グルテンフリーの米粉・そば粉おやつパティスリー


昨年、所沢なびで「所沢の『人』」として取材したグルテンフリー菓子の作家・河合樹香さんがこの度念願のパティスリーカフェとして「Commons Kitchen(コモンズキッチン)」の実店舗を2020年8月7日(金)にオープンすることになりました。
河合さんはここ3年ほど、米粉やそば粉を使った「グルテンフリー菓子」の作家として、所沢エリアのマルシェやSAVE AREAなどでの出店を行ってきました。
今回は、7月31日に行われたお店の「プレオープン」に伺った筆者が、その様子のレポートを交えてお店のことをご紹介します。

2020年8月5日 前原麻世


 

ショーケースに並ぶアンティーク雑貨のような「ケークサレ」や「マフィン」

赤い扉が目を引く三角屋根のお菓子屋さん。
府中街道沿いに「Commons Kitchen(コモンズキッチン)」がオープンしました。
店内には木のぬくもりが感じられる存在感のあるカウンター、そしてショーケースにはガラス越しにアンティーク雑貨のようなお菓子が大切そうに並べられています。


▲野菜が顔をのぞかせるケークサレや、そばの実ののったマフィン

ひときわ目を引くのは、野菜そのものの姿が見える「ケークサレ」
ケークサレというと、パウンドケーキ型で中には細かく刻まれた野菜が入っていることが多いですよね。しかし、「Commons Kitchen」のそれは、手の平ににコロンと載るキューブ型で、野菜がしっかり顔をのぞかせています。

河合さん:「野菜って断面がかわいいんですよね。どうしたらその可愛い断面を見せられるか考えたら、この形になりました。
それから、それぞれの野菜の個性を活かせるものにしたかったんです。
『お、これはサツマイモの甘みだ。今度はゴボウがシャキシャキしてるぞ。この酸味はトマトか!』っていう具合に、食べ進むうちに色々な登場人物、つまり野菜に出会う。
目でも舌でも野菜の存在感が楽しくて、食べながら、まるで絵本でも読んでいるみたいなものにしたいな、と。」

野菜の味だけでなく、食べる楽しさがぎゅっと詰まったものにしたい。
キューブ型のケークサレから顔をのぞかせる野菜たちは、河合さんがお菓子に寄せる「遊び心」の表れだったのです。

さて、注目したいのはその「野菜」です。
米粉やそば粉を使ったグルテンフリー菓子であることはさることながら、野菜選びにも河合さんならではのこだわりとこれまでの足跡が活かされています。
 

生産者との懸け橋になりたい

「環境ドキュメンタリー映画」というフィールドで活躍していた河合さん、生物多様性をテーマに監督作品も世に送り出していました。


▲監督作品「ホッパーレース― ウンカとイネと人間と(2013年)」の上映会にて(2019年7月・飯能にて)

しかし2013年、難病を患ったことをきっかけに人生が一変、映画制作の現場から離れることを余儀なくされました。

河合さんは療養期間を経て、体に負担をかけない食べ物を探すことになります。そんな中出会ったのが、おいしくてからだにやさしい「グルテンフリー」のお菓子だったのです。(▶詳しくはこちらの記事をお読みください。)


▲米粉使用のマフィンと(左)とそば粉使用のマフィン(右)。「Commons Kitchen」の商品は小麦粉・卵・乳製品・白砂糖不使用(店内キッチンでは小麦粉・卵・乳製品などを含む製品も取り扱っています)

河合さん:「私は、パンやパスタ、ピザなんかも大好き人間だったのに、病気のせいで食べられなくなってしまったんです。
小腸が何かしらの原因でアレルギー反応を起こす、自己免疫疾患の病気です。
考えてみてください、お祭りやデパ地下に行っても何も食べられない、っていう状態を。
だからこそ、『おいしいグルテンフリー食』を自分の手で作ってみたかったんです。」

もともと友人を招いてご飯を振る舞うことが好きだった河合さん、グルテンフリー菓子についても自身で楽しむだけでなく、イベント出店をしながら多くの人に食べてもらうという道を選びます。


▲パーティーの前菜にもなりそうな、リッチなケークサレ

「Commons Kitchen」のお菓子は手にのせるとずっしりと重みがあり、噛むごとに滋味深い味が口に広がります。

商品に使う素材を選ぶ中で行きついたのが、自身が映画製作を通じて向き合ってきた「生物多様性」に則した環境負荷のかからない無農薬野菜です。

河合さん:「映画作りで現場を訪ねている中で分かったことなんですが、健康的な野菜はおいしい。作っている環境が豊かなんです。私は、丁寧に野菜を作っている人たちとそれを求めている人たちとのパイプ役になりたいと思っています。」

実際に、いまケークサレに使用している野菜の中には、映画製作の現場にいたころ農薬を使わない農家として取材したオギノエン・ファームさん(所沢市糀谷)のものもあるといいます。
 

愛着の持てるショップ兼工房をかまえたい

イベント出店を続けるうちに実感したのが、自分と同じように、小麦粉を使った製品が食べられない(小麦粉不耐性)人が多いということ。
そこで「もっと多くの人に自身のお菓子を届けたい」とショップ兼工房をかまえたいという気持ちが湧きあがります。

かれこれ1年、出店場所を探しているなかで見つけたのが、築30年以上、過去には居酒屋として使われていた店舗物件でした。


▲築30年以上の居酒屋物件

「どうせやるなら、愛着を持てるように自分たちの手でお店を作りたい」と家族や知人・友人の協力も得つつなるべく手作業でのリノベーションを敢行します。

時間をかけても自分たちでリノベーションをした理由を、河合さんはこう語ります。

河合さん:「自分で経験したことが身になるんです。映画の現場で自分の足で歩いて、見聞きしたことは、忘れない。ものを作るには素材を大事にしたいし、お店作りに関してもそれは同じことです。ずっと大切にできるものにしたかったんです。そして自分で作業したことで、一見してわからないようなところに、作り手の努力が生きているということを知りました。」

現場での準備・作業は5か月にわたり、ようやくオープンにこぎつけました。


▲建築士さん(写真中央)も現場に何度も足を運んでくれ、手作業でのリノベーションに協力してくれたという
 

家族の応援あっての「Commons Kitchen」

これまでの河合さんの活動、実はその陰にはご家族による多大なる応援があります。

現場作業は河合さんのお母さんや妹さんの旦那さんが協力、居酒屋時代に貼られていた壁紙をはがす、その上に珪藻土を塗る、その他もろもろの様々な作業をこなしています。
本業でマーケティングの仕事をしている妹さんはチラシやポスターの制作を。
また、お父さんは自家菜園で無農薬で野菜を育て、玉ねぎやジャガイモをお菓子の素材として提供しています。


▲右から店主・河合樹香さん、河合さんのお母さん、河合さんの妹さん

家族でお店作りをやってきたことについてどう考えているのか聞いてみました。

河合さん:「映画もそうだけど、一人でやっていると一人よがりになるんです。だから、みんなでやった方が絶対にいいんです、多くの人がかかわることで悪くなるということはない。
今回のお店のオープンに関しては……、たとえば、プレオープン時のポスター。私は控えめでシンプルなものにしたかったんだけど、母は目立つことを優先させたいと主張しました。意見が割れたけど、母の意見を取り入れることに……。
その結果なのか、私は店のターゲット層を自分と同じ世代だと思っていたけど、当日来てくれたのは想像していた以上に幅広い世代のお客様、うれしかったですね。」

「Commons Kitchen」を作り上げる過程を通じて、河合家のメンバー一人一人が意見を主張し、自分の持ち味を発揮していく。
家族の中にも多様性がある、と言えるかもしれません。

自分自身の体、生態系、家族……自分を取り巻く環境に折り合いをつけつつ、たおやかに生かし、活動の幅を広げていく河合さんに、所沢住民としてこれからも注目していきたいですね。
今後の情勢を見つつ、「Commons Kitchen」として今後も所沢市のイベントに出店する予定だそうです。
 

2020年8月7日(金)、グランドオープンです!

グランドオープン前にスタッフの研修を兼ねた「プレオープン」として7月31日にお店を開きました。
告知は周辺住宅へのポスティングのみだったそうですが、オープン時間前に子ども連れの方やシニア世代の方、女性だけでなく男性のお客様もいらっしゃるなど、年齢性別問わず数人のお客様が並んでおり、新店舗への地域住民の方の期待感が伺えました。


▲開店前に並んでくれたお客様もいた

実は店舗2階部分は、小さい子供連れでも来られる小上がりのあるカフェスペースとして準備しているのですが、世情を鑑みて利用はしばらくおあずけ……。当面はテイクアウト販売のみを行うそうです。


▲先々、この場所でワークショップなどができるようにするという構想もあるそう

「居酒屋」だった歴史を持つこの店舗が、時代を越え、今度は「カフェ」として地域のひとびとの交流が生まれる場所になる……。
いまはそんな日が早く来ることを願うばかりです。
ちなみにプレオープンの日は、1時間ほどで売り切れてしまいました!


▲妹さんと二人で接客を行う河合さん

そして8月7日(金)11時、いよいよ「Commons Kitchen(コモンズキッチン)」はグランドオープンを迎えます!

皆さんもぜひ、店主の思いと温かみが感じられるお店で、こだわりぬいた素材のお菓子を楽しんでください。


 

店舗詳細

Commons Kitchen(コモンズキッチン)
住所:東京都東村山市久米川町4丁目15⁻20
※東村山駅東口より徒歩6分。
営業時間:金・土・日曜日 11:00~18:00(売り切れ次第終了)

■車でお越しの方へ
専用駐車場はございません。イトーヨーカドーの駐車場がおすすめです。
■自転車でお越しの方へ
店舗脇に2~3台分の駐車スペースがございます。

▶Facebook:Commons Kitchen
▶instagram:commons_kitchen


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記事の執筆者プロフィール

前原 麻世 Asayo Maehara
前原 麻世 Asayo Maehara
所沢在住5年ほどのライターです。住まいは長野出身→沖縄→東京→所沢。 カフェや、子連れで行ける音楽イベントが好きです。

頂いた応援メッセージ

  1. 営業は週末のみなんですね。
    行ってみたいです!

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