コロナ禍に望ましい笑わせない落語がすごかった!~人気のレトロ建築で恒例の落語会 ~


【リポート】第18回アミーゴ落語会 立川談幸


▲入間市文化創造アトリエAMIGO!
入間市文化創造アトリエAMIGO!(以下「アミーゴ」と表記)の建物は、元々は埼玉県の繊維工業試験場でした。現在は「文化創造の場」として使われている趣のあるレトロ建築で、映画やテレビ等の撮影にも度々使われています。
 
前回はスタジオ棟で開かれた「アミーゴ楽笑寄席」の様子をお伝えしましたが、今回ご紹介する2020年10月16日開催の第18回「アミーゴ落語会」はホール棟で行われました。
 

▲『赤いのこぎり屋根』が特徴的なホール棟
 
中はこんな感じなのです。

▲ホール棟内部の様子
 

第18回 アミーゴ落語会 立川 談幸

 

マジック 小泉 ポロン
寝床 立川 談幸
ねずみ穴 立川 談幸

 

立川 談幸(たてかわ だんこう)

1978年 立川談志に入門。前座名「談吉」
1982年 二ツ目に昇進「談幸」と改名
1987年 家元立川談志の認証により真打昇進
2015年 落語芸術協会に移籍

(2020年 10月現在)

 

小泉 ポロン(こいずみ ぽろん)

高校時代、米国に交換留学中にスクールミュージカルに出演。帰国後、女優を志し演劇学校に進み、演劇、歌唱、舞踊を学ぶも、プロの舞台人となる道を模索中にマジックと出会い現在に至る。

メディア 「スッキリ‼︎」「お笑いマジック王座決定戦」等
(2020年 10月現在)

 

マジックは笑顔で楽しむもの


▲小泉 ポロンさん 成功したら出てくるものは…😂

 
実は急遽出演が決まった小泉ポロンさん。落語会でマジック?一体どういうもの?と思っていましたら…、寄席ではいろどりとしてマジック(奇術)や曲芸がはさまれることがあるそうです。落語初心者の私には初めての体験でした。
ひとしきりマジックを披露した後「皆さん、お願いがあります。マジックは『温かい目』で見てくださいね。楽しんでくださいね。」と言われてびっくり!
 
「落語を聞いている時のお客さんの目は楽しそうなのに、マジックが始まると突然お客様の目付きが険しくなるのですよ。」と…。確かに!私もなんとかタネを見破ることができないものかと、眉間に深いシワを寄せていました。
いきなり笑顔になれる話術からのスタートでした。
 
ポロンさんのマジックは、「ゆるかわ」。アイテムがなんとも愛らしく、成功して飛び出してくるものに、ほっこりさせられる、優しい気持ちになれるものでした。
 
また、「積みマジ」というネタは、憎らしかったです。
 
買ったまま読んでいない本を「積ん読」(ツンドク)と言ったりしますよね。ポロンさんは、マジックが成功してもお客さんがどう反応していいか分からないようなマジックの道具(私には「で?」と聞き返したくなるような、まさにオチがないように感じました。)を、「積みマジ」(ツミマジ)というネタにしてしまったのです
 
「こんなもの使えない」と怒って捨てる人もいるかもしれないのに!これが楽しかった!
 
本来は予言や読心術などの「メンタルマジック」と言われるものが得意なポロンさん。コロナ禍の現在、いろいろな制約があり、トランプをお客さんが間近で触るような「接触型」のマジックができなくなっている状況です。こちらは新型コロナが収束してのお楽しみですね。
 

「入間に駆ける一陣の江戸の風!」


▲立川 談幸さん 
 
寄席の客席が明るいのは落語家がお客様の反応を見るためなのだそうです。反応を見ながら演じるものなのだとか。
感染拡大防止のため、客席は間隔が広くとられ、通常と比べると「ガラガラ」のような状態で全員マスクを着用しています。
 
「お客様が少なく、表情も見えない状況ではやりにくくないですか?」の質問に、「やりにくくなんてないです。コロナ禍の中、来ていただけるだけでありがたいです。」と、優しい笑顔が印象的な談幸さんでした。
 
現在、大笑いするようなネタは望ましくないのだそうです。落語家は人を笑わせるのが商売なのに。
 
さて、何気ない話から始まった「ねずみ穴」。
まだまだ落語を知らない私がイメージしている落語とは全然違いました。
 
主人公は理不尽な目にあい、どんどん不幸になっていきます。どんどんどんどん…。チラッと時計を見ると、終わりの時間が近づいていました。
この落語、どうなるの?と思いきや、唐突にストンと落ちました!…カギはマクラで出てきていた話の中にありました。
 
拍手の後アミーゴの水村館長が出てこられました。「みなさん、オチ…分かりましたか?」私は大きく何度も何度もうなずきました。
 

▲落語の基本的な流れはこんな感じです。
 
オチにはいろいろな種類があるようで、今回のは「仕込みオチ」と言う、前もってオチが分かるように仕込んでいるスタイルだったようです。
「あ、あ、あ、私でも今のオチ分かりました!」と、挙手したいくらいの気持ちよさでした。
 
マスクを着用し、笑い声や声援がはばかられる中でも、感動したことを伝えたい!拍手を大きくしたり、大きくうなずいたり、観客の反応の仕方も新しい生活スタイルへと変わっていっているようでした。

入間市文化創造アトリエ・アミーゴ
【住所】埼玉県入間市仏子766−1
【電話】04−2931−3500
【ホームページ】https://i-amigo.net/index.html
faceboookはこちらをご覧ください。
 

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参考資料:『入門落語の楽しみ方 笑いのコミュニケーション!』柳家小団治 編著 PHP研究所


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カケミヅ Kakemidu

高知で生まれ育って2018年に埼玉に引っ越してきました。所沢なびライターとしてふるさとの文化についてご紹介できるようになれればと思っています。趣味はiPadでイラストを描くことです。

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