誰もが幸せな気持ちになれた時間 『LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024』


春が来たかのような暖かい陽気の3月16日(土)。ベルーナドームにて、ライオンズが所沢に移転して以来初となるOB戦『LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024』が行われました。

西武ライオンズの歴史を彩ってきた名選手が集結し、田淵幸一監督率いる『チームSEIBU』と東尾修監督率いる『チームLIONS』に分かれて戦うこの試合。登場する選手は、もうとにかくレジェンドばかり!

秋山幸二


▲秋山幸二
現役当時『メジャーに最も近い選手』と言われ、「3割30本30盗塁」のトリプルスリーを達成。プロ野球2リーグ制以降、本塁打と盗塁の両タイトルを獲得した初めての選手。1986年、広島との日本シリーズ第8戦で本塁打を放った際のバク宙ホームインは、野球ファンに伝説級のインパクトを与えた。

東尾修


▲東尾修
針の穴を通すコントロールと相手打者の懐を鋭く攻める「ケンカ投法」を武器に通算251勝を挙げたライオンズ一筋の大エース。1995年からはライオンズの監督に就任、松井稼頭央や松坂大輔などのスーパースターを育て、チームを2度のリーグ優勝に導いた。

田淵幸一


▲田淵幸一
1979年、西武ライオンズとともに所沢にやって来た球史に残るスラッガー。高い放物線を描く美しいホームランは西武球場を訪れるすべてのファンを魅了した。プロ野球史上初のセ・パ両リーグでの本塁打王獲得こそ叶わなかったが、西武ライオンズ初代4番打者として2度の日本一に大きく貢献した。

オレステス・デストラーデ


▲オレステス・デストラーデ
1989年シーズン途中に加入するといきなり大ブレイクした『カリブの怪人』。翌年から2年連続打点王、3年連続本塁打王を獲得するなど『西武ライオンズ最強の助っ人』と評する声も多い。秋山、清原とのクリーンアップは「AKD砲」と呼ばれ、西武黄金期の象徴として今もたくさんの野球ファンの記憶に残る。

エルネスト・メヒア


▲エルネスト・メヒア
2014年シーズン途中に入団。初試合初打席でいきなり初本塁打を放つと、プロ野球史上初めて途中加入で本塁打王を獲得した。日本人のチームメイトとも仲が良く、活躍した時のお約束のフレーズ「メヒアサマサマヤー!」は元々栗山巧選手に言われたものだった。今だファンの間で根強い人気を誇る。

ここで挙げたのは、レジェンドゲームに参加した選手のほんの一部です。なにしろ今回の参加選手は総勢63名。とても全員は紹介しきれません。グラウンドは右を見ても左を見ても、あの日あの頃のスターだらけ。まるで映画『フィールド・オブ・ドリームス』のような夢の光景です。これだけのレジェンドが元気なユニフォーム姿を見せてくれたということだけでオールドファンには感涙ものです。

試合前の取材やトークショーでは、多くのレジェンドが当時の貴重なエピソードなどを話してくれました。

秋山幸二「(西武のユニフォームを着てみて)久々の着心地。背番号『1』に“ゲタ”(下の短い横棒)もついてる。現役時代、王さんに憧れて真似たんだ」

高木大成「(メヒアの打撃練習を見て)あんな打球を打たれたら捕れないよ!」

デストラーデ「試合でサヨナラホームランを打って、嬉しくてガッツポーズをしたら、スポーツ紙がガッツポーズの写真だらけになった。それで、これはやったほうがいいと『ピンポーン!』と閃いて、ホームランを打った時にあのポーズをするようになった」

郭泰源「普段から練習はしてません。今日の試合に備えてキャッチボールをしたくらい。現役時代も自主トレはあまりしなかった」

トークショーが終わり、「もう一人のライオンズ・レジェンド」松崎しげるさんの国歌独唱と始球式を行うと、いよいよプレイボール!

実戦から遠ざかっているOBも多いはずですが、果たしてどんな試合になるのやら。正直に言えば少し不安もありましたが…

最高齢、御年80歳になる土井正博のライト前への巧打と、その当たりを名(迷?)守備で思わずアウトにしてしまう大友進。現役さながら、エルネスト・メヒアの目の覚めるような豪快なホームラン。工藤公康の、現役時代と変わらぬ切れ味鋭いカーブ。もはや持ちネタ。G.G.佐藤の外野フライ落球と、そのプレーに怒りをあらわにする星野仙一監督ならぬ星野智樹投手。松沼博久から松沼雅之へ、松沼兄弟夢の投手リレー。『守備職人』辻発彦の衰え知らずのフィールディング。昨年、台湾球界入りを目指すため惜しまれつつライオンズを退団した呉念庭の技ありタイムリーヒット。死球からの乱闘騒動、かと思わせて二人でハグして記念写真まで撮る、田淵幸一対東尾修、夢の対決。

その他、数えきれないくらいたくさんの好プレー珍プレーに満員御礼の球場は沸きっぱなしでした。


▲©SEIBU Lions


▲©SEIBU Lions

試合は、激戦を制した『チームSEIBU』が6-4で勝利。優秀選手賞はエルネスト・メヒア、最優秀選手賞は秋山幸二がそれぞれ選ばれました。そして80歳とは思えない素晴らしい打撃を披露してくれた土井正博には特別賞が送られました。

試合後には松井稼頭央監督から、3月29日に仙台で行われる埼玉西武ライオンズの開幕戦で今井達也投手を開幕投手に抜擢したことをVTR告知するサプライズ! スタンドからは驚きと期待の大歓声が上がりました。


今井投手は「ライオンズが100点でスタートが切れるように一生懸命投げたい」とコメントしていましたが、この告知はレジェンドゲームで盛り上がったファンの気持ちをさらに熱くしてくれる100点の演出でした。

さて、正直に言いますと今回の試合はどちらが勝ったか敗けたなんてどうでもいいと思っています。あの日憧れていた選手たちが、懐かしい西武ライオンズのユニフォームを身にまとって楽しそうにプレーしている。ただそれだけのことがこんなにも嬉しくてたまらない試合はこれまで見たことがありません。選手もファンも、誰もが幸せな気持ちになれた試合でした。古き良き西武ライオンズに再び会える日を夢見つつ、今回のリポートを終えたいと思います。

東尾修チームLIONS監督

「西武ライオンズになって初めてのOB戦で非常に嬉しかった。観客がたくさん入って、日本シリーズみたいでびっくりしました。4回の田淵さんとの直接対決は、当てようとしたんだけど当たらないんです(笑)。今年のライオンズは、投手陣は安定してきて層が厚くなってきた。あとは野手が打ってほしいですね。最初に勢いにのって行ってほしい。そこを一番期待してます。」

田淵幸一チームSEIBU監督

「満員御礼になって、こんなにたくさんのファンの方の前で野球ができて幸せです。こういうシーソーゲームはOB戦ではなかなかないんだよね。今年のライオンズは、まずAクラス。 そこに入るように。他の球団もそんなに飛び抜けたチームはないから、夏場を過ぎて3位くらいにいれたら。レジェンドゲームの次回開催は『西武さん、どうですか?』とアドバイスができるよう我々2人が一緒になって考えていきます」

最優秀選手賞 秋山幸二

「同窓会のつもりで来た中で、なんとか打たせてもらって賞までもらって、いい1日、いい思い出になりました。あとはバク宙ができれば最高によかったんでしょうけど(笑)。工藤公康といえばカーブなので、対戦では『打ってやろう』と思ってボール球を振りしました(笑)」

チームLIONS

監督 東尾修
投手 松沼博久、森繫和、松沼雅之、杉本正、郭泰源、工藤公康、橋本武広、デニー友利、土肥義弘、星野智樹、十亀剣、髙橋朋己
捕手 大石友好、伊東勤、上本達之、米野智人
内野手 土井正博、行澤久隆、石毛宏典、高木浩之、髙木大成、片岡易之、エルネスト・メヒア、綱島龍生
外野手 駒崎幸一、森博幸、笘篠誠治、大塚光二、柴田博之、G.G.佐藤、戸川大輔

チームSEIBU

監督 田淵幸一
投手 鹿取義隆、小田真也、小野和幸、新谷博、石井丈裕、渡辺久信、渡辺智男、潮崎哲也、後藤光貴、岡本篤志、宮田和希、武隈祥太
捕手 犬伏稔昌、細川亨、吉見太一
内野手 山崎裕之、広橋公寿、辻󠄀発彦、オレステス・デストラーデ、田辺徳雄、鈴木健、玉野宏昌、石井義人、呉念庭
外野手 大田卓司、岡村隆則、秋山幸二、大友進、木村文紀、田代将太郎


この記事を書いた人

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浮間六太 Ukimarotta

埼玉西武ライオンズの試合をホーム、ビジター合わせて年間100試合以上生観戦するライオンズ熱愛者。この溢れるライオンズ愛をみなさんに無理矢理お裾分けすべく、思い入れと思い込み全開のライオンズ情報をお届けします!

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