この貴重な自然をずっと残していきたいとの思いを語り合いながら散策しました。
陽が西に傾き夕日が空を染めるころ、八国山緑地の西の端に到着しました。所沢市側のもう一か所の階段なしで八国山に入れる場所になります。

▲⑩八国山緑地の西の端
ここからは西武線の西武園駅は間近で、そこから電車やバスに乗ることが可能です。
これにて鳩峯と八国山の二つの丘をめぐり、歴史を学び、となりのトトロの風景を探し、自然と触れ合った今回の散策を終了とさせていただきます。
じん:斎藤さん今日散策してみての感想を伺ってもよろしいですか?
斎藤さん: 前回の企画「トトロの森はみんなのもの!」第1弾がご好評だったと伺い、私自身もとてもうれしく思っています。
今回は、トトロの森1号地に引き続き、トトロの森2号地も含めて、八国山に登ってきました!
年が明けて1月。
厳しい寒波を覚悟し、震えながらの散策を想定していましたが…
あれ? 意外と暖かい!!
厚手のコートは不要で、穏やかな冬の日差しに恵まれた一日となりました。
八国山については、これまで議会事務局を通じて清掃活動のお知らせが届いており、以前からとても関心を持っていました。ただ、車椅子を利用している私にとって、山の中を一人で行動することは簡単ではなく、清掃のお役に立つどころか、かえってご迷惑をおかけしてしまうのではないかと思い、これまで参加を見送っていました。
そんな中、今回お声がけをいただきました。
「直接清掃はできなくても、広報という形で多くの方に八国山を知っていただくきっかけになれば」
そんな前向きな気持ちで、参加を決めました!
当日は、八国山へ向かうまでに松が丘住宅地の中を通り、じんさん、陽菜さんに車椅子を押していただきながら登りました。途中には、「これは登れるのだろうか……!?」とドキッとするほどの急勾配もありましたが、お二人の力強いサポートのおかげで、普段はなかなか見ることのできない景色に出会うことができました。
実際に八国山の中に入ると、日差しがよく入り、15時を過ぎてもぽかぽかと暖かさを感じます。
木漏れ日が差し込む中、足元には落ち葉や木の根が広がり、舗装道路とはまったく違う感覚。
自然と向き合い、身体全体で季節を感じる、とても心地よく、贅沢な時間でした。
散策中は、「となりのトトロ」の話や、新田義貞公、所沢七福神めぐりなど、さまざまな歴史のエピソードも伺い、学びと楽しさがぎゅっと詰まったひとときとなりました。
また、バス利用時のバリアフリーや多目的トイレの話など、車椅子で生活する中で感じる不便さを実際に共有することで、バリアフリーについても一緒に考えていただけたのではないかと感じています。
八国山では、ベビーカーを押して散策されている方ともすれ違い、さまざまな方がこの場所を楽しんでいる様子に、思わず笑顔になりました。
いわゆる「健常者」と「車椅子ユーザー」。
それぞれの視点の違いも含めて、八国山の魅力を感じ、楽しんでいただけたらうれしいです。
たくさんのサポートを受けて、無事に八国山の散策ができました!
じんさん、陽菜さん、本当にありがとうございました!!
また次回がありましたら、ぜひ参加させてください。
どうぞよろしくお願いいたします!!
じん:斎藤さんありがとうございました。楽しんでいただけたようでよかったです。僕らも実際に体験することでバリアフリーについて考えが深まった気がいたします。
陽菜さんアシスタントお疲れ様でした。同じく感想伺ってもよろしいですか?
陽菜さん: 前回に引き続きアシスタントをさせていただきました。
車椅子を押すことに前回よりも慣れてきたことで、よりスムーズな取材になったと思います。
今回のチャレンジで印象的だったのは、八国山の尾根道でベビーカーを押す家族連れとすれ違ったことです。
「トトロの森はみんなのもの!」このタイトルにあるように、森は車椅子だけではなくベビーカーなども含めたみんなのものであるのだと感じました。
所沢のこの森林を色々な市民の方に楽しんで欲しいと思います。
貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
じん:お二人ともベビーカーがとても印象的だったみたいですね。車椅子だけでなく、よりたくさんの方にこの自然を楽しんでいただけたらと想いを新たにしました。
本日は本当にありがとうございました。

▲下3枚撮影:平本陽菜さん
記事中で巡っただいたいの場所を以下に示します。

僕ら3人の再びのチャレンジはお楽しみいただけましたでしょうか。今回もたくさんの学びや気づきがありました。それを一人でも多くの方に伝えていく、僕らのちいさな旅はまだまだ終わりを迎えることはなさそうです。
トトロの森はみんなのもの
心と身体のバリアフリーにつながりますように
協力:斎藤由紀さん(所沢市議会議員)
平本陽菜さん(大正大学地域創生学部地域創生学科在学中)