【リポート】所沢のNBAバレエ団「眠れる森の美女」（ダイジェスト版）

所沢ニュース 2020/12/17

▲所沢のNBAバレエ団による「眠りの森の美女」（ダイジェスト版）の様子
2020年11月28日、所沢まちづくりセンター（中央公民館）でNBAバレエ団による「眠れる森の美女」（ダイジェスト版）が上演されました。

NBAバレエ団とは、所沢にスタジオを構えて25年！　歴史ある、国内有数のバレエ団なんです。
そんなバレエ団が所沢市にあるなんて、読者の皆様はご存知でしょうか？
（実は、埼玉ディスりで有名なあの映画、にも登場していたんですよ……！）

2021年2月には、東京文化会館［大ホール］で「新作シンデレラ」の公演を控えているNBAバレエ団。
この記事では、バレエを観たことがない方にも「バレエってどんなもの？」が分かる「予習」にもなるように「眠れる森の美女」（ダイジェスト版）のリポートをお送りします！
（※点線枠内は配役、イラストはイメージです。）

2020年11月26日カケミヅ

3時間の演目をギュギュっといいとこ取り、70分に！

私の周りの席には「コロナなんかに芸術をつぶされたくないからとにかく来てみた！」というバレエを観るのが初めてという方もいれば、NBAバレエ団を観るために、「道に迷いながらやっとたどり着いた。」という遠方からのファンの方も、さまざまいらっしゃいました。

そう、コロナ禍において打撃を受けた舞台業界、バレエも例外ではありません。大勢での一糸乱れぬ群舞や、密接が避けられない少人数の踊りなど、舞台どころかお稽古さえもすることができませんでした。

自粛期間中には、団員の方々がマスク姿で中止になった演目を近隣湖で踊る姿もYouTubeにアップしていました………！

▲特におすすめなのはこちら…『所沢の湖』？！NBAバレエ団公式Youtubeチャンネルより

軒並み中止を余儀なくされた公演は、8月からやっと上演されるようになりました。
そして今回の舞台は、市民にとって身近な場所であるまちづくりセンターで、なんと2,000円という破格で行われたのです。

▲この値段、目を疑いますよね。

まずは、芸術監督である久保綋一さんのご挨拶から始まりました。

▲まちづくりセンターホールにて、開演前の挨拶をするNBAバレエ団芸術監督久保綋一さん

「皆さん、バレエをご覧になったことはありますか？…NBAバレエ団のことをご存知でしたか？？」
シャルル・ペロー原作の「眠れる森の美女」。
バレエではとても美しい音楽と楽しい踊りの数々が繰り広げられます。
「全幕上演すると休憩も入れて3時間近くかかりますが、今回はギュギュっといいとこ取り。休憩無しの70分！どうぞお楽しみください。」

チャイコフスキーの美しい音楽が流れ始め、黒い幕が開くと、所沢の地にロマンチックな世界が広がっていきました。

デジレ王子　　　宮内　浩之
オーロラ姫　　　峰岸　千晶
リラの精　　　　田山　修子
カラボス　　　　古道　貴大
王様　　　　　　鈴木　正彦
王妃　　　　　　宋　　遼香
カタラビュット　佐藤　史哉

プロローグ

ある王国で、長年子供のいなかった国王夫妻に姫君が誕生しました。
今日はその姫オーロラの洗礼式。
祝いの場には妖精たちが招かれていて、それぞれお姫様に望ましい資質や人柄をプレゼントをするために踊りました。

優しさの精　　　猪嶋　沙織
元気の精　　　　野久保　奈央
鷹揚の精　　　　坂本　絵利奈
やんちゃの精　　須谷　まきこ
勇気の精　　　　岩田　雅女
リラのお付き　　白井　希和子　　中村　ひなの　　福田　真帆　　松本　加奈

その時、洗礼式に招かれていなかった「悪の精カラボス」が現れます。
式典長・カタラビュットは招待客名簿を慌ただしく確認していました。悪の精カラボスを洗礼式に招待するのを忘れていたのに気がついたのです。

ところで大人になると、親戚のあの方とかお得意先のあの方とか、『面倒な方』っていますよね。それがこの物語の中では「悪の精カラボス」です。

式典長・カタラビュットは今までも散々嫌な目にあわされていたのに、今回は招待し忘れていることに気づき、困り果て、絶望します。（子供の頃は気にも留めなかったこのシーン。社会に出てからは涙なしには見られません。分かる分かる！その恐ろしさ。）

カラボスの怒りは治りません。（…演出によっては怒りのあまりカタラビュットの髪の毛をむしり取ってしまうこともあります。…髪の毛をですよ！！何と恐ろしいことを…。）

ついには「姫は16歳の誕生日に糸紡ぎ車の針に刺されて死ぬ」と呪いをかけます。
人々がうろたえる姿に、カラボスがいやらしく大喜びしている中…美しい曲と共に現れるのが、まだ贈り物をしていなかった「善の精リラ」。

「姫は死ぬのではなく、100年間眠るだけですよ。」
全編に渡り、優しい音楽と共に現れ、「大丈夫。大丈夫。」とでも言うように優しく踊るリラの精が、私は大好きです。

▲言葉を表す動きである「マイム」。カラボスのこの動きは「死」を表し、リラの精のマイムは「眠る」を意味しています。

Act1（1幕）

４人の王子　　　刑部　聖矢　　玉村　総一郎　　長谷　怜旺　　三船　元維
オーロラの友人　白井　希和子　中村　ひなの　　福田　真帆　　松本　加奈
ガーランド　　　猪嶋　沙織　　岩田　雅女　　　阪本　絵利奈　須谷　まきこ　　野久保　奈央

美しく成長したオーロラ姫の16歳の誕生祝い。花婿候補である各国の王子が薔薇の花を捧げて踊ります。

▲「ローズアダジオ」と呼ばれるシーン。姫はどの殿方もお気に召さない様子。

この後の片足でのバランス。優雅でした☺️
そこに老婆の姿をしたカラボスがやってきて、オーロラ姫に花束を渡します。16年も抱き続けた恨みを晴らすために…。

花束の中に隠されていた糸紡ぎ車の針に刺され、オーロラ姫は100年の眠りについてしまいました（泣）。

Act２（2幕）

妖精たち　　　猪嶋　沙織　　岩田　雅女　　阪本　絵利奈　　白井　希和子　　野久保　奈央　　福田　真帆

100年の時が過ぎました。登場したのは「自分には何か足りない」と憂鬱な気分のデジレ王子。

リラの精は王子に足りないのは「愛する人」と気づき、王子に100年眠っているオーロラ姫の幻影を見せます。幻影と踊る王子…。王子とリラの精は森の奥の城の中へ。

そして、王子のキスでオーロラ姫は目覚めます。（悪の呪いを解くのは愛なんですね…。）

Act3（3幕）

デジレ王子とオーロラ姫の結婚式！

お祝いに駆けつけた童話の主人公達がそれぞれ踊ります。今回のダイジェスト版では「フロリナ王女と青い鳥」と、「赤ずきんと狼」の踊りでした。

お客様の踊りをたっぷり楽しんだ後は、デジレ王子とオーロラ姫による超絶技巧のパ・ド・ドゥ（二人の踊り）。

▲この技はフィッシュダイブとかリプカと呼ばれるもの。

フロリナ王女と青い鳥　　須谷　まきこ　　　高橋　真之
赤ずきんと狼　　　　　　松本　加奈　　　　安中　勝勇
マズルカ　　　　　　　　猪嶋　沙織　　　　岩田　雅女　　阪本　絵利奈　　　中村　ひなの　　野久保　奈央　　　福田　真帆

舞台とのあまりの近さ、新型コロナウィルス感染予防のための観客の少なさに、トウシューズの音だけではなく、空中に飛び上がって足を打ちつけた時の音、お姫様の衣装である「チュチュ」が王子様に当たる音まで聞こえるような状況でした。

チャイコフスキー三大バレエは美しい曲と、バラエティに富んだ踊りを楽しむことができます。

※チャイコフスキー3大バレエとは？
チャイコフスキー作曲で、ロシア帝室バレエ団のバレエ・マスターだったマリウス・プティパの振付による、「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」を指す。（Chacott・バレエ・舞台用語講座より）

今すぐみてみたい！という方。NBAバレエ団はYouTubeで「くるみ割り人形」を公開していますよ👇😊