つつましやかなたたずまいの花に会ってきました【入間市・牛沢カタクリ自生地】
西武池袋線仏子駅から徒歩で20分。「牛沢カタクリ自生地」に行ってきました。
春の花といえば青空に似合う鮮やかな色の饗宴!というイメージがありますが、今回の花はいわゆる「ばえる」派手さはありません。つつましやかなたたずまいの小さな花が自生している場所のご紹介です。
2023年4月1日カケミヅ
▲入間市景観50選No.14 「牛沢(うしざわ)カタクリ自生地」
埼玉の自然100選にも選定されている牛沢のカタクリ自生地は、毎年3月下旬になると、雑木林のなか、うつむきかげんに淡い赤紫色の花が斜面一面にその可憐な姿を見せてくれる場所。
見学の際には以下の注意がお願いされています。
●植物を採らないでください。
●他の場所から植物を持ち込んで植えたり、種を蒔いたりしないでください。
カタクリの花が満開⁉︎
こちらが牛沢のカタクリ自生地2023年4月1日の様子です。
ちなみに、2023年の花の見頃は3月20日〜29日だったそうです。
もう少し近付いてみましょう。
どこからか桜の花びらが飛んできていました。大きさを想像してみてくださいね。
牛沢には約1万株のカタクリが自生しています。
柵で囲われているために、近づけるのは柵近くに咲いている花のみ。
この時は警備員さん含め、7名が居合わせていました。そのうち2名はどうやら電車の撮影の方を楽しんでいるようでした。
▲菜の花に映えるラビューが写せました
各々が気になるカタクリをゆっくりと撮影できる環境でした。
掲げられている看板や入間市のHPによると、カタクリはユリ科の多年草で、2〜3月に地上に葉を出し、3月下旬〜4月上旬に花を咲かせ、4月下旬には地上から姿を消します。1年のほとんどを地下の鱗茎で過ごし、早春のわずか1〜2カ月しか地上に姿を現さない、春植物(スプリング・エフェメラル)と言われています。
氷河期の生き残りとされカタクリにとっては、現在の関東平野は暑すぎる気候です。このため夏に木陰となる落葉紅葉樹林の下で、夏の地中温度が上がらない北向きの湿った斜面にのみ生き残っています。
カタクリの種子は、翌年の春に発芽し、その後は毎年葉を1枚出して、少しずつ成長していきます。
種子にはアリの好む匂いのする物資(エライオソーム)が付いています。アリは5月ごろにせっせと種を運んだ後、エライオソームを切り取り、種子本体は巣の外に捨てます。この捨てた種子が発芽し、7〜8年を経て、地下の鱗茎に十分な養分が貯まると、翌年葉を2枚出してようやく花を咲かせるそうです。その後は数十年生きるそうですよ!
氷河期の生き残り…数十年生きる…。この静かなたたずまいに力強さを感じませんか?
牛沢カタクリ自生地ではカタクリと同じ環境に生育する春植物を移植して、保護増殖を行なっています。
日本固有種で、本州から関東地方、四国に分布し、草地や疎林の下に生息してるヒロハノアマナも見られるそうですが、今回は「アマナ」を見ることができました。
▲アマナ
葉があっても花がなかなか咲かないのだそうです。
3月中旬にはアオイスミレが見られるそうですが、今回はタチボスミレを見ることができました。
▲タチボスミレ
また、この日は確認することができなかったのですが「アズマイチゲ」も見られるそうです。
落葉樹林の林床に、春にだけ地上に現れる多年草「アズマイチゲ」。開花しない株は1枚だけ葉を出します。開花する株は茎に3枚の葉を輪生し、茎の先に1個だけ花をつけます。開花してから次の開花までに数年かかるのだとか。
見ごろを少し過ぎていましたが、つつましやかなたたずまいに触れることができ、静かなお花見もこれまたいいな、と思いました。
牛沢のカタクリ自生地
詳細は入間市のHPでご確認ください。
https://www.city.iruma.saitama.jp/soshiki/nogyoshinkoka/shizen_koen/574.html