世界初演!NBAバレエ団 ヨハン・コボーによる新作『シンデレラ』はコロナ禍で…
▲2021年2月6日(土)、7日(日)に予定されていたNBAバレエ団の新作『シンデレラ』。
ふたたびの緊急事態宣言が発出された中、数々の困難を乗り越えて所沢のNBAバレエ団による新作『シンデレラ』が東京文化会館大ホールで上演されました。
温かい支援により上演へと歩んだ新作『シンデレラ』
NBAバレエ団が新作シンデレラを計画したのは新型コロナ感染拡大が始まる前のことでした。
芸術監督である久保 綋一さんが「新しい作品を観る喜びをお届けしよう!そのためにはどうしたらいいか?」と考えて思い浮かんだのが長年ダンサーとして活躍した後に振付家・演出家としても見事な手腕を発揮しているヨハン・コボー氏のこと!
全く新しい、独自性のある『シンデレラ』の舞台に向けて準備を進めていた時にやってきたのが新型コロナウィルス感染拡大でした。
数々の舞台が上演できなくなったどころか、レッスンも中止。バレエ団を維持するのも精一杯の状況で、創設以来初のクラウドファンディングが試みられました。
多くの方の支援により、2か月で約400万円の制作資金が集まり、予定されていた舞台の上演も徐々に再開されていきました。オンラインで進められていた振付も直接行われるようになり、このままコロナの感染拡大防止に気をつけながら日常が戻っていくのではないかと思われていました。(詳しくはこちらの記事で)
2020年12月19日にミューズマーキュリーホールで上演された『白鳥の湖』。開催にあたっての舞台挨拶で、芸術監督である久保綋一さんは希望に満ち溢れているように見えました。
6日に出演が予定されていた英国ロイヤルバレエ団の プリンシパル(※主役を踊る階級のダンサー)フランチェスカ・ヘイワードさんがビザも取れ、もうすぐやって来るという状況だったのです。
7日のシンデレラの配役はNBAバレエ団ソリストの野久保奈央さん。ソリストで主役に抜擢されるなんて…まさに「シンデレラストーリー」ですね!
ところが……2020年末から新型コロナウィルスの感染が再拡大し、イギリスはロックダウン。
年明け、政府による英国からの新規入国の一時停止の措置を受け、フランチェスカ・ヘイワードさんの来日が不可能となり、配役の変更のお知らせが流れました。
▲配役が変更されました
6日、シンデレラを演じられたのは一時帰国されていた英国ロイヤル・バレエ団 プリンシパル(※主役を踊る階級のダンサー)の高田茜さん。この舞台が日本での全幕デビューとなりました。
3歳よりバレエを始める。 2006年よりボリショイバレエアカデミーに2年間留学 2008年ローザンヌ国際バレエコンクールにてスカラシップ賞及びオーディエンス賞を受賞。 同年、英国ロイヤルバレエ団にて研修生として入団。 翌年2009年アーティストとして同バレエ団に正式入団をする。 2016年同バレエ団のプリンシパルに昇進する。 レパートリーは、“白鳥の湖”、“眠りの森の美女”、“くるみ割り人形”、“ドンキホーテ”、“ジゼル”、“ロミオとジュリエット”、“マノン”、“マイヤリング”、“ウルフワークス”、“コッペリア”、“不思議の国のアリス” などがある。(NBAバレエ団HPより)
日本も首都圏を中心に再び非常事態宣言が発出され、内閣官房より各都道府県に通達される事務連絡に基づき、定員の50%に達した時点でチケットの販売は中止されました。そんな中での上演となりました。
バレエ『シンデレラ』のざっくり基礎知識
『シンデレラ』はグリム兄弟やペローの童話でお馴染み物語。シンデレラの物語をざっくり説明するとこんな感じです。
さてさてバレエ版はといいますと…。プロコフィエフのすばらしい音楽にのせて繰り広げられる様々な…まさに『シンデレラストーリー』。童話をそのまま舞台化するものもありますが、現代版に置き換えられたり、内面の成長の物語としたり、スター誕生の物語としたり、様々な版が生み出されています。
NBAバレエ団の『シンデレラ』は全くの新作。コロナ禍の影響を受けた特別なものでしたよ!
いつかの再演のためにここでネタバレしてはいけないので、舞台のリポートはこの記事の最後にイラストにてさせていただきます。
ヨハン・コボーによる新作『シンデレラ』は「より現実的な夢とゴール」
▲まずは舞台挨拶。左から芸術監督・久保綋一さん、ゲスト振付家・ヨハン・コボーさん、通訳の方。割れんばかりの拍手に包まれました。
上演前の舞台挨拶ではまずNBAバレエ団の芸術監督である久保綋一さんが登場。会場は割れんばかりの拍手に包まれました。そして、ゲスト振付家であるヨハン・コボーさん(英国ロイヤルバレエ団、ロイヤルデニッシュバレエ団の元プリンシパル(※主役を踊る階級のダンサー)。2005年から現役ダンサーとして活躍しながら振付やプロダクション制作の活動も始めています。)
観客が想いを伝えられることができるのは拍手だけ。みんなできるだけ大きく長く伝えたいところでしたが、いつまでも鎮まらない拍手を流石にコボーさんが制しました。舞台挨拶の予定時間は5分だったからです。
新作シンデレラは設定を現代に置き換えたストーリー。ヨハン・コボーさんは新型コロナ禍のロンドンで、『シンデレラ』の作品を制作する上で、一番やりたかったことは「より現実的な夢とゴールを与えること」!(今までの「玉の輿に乗る」的な夢ではなくて。)
久保さんがコボーさんに聞いてしまいました。「ラストシーンを見終わった後に『なぜ?』と思ってしまうであろうお客様にメッセージを…。」これには会場からも温かい笑いが漏れました。
見どころは「誰でもどんな可能性も持っているという人生のヒント」なのだとか…。
イラストリポート_φ(・_・
◆一幕
シンデレラはバレリーナを夢見る女の子。お決まりの継母も義姉もいましたよ。(※今回のヨハン・コボー版では義姉は二人です。)
バレエに対する情熱も実力もあるシンデレラの夢は「バレリーナになること」なのですが、あまりいい状況ではありません。そんなシンデレラに夢を叶えるチャンスが与えられます。
▲夢と希望と人生で大切なものって何かを考えさせられる素敵なストーリーのシンデレラ♪
NBAバレエ団のプリンシパルやソリストによるとっても素敵なソロの踊りが続きましたよ😆
◆二幕
夢を叶えるのに必要なものとは?を考えさせられる展開です。
シンデレラの「夢」は?王子の「理想」は?どうなるの??
▲アイテムの一つ一つの意味も考えさせられる素敵な展開でしたよ。
▲そしてため息ものの踊りのシーン。
私の席は上階でした。クライマックスを迎え、プロコフィエフのドラマティックな音楽に合わせて近くの方が思わずノリノリになってしまいました。(※誰の視界も塞いでいない状況でした。)躍り出したくなる気持ち、とってもよくわかりました。
そして芸術監督の久保さんが匂わせてしまったラストはですねえ…。お決まりのめでたしめでたしではなく、観る者がそれぞれの解釈をできる新しい物語でしたよ。夢や理想、幸せってなんだろうと考えさせられました。
終演後、「ブラボー」などの声がけも禁止されている中、舞台挨拶の時以上の拍手が巻き起こりました。
いつまでもいつまでも最大限の感謝を伝えたいところでしたが、みなさん、シンデレラのように約束の時間を守って、帰路につきました。
▲夢と希望と…シアワセの形
※イラストは全てイメージです。
キャスト(NBAバレエ団HP参照)
2月6日
Cinderella 高田茜
A Pianist (Cinderella’s Stepmother) 関口祐美
Two Sisters (Cinderella’s Stepsisters) White 岩田雅女
Two Sisters (Cinderella’s Stepsisters) Black 浅井杏里
The Teacher 峰岸千晶
The Talent 宮内浩之
The Violinist 大森康正
A Male Student 刑部星矢
2月7日
Cinderella 野久保奈央
A Pianist (Cinderella’s Stepmother) 佐藤圭
Two Sisters (Cinderella’s Stepsisters) White 鈴木恵里奈
Two Sisters (Cinderella’s Stepsisters) Black 阪本絵利奈
The Teacher 浅井杏里
The Talent 宮内浩之
The Violinist 新井悠汰
A Male Student 三船元維
今回の『シンデレラ』に関するYOUTUBEはこちら👇(^^)
NBAバレエ団
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