とにかく明るい子ども食堂をめざして 「子ども食堂テラコヤ北野」


所沢に6つ目となる子ども食堂が2024年6月、所沢の北野地区(小手指)に誕生しました。
 
その名は「子ども食堂テラコヤ北野」。立ち上げたのは、 実在寺小手指別院の住職であり、小学校のPTA会長もつとめる木本達也さん。子どもたちが楽しく食事をとり、自尊心をも高めていく、そんな明るい居場所作りを進めています。
 

「テラコヤ北野」立ち上げのきっかけ

子ども食堂を立ち上げたきっかけは、檀家さんでした。一昨年、築45年のお寺の建物をリフォームした際に、「檀家だけで使うのはもったいない、何か地域の人に役立つことに使えないか」と問われたそうです。もともと地域に根差したコミュニティ活動に関心があったので、ぜひ何かできればと思ったそうです。その後、「子ども食堂」はどうだろうかと話を持ちかけてくれたのも檀家さんでした。
 
そのときのことを木本さんはこう話します。
 
「子ども食堂という名前は知っていたけど、そんな大それたことを自分にできるかなと思っていました。その矢先に、市報で子ども食堂の立ち上げ応援セミナーがあると知り、早速出かけていったんです。
 
そこで、子ども食堂の活動は、単に貧困家庭への食事の支援だけでなく、地域の人と人がつながる温かい居場所を作ることにもあると知り、これだったらできると思いました。
 
実際に運営されている子ども食堂に行ってみたら、ものすごく楽しそうでした。本当に支援が必要な子どもたちに行き渡るには、時間がかかるかもしれませんが、まずはこの場所で、誰もが参加できるコミュニティ型の子ども食堂を立ち上げることにしました」

子ども食堂を支える人たち

子ども食堂の運営は、場所の確保のほかに、人やモノのネットワークと支援が必要です。
 
食材は、ほとんどが寄付で成り立っています。食品会社、小売店、飲食店から寄付された食材を、一般社団法人埼玉県子ども食堂ネットワークがとりまとめ、各こども食堂に分けられるそうです。
 
野菜は、地元の農家さんが子ども食堂の活動に賛同し、採れたての野菜を提供してくれます。「野菜採れたからどうぞ」と言われれば、木本さん自身で自転車で取りに行くことも。食堂内の黒板には、協力してくれた人や団体の名前が書かれていました。
 

 
運営は、木本さんと檀家さんの6名が本部として、メニュー決めから調理、会場設営、受付、盛り付け、配膳など多岐にわたる仕事を分担しています。調理の手伝いや会場設営などボランティアの方がお手伝いを買って出てくれるそうです。
 
また、ブランディングの一環であるテラコヤ北野のチラシやのぼり、ステッカーなどは広告代理店に勤めるデザインのプロが無償で作成してくれたそうです。
 

 

 
子ども食堂の活動に賛同し、自分の力を役立ててほしいと行動する大人たちの姿は間接的にも子どもたちによい影響を与えているように感じます。

月に一度の「子ども食堂テラコヤ北野」へ

7月の子ども食堂オープンの日、「テラコヤ北野」で目にしたのは、午前中に小学校の体育館で汗を流した子どもたちとその保護者。ユニフォームに身を包んだまま、お腹を空かせて次々と入ってきます。
 
料金は、中学生までの子どもは無料、高校生から大人までは300円。
申し込みや予約は不要で、行きたいなと思ったら当日ふらりと立ち寄れる、一人でも家族でも友だち同士でもOKというスタイルです。
入口で靴を脱ぎ、受付をして入ります。
 
中に入ると左手には、調理する姿や配膳の様子も見られるオープンキッチン。
 

 
今日のメニューは、豚のしょうが焼き、ポテト、きゅうりの浅漬け、お味噌汁。
手際よく盛り付けられています。
 

 
右手のテーブルと椅子が並ぶ飲食スペースから聞こえてきたのは子どもたちの笑い声。
そして、「はいここに座って」「ちょっと待ってね」「ご飯まだの人?」と運営スタッフの忙しさを知った保護者がいつしか世話役にまわっていました。
 

 
ここでは、自然とコミュニケーションが生まれ、一緒に食べる楽しさと、満たされるお腹、明るい雰囲気が安心感につながっていくんですね。
 

 
この日運営スタッフがようやく一段落できたのは、14時近くになってから。調理や配膳をがんばったおかげで、皆さん満足そうに帰っていきました。
 

運営スタッフとボランティアの皆さん

地域に開かれた居場所づくりを目指して

もともと地域や子どもたちのために何かしたいという思いを抱いていた木本さん。まわりからは大変そうと思われても、立ち上げたばかりで何とか盛り上げていこうという状況なので何をやっても楽しいのだそう。
 
始まったばかりですが、今後はどのような場所にしていきたいのでしょうか。
 
「まずは、『テラコヤ北野』を多くの人に知ってもらいたいですね。
また、テラコヤと名前につくだけあって、江戸時代の寺子屋のように今後は学習支援もやっていきたいと考えています。社会福祉協議会の方も所沢市のPTA教育長も、学習支援の話をしたら手を貸してくれると言ってくれて、皆さん協力的でうれしいですね。
 
そのあたりは、人との縁ができれば、活動としてやっていけると思いますが、6月にはじめたばかりですので、今は、とにかく明るい子ども食堂にすることが目下の目標です。
 
そして社会全体として、もっと子ども食堂が増えてほしいなと思うんですよね。『今日はあっちの子ども食堂に行こう!』くらいの感じで、決して特別な場所ではなく、社会に溶け込んでいくといいですね」
 

代表の木本達也さん
 
とにかく明るい子ども食堂がモットーの「テラコヤ北野」は月に一度オープンします。
お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

「子ども食堂テラコヤ北野」

住所:所沢市北野新町1-12-23
   実在寺小手指別院
電話:04-2902-6074
 
<2024年開催日程>
8月11日(日)
9月15日(日)
10月27日(日)
11月10日(日)
12月15日(日)
 
時間:11:00~13:30
料金:子ども(中学生まで)無料、大人(高校生以上)300円
 
※ボランティアスタッフを募集しています。当日の受付や席上案内、調理や配膳のお手伝いなど興味のある方はぜひご連絡ください。

編集後記

木本さんは釣りが趣味で、お休みの日に時間をみつけては早朝から東京湾にでかけるそうです。先月は太刀魚を釣って子ども食堂でふるまったら大好評だったとか。釣果によってメニューも変わる?そんな楽しみもあるかもしれません。


この記事を書いた人

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かすみ Kasumi

往復3時間の通勤スタイルからほぼリモートワークにシフトし、生活圏所沢の魅力を再発掘中。 仕事も子育ても地域とのかかわりも楽しみながら、ワクワクする情報を発信します。 パン、あんこ、コーヒーが好き。SDGsの推進やサステナブルな暮らしにも関心が高い。

頂いた応援メッセージ

国の宝を大切にする取り組み子供食堂は最近良く耳にしており活動に共感しておりました 近所に出来た様ですので様子を見に伺いたいと思います  素晴らしい活動にバンザイ🙌                                            椿爺より
2024-08-31 08:06:34

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