約300年前の「小野家住宅」は国の重要文化財だった!
ボランティアライターの“ぶん”です。
「小野家住宅」の建築年代は18世紀初め、今から約300年前の江戸中期に建てられた当時の武蔵野の開拓農家の面影をのこしていることから、昭和50年(1975)に国の重要文化財に指定されました。さらに平成15年、そして昨年(2017年)9月~今年(2018年)3月まで茅葺屋根の解体保存修理工事が行われました。
小野家住宅の建つ所沢市林は、江戸時代の17世紀後半から18世紀にかけて農地として開拓が進んだ地域ですが、かって村内は、うっそうとした“林”が広がっていたため、「林村」とよばれていました。
【間取り】
内部に入って正面に土間があり、土間の左側には「ざしき」と呼ばれる板敷の広間があり、1メートル角の囲炉裏があります。昔はここを囲んで家族が食事をしたり、今のようにテレビやスマホがなかった時代、家族が集まって寝るまで楽しく過ごした絆の場だったのでしょうね。
「ざしき」板敷の奥に畳敷き8畳間があり、境は板で造られた4枚の板戸で開閉されています。
奥の板敷の4畳間は西、北側とも開口部がなく、収納又はお産部屋として使用していた。当時の曲型的な民家の間取りだったようです。
【土間】
薪など火を入れて燃やすところは90㎝の正方形で、深さは35cmほどある。かまどは幅は60cmほどで角形。かまどの後ろは壁で仕切られ、農機具を収納するところして利用されているが、以前は味噌など貯蔵所としていたらしい。
【構造】
小野家住宅は茅葺屋根のやや小型の入母屋造(いりもやづくり)です。
特徴として、軒がとても低く、間口部が少なく土壁が多いこと、自然の曲がった雑木を柱や梁(はり)に使っていること。持主の小野様のお話では、柱は「栗の木」、梁(はり)は「松の木」を使ってあるそうです。柱と梁を組み合わせてあるところには、釘を使わず三角形のくさびを打ち込んであります。
柱は自然の曲がった栗の木が使われています。梁、柱と曲がった自然の雑木が使われてあり、大工さんも組み合わせるのに大変だったことでしょうね。
【風呂】
風呂は湯ぶねはありません。土間の入り口左側に板を敷いたところがあります。土間のかまどでお湯を沸かし体の汚れを流していたようです。板の下は吸い込み穴があり、お湯が流れるようになっています。冬は寒かったでしょうね。
【くれぐしって何?】
茅葺屋根の頂上に土を盛って納めた棟のことで、屋根のてっぺんに杉皮3枚重ねた上に芝土を盛って、雨漏り防止や装飾のためです。今年(2018年)3月屋根葺き替え工事の見学会に行ったとき、担当の方の説明では「アヤマ科のイチハツ100株植え、これは当地特有のことです。5月になれば、屋根のてっぺんのイチハツも咲いているかもしれませんね。」とのことでしたので、先月行きましたが咲いていませんでした。持主の小野様も咲いていないと言っていました。
裏から見た小野家住宅
「小野家住宅」の茅葺屋根の工事が2017年9月から始まり、同年(2017年)12月と2018年3月に屋根葺き替え工事の見学会に行きました。
◆:2017年12月の屋根葺き替え工事の見学会のようす。
https://tokorozawanavi.com/news-bun20171219/
◆:2018年3月の屋根葺き替え工事の見学会のようす。
https://tokorozawanavi.com/news-bun20180305/
毎週日曜日に一般公開されることになっていますので、是非300年前の小野家住宅を見学してみて下さい。
参考文献:所沢市史・ 見学会資料
小野家住宅
埼玉県所沢市林2-426-1
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西武池袋線「狭山ヶ丘駅」より徒歩約35分
ところバス西路線(新所沢・三ヶ島コース)バス停「林」下車 徒歩約10分
※駐車場はありません。お車でのご来場はご遠慮ください。