渋沢栄一が訪れていたことがわかった!所沢市にある国の登録有形文化財「秋田家住宅」特別公開に行ってきました。
2022年7月30日土曜日、所沢市にある国の登録有形文化財、「秋田家住宅」の特別公開が開催されました。
定時になって土間に集合すると、ちょうど柱時計の音が家の中に鳴り響きました。参加者からは「懐かしい」という声も聞こえました。
今回の特別公開では1時間ごとに時間が区切られた入換制。伝統技法研究会の十川さんから詳しい解説も聞くことができました。
▲柱時計の隣に印半纏がありました。秋田家の屋号は「井筒屋」。「井」の中に「イ」が入ったデザインです
秋田家は綿糸商として、所沢の織物産業の発展を支えた歴史があります。
建物は道路に面した店舗兼主屋、その奥西寄りにある土蔵、さらに奥の離れからなります。
建てられた年代については、土蔵には明治15年の墨書がありますが他については不明です。
まずは内蔵を見学。
▲黒漆喰磨き仕上げの観音扉の土戸
内蔵は所沢の商家では珍しく、店としてはとても便利な造りですが、早い時期に部屋として改造されています。
今回は秋田家住宅や周辺の昔の写真や模型の展示がされていました。
日の丸が掲げられ、賑わいのある商家だった頃の写真など見学しました。
元々は平家建てだったものが増築して二階建てになり、離れも建てられています。
急な階段を登って2階の座敷に移動しました。
▲とても凝った造りなのですが、これはなんとも可愛らしいお座敷
建具の格子の幅が普通のものより狭く作られていたり、欄間の細工なども細かく、組み合わせのバランスが絶妙で…、本当にもう…とにかく可愛らしいのです。
2017年の特別公開の時と比べると廊下の部分が変わっているようです。
▲(※2017年6月公開の記事より)
▲リズミカルな違い棚
こちらは大工さんの発想ではなくて大工さんがお手本にするような雛形があり、部屋の雰囲気に合わせて選ばれたもの。二見棚(ふたみだな)という様式です。
▲古い写真では鉄の格子が確認できますが、戦時中供出されて、今はもうありません
▲(※2017年6月公開の記事の写真と比べると、ガラスも一部交換されているようです。)
▲絵入り砂摺りガラス
ガラスは当時とても高価だったものです。
この可愛らしいお座敷がどういう使われ方をしていたのかは今となってはもう分かりません。
対照的なのが離れの奥座敷。格式の高い書院造りで、伏見宮貞愛親王がお泊まりになられたこともあるそうです。
▲夏の簾戸が入った書院
▲次の間
近年、渋沢栄一がこの秋田家に訪れていたことが分かりました。
渋沢栄一は、所沢では秋田家と所沢飛行場に足を運んでいます。
来訪時の様子は、随行した社員の田中省三により「渋沢男爵 尾高社長 一行飯能遊覧随行記」として記されており(『渋沢栄一伝記資料』第57巻 国立国会図書館所蔵)、所沢市立所沢図書館にて、「国立国会図書館デジタルコレクション」から閲覧することができます。
▲門には「丸に違い鷹の羽紋」
もう一度土間に戻ると、また柱時計が時を告げました。
あっという間の1時間でした。
2022年7月30日取材カケミヅ
イベント詳細
国登録有形文化財「秋田家住宅」特別公開
開催日:7月30日土曜日
場所:所沢市寿町29番7号
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●所沢の秋田家住宅が有形文化財に登録!
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