「映画ってなんだろう?」みんなで考えた3日間


「こども映画教室@所沢こどもルネサンス2019『トコトコタウンⅪ』」が開催されました

8月2日は生涯学習推進センターでガイダンスを受け、素材探しや撮影の仕方を学びました。
8月3~4日は所沢市役所を拠点に、所沢市役所と航空公園を舞台にして撮影し、最後に上映会を行いました。
初対面の小学生のグループ作業。3日間で映画を作るという企画です。
12名の募集に66名の応募があり、抽選の結果、1年生1名、2年生2名、3年生2名、4年生3名、5 年生2名、6年生2名が参加しました。

取材 2019年8月4日 カケミズ

 


▲「こども映画教室」看板

「所沢こどもルネサンス」とは

「所沢こどもルネサンス」は、『所沢のこどもたちに、ゆたかな文化のたねを届けたい…そのたねが芽を出し、枝をのばし、やがて大きな木となって、たわわな実を結ぶよう、こどもたちと一緒にそだてていきたい!』という志のもと市民ボランティアによる実行委員会主催で開催しています。
「あかさたな」という愛称とともに、ワークショップ、コンクール、音楽祭などさまざまな活動により多くの子どもたちが参加・交流する場となっています。
イベントの一つに「トコトコタウン」があります。これは小学生の子どもたちが自主的に作り運営する仮想の〝まち〟で、いろいろな体験を通して〝まちの仕組み〟を学んでいます。
今回の体験講座は「所沢こどもルネサンス」30周年の「トコトコタウン特別企画」!実行委員の杉本さんが長年やってみたいと思っていたこども映画教室です。

「こども映画教室」とは

2004年に金沢で始まった「こども映画教室」(金沢コミュニティシネマ等主催)では、毎年映画の仕組みをわかりやすく体験するワークショップや様々な名画の鑑賞などを通し、次世代の文化を担う想像力豊かなこども達の育成をはかってきました。
主催者の土肥悦子さんは、映画監督を育てたいとか、映画人を育てるといった目的からではなく、実際にやって見たら想像以上に面白かったことからこの映画教室を続けているそうです。
モットーは2つ。
1、「大人が手出し口出しをしないこと」。こどもたちの自主性を尊重することを大切にし、大人があれこれと指図したり、映画のつくり方を教えたりはしません。そもそも映画のつくり方に正解などないからです。 2、「真剣で本気の大人との出会い」。子どもだからこの程度でいいだろう、という手加減はせずに、映画に携わるプロが本気の姿勢で臨んでいます。
土肥さんは、「こども映画教室」のベテランスタッフでもある奥定正掌さんに今回の特別講師を依頼しました。奥定さんの映画教室は絶対面白くなると確信していたのです。
今回のテーマは「映画になる場所を見つけよう」。初めて出会った仲間と一緒に見つけた場所で一体どんな映画が生まれるのでしょうか。

映画作りはじまりはじまり


▲映画って何だろう?とみんなで考えるところから始まりました

「教室」と聞くと机に座って授業を受ける印象がありますが、机から離れ、みんなで床に座ることから始まりました。
大人のスタッフ全員の呼び方を一緒に覚えようとしただけで、あっという間に一体感が生まれていきました。
「映画って何だと思う?」という質問におのおの思いつく答えを発言していきました。
大人は答えを教えてくれません。3日間、作りながら「映画ってなんだろう?」を考えることになりました。


▲カメラとマイクの使い方を習いました

大切なのはカメラの使い方。レンズを向けると何でも映ってしまうけれど、映りたくない人もいます。勝手に映してはいけません。
カメラの受け渡しも大切。次の人がちゃんと持ったことを確認してから手を離すこと。それだけ覚えたら、2つのグループに分かれて外に出ました。


▲実際にカメラやマイクを一人ずつ使う練習をしました

課題は「みんなが撮影すること みんなが録音すること」でした。
「ねえねえ、何年生?」と話しかけているこどもがいました。そう言えば子ども達は自己紹介をしていません。全くの見ず知らずの子ども達が、本当に、映画を作り始めました。
初めて出会った子ども達が3日間で仕上げることができる秘訣を土肥さんに聞きました。
土肥さんは、どこの子ども達も期間内に映画を仕上げることができた、と話してくださいました。そのポイントは、大人が手出しをしないこと。
子ども達が自己紹介していないことについて尋ねると、名前で呼び合って作業するようになっていれば大丈夫なんだそうです。
過去には、自分の得意分野を披露したがった子達もいたそうです。ところが、作業を進めていくうちに自分の素晴らしさを見せたい思いより、いい作品を作りたい気持ちが強まっていき、本人が「必要ない」と判断して得意技を引っ込めたのだとか…。
また、どうしても撮りたいものがあって、工夫して仲間達を説得して、望みの作品を作り上げた子どももいたそうです。
所沢の子ども達は一体どんな映画を作り上げるのでしょうか。

いよいよ上映会


▲子ども達が作った映画のポスター


▲上映会の様子

子ども達は上映会直前まで編集作業をしていたので、本編が大画面で映し出されるのはこの上映会が初めてのことでした。
青チームが作ったのは「まよいびと まちびと さがしびと」。その「画面の強さ」に大人のスタッフの質問は絶えることがありませんでした。
赤チームが作ったのは「人間界で まよった ようせい」。すぐストーリーを思いつく子達がいて、出会った場面に合わせながら展開を作り変えていったそうです。赤チームリーダー奥定さんいわく「不思議な作り方で作った不思議な映画」。
「こども映画教室」のスタッフも観客も、予想外の映画の出来に息を飲んだりため息をついたりしました。
上映会の後は舞台挨拶。その後、質疑応答もありました。
大勢の大人の前では緊張して言葉に詰まった子もいました。するとすぐ周りから助け舟が出されます。2日前に出会ったばかりなのに、強い絆が生まれている様子が伺えました。
撮影した子ども達の感想は「カメラの角度を固定するのが難しかった」とか、「会議室の撮影が難しかった」というものでしたが、観客が知りたいのは「どうしてカメラを固定するのが難しい角度で撮影したのか」「どうして会議室の中で複雑なシチュエーションが重なることに なったのか」。
「どうして?どうして?」と興奮して聞き続ける大人に、子ども達は冷静に答えていました。日常生活でよく見られるのとは真逆の状況でした。
出来上がった作品こそ、子ども達が「映画ってなんだろう?」ということを考えながら作った結果なのに、それは「おしまい」ではなくて何かへの「つづく」のようでした。


▲最後にみんなで記念撮影

今後も「所沢こどもルネサンス」、そして「こども映画教室」は、さまざまな企画を予定しています。参加してみてはいかがでしょうか?

問い合わせ:教育委員会社会教育課「所沢こどもルネサンス」担当(04ー2998ー924 2)

主催 :第30回所沢こどもルネサンス実行委員会 http://tokorozawakodomorune.jp ルネサンスHP
後援 :所沢市・所沢市教育委員会
企画 :一般社団法人こども映画教室 http://www.kodomoeiga.com


この記事を書いた人

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カケミヅ Kakemidu

高知で生まれ育って2018年に埼玉に引っ越してきました。所沢なびライターとしてふるさとの文化についてご紹介できるようになれればと思っています。趣味はiPadでイラストを描くことです。

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