声優・茶風林さん率いる【酒林堂】が琵琶とともに演じた朗読劇「耳なし芳一」〜『浮世絵劇場 from Paris』で映像と朗読のコラボレーション開催!ニコニコ生放送でも配信〜


角川武蔵野ミュージアムにて、埼玉県出身の声優・茶風林(ちゃふうりん)さん率いる「酒林堂」とコラボレーションした朗読劇『酒林堂 in 浮世絵劇場〈耳なし芳一〉』が1月16日(日)に開催されました。当日の様子を、平家の落人伝説が残る地の一つ、高知県出身の所沢なびライターがご紹介します。
このイベントはドワンゴが運営する日本最大級のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」で独占生中継され、またアーカイブ版でも残されています

2022年1月16日 カケミヅ

映像と朗読のコラボレーション『酒林堂 in 浮世絵劇場〈耳なし芳一〉』

現在、角川武蔵野ミュージアムのオープン1周年を記念して、同ミュージアムで企画展『浮世絵劇場 from Paris』が開催されています。

同企画展の「SPIRIT of JAPAN」は、フランス・パリを拠点とするアーティスト集団「ダニーローズ・スタジオ」が浮世絵をモチーフにしたプロジェクションマッピングで、1,100㎡を超える大空間に12幕の異なる映像シーンが音楽とともに映し出されます。扇が時を刻み、提灯が宙を舞い、桜の花びらが風に揺れ、荒波がリズムにあわせて頭上を駆け巡り、浮世絵を全身で浴びる没入感のある360度体験型コンテンツ

その会場を使用し、声優が朗読劇を行うというある種の異色のコラボレーションとなる今回の『酒林堂 in 浮世絵劇場〈耳なし芳一〉』。この素晴らしい映像の中で今回用に新たに書き下ろされて演じられました。

原作はギリシャに生まれながら日本文化に触れ小泉八雲として日本国籍を取得・永住したラフカディオ・ハーンが古典から取り上げた魂の物語。その根底に流れるのはジャポニズム。


▲© Danny Rose Studio © Kadokawa Culture Museum

『酒林堂 in 浮世絵劇場〈耳なし芳一〉』は「SPIRIT of JAPAN」と「魂の物語」のコラボレーション

今回は海外の目線が映し出した日本の姿を、名だたる名優の方々と琵琶奏者が演じる1回だけのスペシャルステージです。

まず武蔵野坐令和神社はで成功祈願


▲舞台前に出演者の方々、スタッフの方々が武蔵野坐令和神社で朗読劇成功のご祈祷をされました


▲茶風林さん

茶風林さんが率いる『酒林堂』とは?
2008年に声優・茶風林さんが主宰し、美味い日本酒を舐めながら実話怪談朗読を楽しむ会。『怪し会(あやかしかい)』として厳かなお寺を会場とし、独特の雰囲気と選りすぐりの日本酒と肴を楽しめる、大人が楽しむ朗読会として始まりました。


▲茶風林さんの絵馬には声を務められている波平さんのイラストが!


▲茶風林さんの願いが届きますように

朗読劇×琵琶の生演奏×プロジェクションマッピング=…?

では、開演です!

持鈴(じれい)を鳴らしながら出演者の方々がゆっくりと歩いて入場、それぞれの席につきました。持鈴は煩悩や邪気を払い、空気を清め心を落ち着かせると言われています。一振り一振り、一音一音で場内の空気が清められていくようでした。


▲© Danny Rose Studio © Kadokawa Culture Museum

生の琵琶演奏で「祇園精舎の鐘の声…」と、「平家物語」が始まりました。突然のコロナ禍に見舞われて生活が変わってしまった今、「諸行無常の響きあり」のフレーズは特に胸に沁み入ります。

続いて主人公である芳一の語りが「鬼神も泣くほどの名人芸」と言われている平家滅亡のシーン「壇ノ浦」。プロジェクションマッピングと融合し、なんとも言えない空間が広がっていきました。

ところで芳一が平家の一門の怨霊に請われて夜な夜な「平家物語」を奏している場所は安徳天皇の墓碑の前。物語の舞台は山口県下関なのですが、宮内庁指定の安徳天皇陵は全国に5箇所あります。

私はふるさと高知県にある安徳天皇陵の場所、横倉山を頭に描いてこの物語を鑑賞しました♪

▲画像提供:高知県 大野文平さん(2021年10月撮影)

今回の「耳なし芳一」は恐ろしい「怪談」と言うよりは、「演奏者、表現者の魂の物語」。ラストシーンは感動がさざなみのように押し寄せてきました。コロナ禍で大変な思いをされたであろう出演者の方々の舞台人としての熱い想いを感じました。

かつては島根県や東京都のお寺で蝋燭の火を照明に演じられていたこの「酒林堂公演〈耳なし芳一〉」は、2年にわたるコロナ禍でお寺での開催が見送られていました。が、やっと春に大きなホールを借り切って松江市にてお客さんを半分にして開催する予定だそうです。

また今回のワンデイのステージはアーカイブ版も残っているので、「家でお酒を飲みながらたっぷりと楽しむことができるのではないか?これは新しい時代の楽しみ方が増えたとも考えられるのでは?」と茶風林さん。今回は残念ながら会場に行くことができなかったと言う方、アーカイブ版でご覧になってみてはいかがでしょうか。

まさに「素敵なマリアージュ」♡


▲左:『浮世絵劇場 from Paris』のプロデューサー 今井 久(いまい ひさし)さん、右:茶風林(ちゃふうりん)さん

茶風林(ちゃふうりん)さんコメント

最初はダニーローズ・スタジオさんの 360 度のビジュアルに圧倒されて、我々の語りで何ができるのかなと思いました。フランスのアーティストの 方々が見た日本の浮世絵と、我々の持っているコンテンツである「耳なし芳一」を通じたラフカディオ・ハーンが見た日本、その辺りがとてもシンクロするのではと思いコラボレーションをスタートしました。実際に今回のコラボレーションをやってみて、壇ノ浦の合戦を始めとした海の描写が非常に多く、その壇ノ浦の合戦と背景の武者絵が非常にマッチしていました。そして他の曲を使うのではなく、琵琶の生演奏がとても融合しており、とてもよい作品に仕上がったのではと感じました。

『浮世絵劇場 from Paris』のプロデューサー 今井 久(いまい ひさし)さんコメント

浮世絵劇場 from Paris』の映像からインスピレーションを得て「耳なし芳一」を選ばれたと伺い、実際にお話の内容を見ると、芳一の魂の話でした。今回の『浮世絵劇場 from Paris』の「SPIRIT of JAPAN」は「日本の魂」、そして今回の朗読劇で声優さんの魂のこもった朗読を聞いて、フランス風に言うと、素敵なマリアージュができていると感じ、とても感動しました。


公演概要

公演名:酒林堂in 浮世絵劇場〈耳なし芳一〉
開催日時:2022年1月16日(日)18時開演
会場:ところざわサクラタウン角川武蔵野ミュージアム 1階グランドギャラリー
出演:茶風林、逢坂良太、田村睦心、中原麻衣、鶴岡聡、大峯香風(琵琶奏者)
スタッフ
企画・演出:茶風林、原作:小泉八雲、脚本:神楽坂淳、演出補:鶴岡聡
、舞台監督:肘岡拓朗、酒林堂プロデューサー:櫻井晋(CPUGO)、音響制作:濱田昌一(SCアライアンス)、イラスト:朱ひゐろ
協力:アイムエンタープライズ、EARLY WING、大沢事務所、リマックス、松江市観光文化課
主催:公益財団法人角川文化振興財団

配信番組概要

番組名:声優・茶風林の主宰する「酒林堂」が浮世絵劇場(角川武蔵野ミュージアム)で『耳なし芳一』を生朗読
開催日時:2022年1月16日(日)18時開演(番組開場17時30分)
番組URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv335023330
アーカイブ視聴期間:2022年4月10日(日) 23:59までの予定。/期間中何度でも視聴可能。その他詳細はニコニコのサイトにてご確認ください。
料金:3,000円(税込)


本イベントページ https://kadcul.com/event/60
酒林堂WEBサイト http://www.syurindou.com
『浮世絵劇場from Paris』企画展サイトhttps://kadcul.com/event/50
『角川武蔵野ミュージアム』公式サイト:https://kadcul.com
『角川武蔵野ミュージアム』公式twitter:https://twitter.com/Kadokawa_Museum
『角川武蔵野ミュージアム』公式Instagram:https://www.instagram.com/kadokawa_culture_museum/
『角川武蔵野ミュージアム』公式Facebook:https://www.facebook.com/kadokawaculturemuseum

おまけ

さてさて壇ノ浦で入水した安徳天皇は、平氏の残党に警護されて地方に落ち延びたという伝説があります。
宮内庁指定の安徳天皇陵は以下の5箇所。

1、山口県下関市「安徳天皇西市御陵墓参考地(王居士御陵)」
2、鳥取県鳥取市「岡益の石堂」
\3、高知県高岡郡「鞠ケ奈呂陵墓」/

▲画像提供:高知県 大野文平さん(2021年10月撮影)

 

4、長崎県対馬 安徳天皇の墓と言われる陵墓
5、熊本県宇土市「花園陵墓参考地」

かつての子どもたちは親世代に「お前のことは本当は橋の下で拾ってきた。」などと言われておどろかされたものでしたが、「平家の落人伝説が残る土地あるある」でしょうか…我々はさらにおじいちゃん世代に「実は我が家は平家の正統なる末裔だ。」などと告白されるというダブルパンチを受けたものです(笑)。


▲結局私は何者??笑


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