「世界食堂」オーナー角田テルノさんに聞いた!開店4カ月で早くもリニューアル?!セッションで生まれる店作りが面白い


令和の所沢に生まれた世界食堂。オーナーは所沢エリアで「暮らすトコロマーケット」や「宵の市」などのイベントや面白シェアスペース「SAVE EREA」などを手がける“仕掛け人”角田テルノさんです。飲食店を作った理由、空間の持つ力、マッシュポテトに駆ける熱意など……世界食堂連載記事第5弾、満を持してテルノさんに伺いました。

2022年5月取材 前原麻世

 

「世界食堂」は「SAVE AREA」の答え合わせ

天井からは恐竜や植物が吊り下げられ、中央には印象的な朱い柱、オブジェのような椅子が配された、カオティックかつアーティスティックな空間でご飯を食べることができる「世界食堂」。実際足を運ぶと、印象的な空間であることがお分かりいただけるのではないかと思うのだが、さらに面白いのがこのカオス感が意外と落ち着くということ。一つ一つのアイテムの個性は強めなのだが、不思議と悪目立ちしていないのだ。


 
今回お話を伺ったのは「世界食堂」のオーナー角田テルノさんだ。テルノさんは所沢周辺で様々なイベントの企画を行う仕掛け人とも言うべき存在。2015年から開催され近年では遠方からも来場者がある「暮らすトコロマーケット」や、所澤神明社で毎年行われている夜祭「宵の市」などの企画を担う敏腕プロデューサーだ。


▲「世界食堂」オーナー・角田テルノさん

2019年に西所沢で始めた倉庫を改装したシェアスペース「SAVE AREA」はその特異性が注目され、ローカルを取り上げる雑誌に掲載され、町歩きのテレビ番組では何度もロケ地として選ばれている。


▲西所沢にあるSAVEAREA

テルノさんは生まれも育ちも所沢、20代の始めは都内で仕事をしながら、所沢随一のライブハウス「音楽喫茶MOJO」でバイトをしていた。
「MOJO」がスゴイのは音楽を楽しむだけでなく、人と人をつなぐ場所であったということ。テルノさんは、バイトをしながら、その場所が作り出す空気を肌で感じていた。
その「MOJO」が、諸般の事情で2021年秋に閉店、移転することとなった。
「MOJO」閉店の話を聞いたテルノさん。それならば、と自身がこの場所で飲食店を手がけることを思い立つ。理由は、ひとつにはこの場所のポテンシャルを知っている者として場所の記憶を絶やしたくない、ということ。人間交差点的な場所という役割を自ら担いたい。
そしてもうひとつは―結果的にそうなった、とも言うべきかもしれないのだが―「西所沢で立ち上げた「SAVEAREA」の答え合わせをしたかった。」ということだ。


▲「MOJO」移転のため閉店後、現地調査を行うテルノさん
 

「SAVEAREA」がきっかけで吸い寄せられたクリエイターたちで食堂を作り上げる!

どうして、「世界食堂」が「SAVEAREA」の答え合わせになるのだろうか。
日頃から、テルノさんやその界隈のクリエイターの動向に注目している方や、この連載の過去記事をお読みの方なら分かるかもしれない。「世界食堂」という場所を作り上げた設計士や、椅子・テーブル・オブジェを作ったクリエイター、また吊っている植物の選定・提供を担う園芸屋、店内のロゴ照明の製作者……世界食堂にまつわる様々な創作・作業を担ったのが「SAVEAREA」をきっかけに関わりを持つことになった人々なのだ。

テルノさんの弁によると、特筆すべきはそのうちの一人、若干30歳ながらクセの強いクリエイター集団を取りまとめた設計士の藤原芳博さんである。


▲「世界食堂」の設計を担った藤原芳博さん

藤原さんはリモート可能な職場に勤めているため、2020年から「SAVEAREA」のコワーキングスペースを利用していた。彼は、仕事の休憩の合間テルノさんが吹っ掛けた「お城みたいなキッチンカーってできるのかな?」という冗談交じりの問いに、翌日3Dで図面を起こしてみせたという猛者である。

そもそも、設計士とは元来明確なゴールを決めてそこに照準を合わせて成果物を仕上げる仕事をするものであるが、藤原さん、この現場ではゴールを決めなかった。もとより、決められなかった。テルノさんからのオーダーも「見たことのないものを見せてほしい」というものだった。藤原さんが行ったのは、正直誰が何ができるのかよくわからない10数人のクリエイター達がアウトプットするものをいかに殺し合わずにそこに置くかということだ。藤原さんはそのための微調整を行い、編集し続けた。しかも、現場に入れるのは10月末の「MOJO」閉店から約2か月という短期間だった。スケルトンにしては時間的にもコスト的にも無理が生じる。なるべく、いまここにあるもので使えそうなものは残し、活用した。
その結果、不思議と居心地のいい、アーティスティックでカオスな空間が誕生したのだ。
 

まるで文化祭前?!3日間で新メニューを作り上げよ! ナチュラルハイで食べたマッシュポテトとジャークチキンの味はいかに

2021年10月末日のMOJO閉店から約2か月の短期決戦でオープンにこぎつけたという過去を持つ「世界食堂」。(くわしくはこちらの記事で https://tokorozawanavi.com/news-sekaishokudou20211228/)
実はオープンから3か月で店長が転職を機に交代、また料理人も5か月で諸事情を理由に退職・交代することとなった。
店長と料理人と言えば、店にとっては中枢の役割を担うメンバーである。
それは予想外の出来事であり、大きな痛手であった。しかし「世界食堂」の歩みを止めることはできない。
「世界食堂」は腹を決めてリニューアルに向け舵を切ることとなる。
幸運なことに、店長も料理人も、実力あるプレイヤーが門を叩いてくれた。テルノさんに言わせると「FA移籍」レベルだという。


▲料理人・黒田シェフ。俳優経験や野球、格闘技など、多彩な活動を経て料理人の道に。美味しさを求めて国内・世界を飛び回る。ジブリ・ガンダムオタクな一面も。


▲パニエル店長。ダンサー。人気の焼き肉屋で長年働いていた経験あり。黒田シェフ同様、ジブリ・ガンダムオタクな一面も。

さて、後任の店長・料理人が決まるも、リニューアルのために用意されたのはたったの3日間であった。その間にやるべきことはてんこ盛り。というのも、料理人が変わるということで、「世界食堂」のコンセプトはそのままに、メニューをイチから考え直す必要が生じたからである。
まだ、日も浅い、知り合ったばかりの料理人・黒田シェフと、その2か月ほど前から働いているパニエル店長、そしてテルノさん、スタッフの面々でメニュー考案を行った。

料理を作っては試食、作っては試食を繰り返し、まとまった睡眠はとれず、気を失うように数時間眠り、起きたら作業を再開する……そんな3日間であった。
3日間を経てリニューアル作業を何とか完成させプレオープンを迎えた日の夕方、テルノさんに衝撃が走る。それは、テルノさんの肝いりメニュー「ジャークチキン」と「マッシュポテト」を食べたときであった。
チキンの肉汁を吸ったマッシュポテトを口にした瞬間「美味すぎてお店の中うろうろしちゃった」という。

 

「当たり前に自家製メニュー多め」(テルノさん談) セッションで繰り出されるメニューの数々に出会ってほしい

マッシュポテトとテルノさんの出会いは、ビンテージおもちゃ屋をやっていた頃、アメリカで買い付けをしている時だった。現地の店ではステーキを頼むと、パン、ご飯、そしてマッシュポテトのどれかを選ぶことができるという。
この店でもマッシュポテトという選択肢を提案したい、というのがテルノさんの思惑。
それを黒田料理人が汲み取り、「世界食堂」流のマッシュポテトが誕生した。


▲この、白いムニムニが……世界食堂流マッシュポテト!

そんなに美味しいなら食べてみたい!と味見をせがむ編集部スタッフにも快く提供してくれた。
世界食堂流のマッシュポテトは、きめ細かく滑らか!今までにない食感だ。


▲編集部スタッフも頂いちゃいました!


▲「これが美味いんだよね~」とテルノさん

料理人やスタッフの面々とのセッションとも言うべきやり取りでできているのがいまの「世界食堂」だ。
パクチージェノベーゼやエスニックなラーメンなどクセの強めなメニューを、黒田料理長やパニエル店長という食べモノにストイックな面々が、こんなメニューできるかな?できたらいいな!というワクワク感とともにセッションしながら作り上げている。
さらに、特筆すべきなのが「当たり前に、自家製メニュー多め」(テルノさん談)というところ。パクチーをすり潰して作るジェノベーゼはもちろん、またハーブを混ぜ込んだ肉料理・サルシッチャまで自家製だという。


▲セッションから生まれたメニュー「パクチージェノベーゼ」
 

理想は「1人で来ても気兼ねなくご飯を食べられる場所」

お店のあり方について、もう少しテルノさんに聞いてみた。
理想は「1人で来ても1人で気兼ねなくご飯を食べられる場所」なのだという。
系列店の「DRAFT LABO」はバー形態のお店であり、1人で行ってもカウンターの隣同士でほかのお客さんと仲良くなれる飲み屋ならではの出会いを楽しめるお店を目指している。その点、「世界食堂」は大前提として味にこだわった美味しい料理が並ぶレストランとして営業する。皆でワイワイは当たり前として、更に「1人で楽しみたいときは1人で楽しめる場所」を目指す。

店長だけでなく、料理人もカウンターに出てきてお客さんと話すことが多いのが現体制という。しかも、2人とも外見の”マッチョさ”とは裏腹に「重度のジブリオタク・ガンダムオタク」でテルノさんに言わせると”陽キャ”な側面だけじゃなく”陰キャ”要素を感じる側面も持っているそうだ。

1人ぼっちのまま食事やお酒を楽しむもよし、店員とコミュニケーションを交わすもよし、グループでにぎやかに過ごすもよし、はたまたここでこれから行われるであろうエンタメ・カルチャー・フードなどのイベントに参加し刺激を受けるもよし。
現時点で分かっているポテンシャルはともかく、今後も様々なあり方を提示してくれそうな「世界食堂」。
テルノさんの頭の中にあるものも、これからここにやって来る新たな面々が持ち込むであろう様々なコンテンツも……可能性は無限大、楽しみである。これを読んでいるあなたが、「世界食堂」に何かを持ち込むのもアリかも知れない。

 

■店舗詳細


住所:〒359-1124 埼玉県所沢市東住吉7−9 ティーイングビル 201
ディナータイム 17:30 ~ 24:00(L.O. 23:00)
ナイトタイム 24:00 ~ 27:00(L.O. 26:30)
定休日:火曜日(ナイトタイムは金・土のみ)
▶公式サイト
https://sekai-shokudo.kitchen/
▶公式Instagram
https://www.instagram.com/sekaishokudo/

 
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記事の執筆者プロフィール

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所沢なび編集部 ライター
2010年8月に所沢プロペ商店街に立地します商業施設「所沢サンプラザ」のメンバーにて設立しました。2011年3月の東日本大震災を機に、正確な情報発信の大切さを改めて実感し、本格的に活動を開始しました。

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