.makeところざわ クロージングセッション「藻谷浩介氏講演会」


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藻谷浩介氏が所沢に警告したこと

「ドットメイクところざわ2017」の最終日5月13日(土)午後1時~2時半、目玉イベントのひとつ、エコノミストの藻谷浩介氏の講演会が開催されました。その内容をリポートします!


講演では、さすが話題のエコノミスト、冒頭からいきなり「データに騙されないデータの見方」を説明。一般的に流布されている誤った知識や偏ったものの見方でデータを読むと問題点を見失うことがあると指摘しました。その上で2010年~2015年の5年間の所沢市を含む関東各都市や群馬県上野村などの人口の推移データを紹介し、「よく世間では人口流出が問題だというけれど、それはデータに騙されている!」と一喝。

 

所沢市の人口推移は2010年~2015年で子ども世代(0~14歳)7%減少、働き世代(15~64歳)7%減少、シニア世代(65歳以上)23%増加

 

聴講者は圧倒的に男性が多く「女性も一緒にまちづくりに興味をもってほしい」と藻谷氏

 

問題なのは、子どもの人口の減少だけではなく、「子ども世代」、「働き世代」、「シニア世代」の人口分布に大きく隔たりがあること。データの数字だけをみて、子どもや働き世代を増やそうと、「若い人が子育てをするのに適したマンションを増やすだけのまちづくりほど不適なものはない」と話しました。

 

今後、所沢のまちを活性化させるために重要なポイントとなるのは、〝人口推移を40年スパンで計画し読み解くこと〟なのだそうです。「日本全体の人口が減っている実態に合わせて、田舎の良い所だけを再導入して、まちをコンパクトにしていけば、賑わいは増すはず」と説明しました。「田舎の良い所」というのは、地域コミュニティの絆を強めることです。「子ども世代」が、40年後に「働き世代」になっても「所沢に住みたい」と思うような魅力ある〝まち〟になっていれば、人口流出が減り、新たな転入も増えるだろうし、また、今の「働き世代」が40年後「シニア世代」になったとき、居場所があり、まち歩きができる環境であれば、健康に老年期を過ごせ、医療費を減らすことができるという考えです。

これからの所沢のまちづくりに必要なのは、東京に行かなくても十分楽しめる「まちの賑わい」に加えて、「地域コミュティが集まれる場所づくり」や子どもからシニアまで「楽しく出歩けるまちづくり」の工夫が求められていると納得させられる講演会でした。

 

 

【講演者プロフィール】
藻谷 浩介(もたに こうすけ)
日本総合研究所調査部主席研究員、日本政策投資銀行地域企画部特別顧問(非常勤)、地域エコノミスト。2010年に著した「デフレの正体」は50万部、2013年の共著「里山資本主義」は40万部のベストセラーとなった。他に「実測!ニッポンの地域力」「中心市街地活性化のポイント」など。近著に「観光立国の正体」「日本の大問題 (養老孟司先生との対談本)」がある。

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成田 知栄子 Chieko Narita

ラジオ、テレビでの取材活動を経てフリーになり、ライターに転職。情報は「人と人とを繋げ、生活をより豊かにする」をポリシーに活動しています。記事情報が、誰かの何かにお役に立ちますように…。

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