国の重要文化財「小野家住宅」茅葺屋根の仕上げはきれい!
ボランティアライターの“ぶん”です。
昨年2017年12月に所沢市林2丁目にある国指定重要文化財「小野家住宅」の茅葺(かやぶ)き屋根葺き替え工事の見学会を紹介いたしました。
2017年12月「小野家住宅」の記事は→こちら
それから3ヶ月が経ち、3月3日茅葺屋根の仕上げの刈り込み作業のようすを見学することができました。当日はNHKも取材に来ており、6時45分からの首都圏ニュースで紹介されました。
まず「小野家住宅について」ふれてみますと、今から約300年ごろ前の江戸中期に建てられた当時の開拓農家の面影をのこしていることから、昭和50年(1975)に国の重要文化財に指定されました。
この辺り(所沢市林)は、江戸時代の17世紀後半から18世紀にかけて農地として開拓が進んだ地域ですが、かって村内は、うっそうとした“林”が広がっていたため、「林村」と呼ばれていました。
【昨年12月の様子と3月3日の様子】
茅葺屋根の工事は昨年9月から始まり、建物周囲に作業用の足場を架け、茅葺屋根のてっぺんから順番に茅を解体し、屋根の下地を表し、次に下地の竹や藁縄(わらなわ)が劣化している箇所は取り替え、縄が緩んでいるところは締め直す作業をしていました。
今回の説明では、茅の下地となる小舞(こまい)、屋中(やなか)、垂木(たるき)などの竹材に害虫を受けていることが分かり、おおよそ3分の2を新しい竹に取り替えたそうです。竹材に付く害虫は「タケトラカミキリ」といい、昔は囲炉裏を使っていたので、煙で防虫効果の役目を果たしていたんでしょうね。
【昨年12月の様子】
まだ竹で覆われたところでした。
【3月3日の様子】
今回は茅で覆われていた。
【大ハサミで切ったあとはきれい!】
今回の見どころは、茅葺屋根の仕上げ作業です。
私たち見学者は10時から説明を受けながら、茅を大ハサミで切り込み作業を間近に見ることができ感激です。
職人さん二人が横に並び、足場を利用して、屋根のてっぺんから大ハサミで茅を刈っていくと、次第に整った茅葺屋根が出来上がってきています。
現場の方の話では、最近では動力のチェーンソーにより刈り作業が行われるそうだ。
しかし、国の重要文化財はハサミで刈っていく。ハサミは切り口にバリがないため、雨水の流れがよく茅を腐らない原因にもなる。
大ハサミで茅を刈っているところ
職人さんが使った道具
【くれぐしって何?】
現場の方が「くれぐし」の説明をしてくれました。
「茅葺屋根の頂上に土を盛って納めた棟のことで、屋根のてっぺんに杉皮3枚重ねた上に芝土を盛って、雨漏り防止や装飾のため、アヤメ科のイチハツ100株植え、これは当地特有のことです。」と!
ふき替え工事は3月いっぱい行われます。4月からは毎週日曜日に一般公開されることになっていますので、是非300年前の農家の住宅を見学してみて下さい。5月になれば、屋根のてっぺんのイチハツも咲いているかもしれませんね。
横の木は茅を切るための足場です。完成のときは外されています。
参考文献:所沢市史 見学会資料
重要文化財「小野家住宅」
埼玉県所沢市林2-426-1
西武池袋線「狭山ヶ丘駅」より徒歩約35分
ところバス西路線(新所沢・三ヶ島コース)バス停「林」下車 徒歩約10分
※駐車場はありません。お車でのご来場はご遠慮ください。