武蔵野のいのちを守ろう!灯籠に絶滅危惧種描いて…


所沢の子どもたちが灯籠流し
「自然を守りたい!」共生への祈り…

ところざわサクラタウンの武蔵野坐令和神社前で4月4日(日)、武蔵野の絶滅危惧種の生きものたちを描いた105基の灯籠を水辺に浮かべるワークショップが開催され、所沢の子どもたちが自然と共生できる世の中になるよう願いを込めました。

取材:2021年4月4日 成田知栄子


▲自分たちで描いた絶滅危惧種の生きものたちの灯籠を浮かべて鑑賞し祈りをささげる子どもたち

 

角川武蔵野ミュージアムでは、地元の子どもたちに地域の自然や環境問題に理解を深めてもらおうと、「未知との遭遇Ⅲ」と題した灯籠流しワークショップを4月4日(日)、武蔵野坐令和神社の前で開催しました。

このイベントは、角川武蔵野ミュージアム4階で行われている、アーティストユニット「米谷健+ジュリア」の展覧会「だから私は救われたい」関連のプログラムとして企画されたものです。

 


▲3月12日に和田小学校の子どもたちが作成した灯籠。絶滅危惧種に指定されている武蔵野地域に住む生きものたちを描きました  画像:角川文化振興財団提供

 

この日は、時折雨が降る空模様となりましたが、所沢市立和田小学校6年生(現新中学1年生)75人が集まりました。浮かべた灯籠は、3月12日に学校の課外活動として作ったもので、所沢エリアで絶滅が危惧されている生きものたちの絵が筆と墨を使って描かれています。

 


105基の祈りの灯りが幻想空間に
オーストラリアで開催したイベントを日本でも


▲あいにくの雨天となりましたが、105基の灯籠の灯りが神社前の水辺に漂いました

 

このワークショップは、「米谷健+ジュリア」が2015年にオーストラリアで地元小学生を対象に行なったワークショップ「未知との遭遇」の日本版として企画。オーストラリアでは、子どもたちが絶滅したオーストラリアの動植物を描いて灯籠を制作し展示しました。

今回のところざわサクラタウンでの開催は、豪日交流基金の助成を受けて「未知との遭遇Ⅲ」と題して実施されたものです。

角川武蔵野ミュージアムのアート部門ディレクターで千葉大学教育学部准教授の神野真吾(じんの しんご)さんの研究室の学生6名がボランティアスタッフとしてサポートに入り、学生が制作した30基の灯籠と子どもたちの75基の灯籠の合わせて105基の灯籠が水辺に浮かべられると、ところざわサクラタウンの光景を幻想的に包みました。


▲灯籠にはさまざまな絶滅危惧種に指定されている生きものが描かれています


「身近な生活の中でできることからやっていきたい」
「みんなが共生できる世の中になってほしい」

夕刻に浮かぶ灯籠を眺めた子どもたちからは「きれい」という感嘆や「二酸化炭素を減らせれば絶滅しそうな生きものを守れるかもしれないな」などの声も聞かれました。

 


▲左から ニゴイを描いたKさん、ショウリョウバッタモドキを描いたMさん、アオダイショウを描いたKさん

 


▲オオタカを描いた木村悠人さん「昔は所沢にいたと言われている鳥だけれど、ぼくは見たことがないので、悲しいことだと思います」

 


▲ショウリョウバッタモドキを描いた長南信希さん「ぼくが小学校2年生までは、近所でも見かけた昆虫だけれど、今は見かけなくなった。所沢も次第に動植物が住めなくなっていると感じている。地球全体、宇宙全体、みんなが共生できるような世の中になってほしいな」

 


▲アズマモグラを描いた菅沼碧さん「実際に見たことはないんだけれど、テレビで絶滅危惧種であることを知っていたので、今回描きました。そういった絶滅の危機にある動物たちを助けたい。地球温暖化もその1つの原因だと思うので、電気の無駄遣いをしないなど、今、自分の身近な生活の中でできることからやっていきたいと思いました」

 

角川武蔵野ミュージアムのアート部門ディレクター神野真吾さんは、「時折雨が降る中での開催でしたが、参加した子どもたちはみんな生き生きとした目で灯籠を浮かべていました。サポートに来た教育学部の学生たちも、子どもたちに特別な体験をさせてあげたいという思いで参加し、子どもたちにとって記憶に残る良い体験になった企画だと思います」と話しました。


▲この日は千葉大学教育学部准教授の神野さん(写真左)の研究室の学生さんたちも灯籠流しのサポートボランティアとして活動。105基の灯籠1つ1つに点火作業をするなど、忙しく準備に追われました


人間と微生物の共生がテーマの新作も展示
「未来を担う子どもたちにも感じてほしい」米谷健+ジュリア


▲取材に対応する米谷健さん(左)とジュリアさん(右)

 

灯籠流しのワークショップの企画を提案した米谷健さんとジュリアさんは「わたしたちの作品すべては、環境問題や社会問題を題材にしたものです。なぜ動物たちが絶滅していくのか、これからどうしていけばいいのか、作品を通して考える機会にしていただければと思います。今回のワークショップは、未来を担う子どもたちにも今のこの時代の環境と生きものとの共生を考えてもらえる機会になったと思います」と話しました。

現在、角川武蔵野ミュージアム4階エディット&アートギャラリーで開催されている「米谷健+ジュリア」による展示会「だから私は救われたい」の中に、人間と微生物の共生をモチーフにした新作《Dysbiotica(ミクロ世界の崩壊)》が展示されています。

「《米谷健+ジュリア展》 だから私は救われたい」は2021年05月31日(月)まで開催中です。
詳細は角川武蔵野ミュージアム公式ホームページでご確認を。https://kadcul.com/


角川武蔵野ミュージアムがこれまで開催した地域の小学生を対象のワークショップ記事
https://tokorozawanavi.com/news-narita20201005/

取材:2021年4月4日


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